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双殻 Bivalvia

羅臼 9月  コンブに大量に付着した、ホタテガイの幼貝


二枚貝です。
プランクトン食の種類が多く、豊かな海にはたくさんの二枚貝が住んでます。でも汚い海にもたくさん住んでいます。
大部分はヒトデの餌ですが、ヒトデに寄生するやつもいます。岩に張り付く奴もいるし、水中を飛び回る奴も、しまいにゃ泳ぎ漂う奴もいます。
美味しいのも多いですが、人死にが出るような毒物を溜め込むのもいます。ミリ単位のものから2メートル近いものまでいます。
カラフルな蛍光色を放つものもいますし、地味な保護色に身を包んだものもいます。
意外とバラエティに富んだ種族です。


ホタテガイ  Patinopecten yessoensis
ほたて
(左)羅臼 4月
(右)羅臼 2月

昔、安岡力也が……まあそれはいいとして、ジャンプする二枚貝の筆頭です。
おかげで貝柱が鍛えられるのか、ぶっとくて美味い。
上の写真を撮ったときは、地元ダイビングサービスから昼飯時にホタテ汁が振舞われ、これがまた美味い。小さなホタテがまるでアサリのように大量に入ってい まして、こんなのなかなか食べられません。(ていうかそれっきりでした(T_T))

右の写真は、まだまだ若くて小さな固体です。
ちなみに、この時期の羅臼の砂地は、注意深く見るとあちこちホタテだらけです。


羅臼 3月

これはなかなかいいサイズ。
笑ってるみたいです。「ウッシッシッシ」


羅臼 8月

上の写真は幼貝です。海藻に張り付いています。
小さいときは、イガイなどと同じように、何かに引っ付いて生活しているそうです。


羅臼 9月

ホタテの幼貝が大量に付着したコンブです。
コンブが枯れるとともに、貝達は砂地に着底して、成貝のような自由生活に移行するようです。


羅臼 9月

2010年はコンブへの幼貝の付着がイマイチだったようなのですが、水中のロープにはたくさん着いていました。
確かに壮観ではないですが。



女川 塚浜 11月

宮城県、南三陸のホタテ養殖風景です。
まだ設置したばかりで、ホタテ貝たちも小さくてきれいです。
これがいい具合に成長するまで時間がたつと…。


女川 塚浜 11月

↑こんなんなってしまいます。どこが貝なのやらよくわかりませんね。
しかしホタテ貝は本来砂地を自由に移動するので、自然の状態ではこんな風にはならないはずです。重くて嫌になっちゃってるかも。


羅臼 9月

ホタテ、ジャンプします!
大きく息を吸って〜!


羅臼 9月

ジャンプ!
勢い余って上を向いています。
ちなみにホタテのジェット噴射は、ちょうつがい方向に噴出されます。それでこの写真みたいになるのです。

イタヤガイ  Pecten albicans

羅臼 9月

ホタテガイより小型で、殻に放射肋があって目立ちます。行動はホタテガイと大体同じです。
結構分布域は広いようです。


ツキヒガイ  Amusium japonicum
ツキヒガイ
大瀬崎 2月

表が日で裏が月でしたっけ。貝殻の色が非対称です。

エゾキンチャクガイ  Swiftopecten swiftii
エゾキンチャクガイ
(左)積丹半島 5月
(右)羅臼 2月

積丹の海底のあちこちにころころと転がっています。あまりに無造作に転がっているので見過ごしてしまいそう。
羅臼でも見かけます。ホタテのように砂地にいるのではなく、岩礁帯にいます。


ヒオウギガイ  Chlamys nobilis

三保 11月

規則的な放射状の溝がある、特徴的な二枚貝。
貝殻の口の部分に青い眼点が並んでいてとっても不気味。
ただし外套膜はとっても美しいとか。上の個体は残念ながらこれ以上口を開いてくれませんでしたが。


ウスユキミノガイ  Limaria hirasei

伊豆山 7月

石の下などに潜んでいる、薄桃色の綺麗な貝。しかし見つけたとたん、貝殻をばふばふと動かして逃げようとする。なんか妖怪みたいな姿にも見えます。
大瀬の先端でよく見たけど、上の写真は伊豆山の新根。ちなみに外套膜に触ると、ちぎれて手にくっついて困ったことになるので触らない方がいいです。


(左、右とも)志津川 8月

東北地方でも見る事ができました。ちょっと濃い色なのはカメラが違うせいです。
伊豆の個体に比べて、ちょっと元気が無かったような。


青海島 1月

日本海のウスユキミノガイです。なぜか水深20mほどの砂地に、大量に群れていました。
繁殖活動でしょうか?


ウコンハネガイ  Ctenoides ales

八重山諸島 10月

サンゴ礁で岩の隙間などに挟まっている2枚外。真っ赤な外套膜を広げた姿が美しい。
ライトを当てると、広げた殻の間に、イナズマのような色の変化が見られて面白い。
フレームスキャロップの名称で、熱帯魚屋さんで売られていることがあります。
褐虫藻と共生しているらしく、飼育には強い光が必要とか言われていますが、実際に生息しているのは明るいとは言いがたい場所だったりします。


ヒレジャコガイ  Tridacna (Flodacna) squamosa
シャコ
小笠原 1月

光合成をする生物が共生しているので、日光だけで生きていける変な貝。
沖縄に行くと普通に食べられます。渡嘉敷島のレストランで食べましたが、ううむ。お土産の瓶詰めも買いましたが、ううむ。微妙。

ちなみに、日本ではオオシャコガイは生息できないらしいので、国内ではヒレジャコガイが、一般的には最大って事になってます。
(オオシャコガイの発見例はあるようですが)

ヒメジャコガイ  Tridacna crocea

沖縄本島 10月

石サンゴの中に埋め込まれたようになっているシャコガイ。
ちなみにヒレジャコガイは足糸で岩などにつながっています。
ヒメジャコガイはサンゴの身体を穿孔し、身体を埋め込ませています。
身体もそれほど大きくはなりません。
ただ、殻の上にヒレ状突起があるのは共通。


オオシャコガイ  Tridacna gigas

(左、右とも)石垣島 10月

石垣島の川平湾でグラスボートに乗ったのですが、そこから見えたのがこれ。水深2m以浅だと思われます。
こんな浅い所に、と思ったのですが、シャコガイって褐虫藻と共生しているから明るいほうがいい筈で、浅いほうが生存に適してるのかも。
それしてもバカでかい。とは言ってもよくある1mクラスとは程遠い、30〜40センチだと思うのですがそれでもデカい。

ちなみに八重山地方はオオジャコガイ分布の北限(というか限界超えてる)で、1mを越えるような巨大なシャコガイは生息していないんだとか。
なんか残念。ただ、宮古島の八重干瀬でデカイのが見つかったという話もあったとか。(見つかったというか食べちゃったらしいですが)

ウミギクガイ  Spomdylus barbatus

沖縄本島 10月

サンゴ礁域で、岩肌などに付着して生活している、10センチほどの二枚貝です。
注意していると、結構たくさん見つけることができます。
食用だとか。ちょっと食べてみたいような気も。


ウミギクガイモドキ  Pedum spondyloideum

沖縄本島 10月

石サンゴの隙間に嵌って生活している、2〜3センチくらいの小さな貝。
意外と美しい色彩を持っています。


ミルクイガイ  Tresus keenae
みるがい1 みるがい2
(左、右とも)羅臼 4月

ローソク岩の砂地にたくさんいいます。この水管の部分だけが漁師さんの網にかかることがあり、一つ200円くらいで売れるとか。
すしネタですね。私は好きです。

ナミガイ  Panopea japonica
ナミガイ
石浜 3月

上のミルクイガイと違うのかどうかあんまり定かでないが、まあこの類であると思われます。
石浜にうじゃうじゃいます。すしネタとか刺身で美味しいそうですが、石浜では漁をしていないようです。採集も禁止されているので基本的にヒトデやツメタガ イの食料となっているのでしょう。


イシマテガイ  Lithophaga curta

石浜 12月

石浜の海底には、大きめの岩がごろごろしています。その岩に穴を掘って生活しているのが本種です。
(正確には石から引きずり出さないとわかりませんが……)
彼らが死ぬと、その跡が他の生物の住処になるので、色々と有益な種類なのかも。
たまにヒトデに食われてます。どんな風に食うのかは、エゾヒトデの項を参照。

ニシキガイ  Chlamys squamata

石浜 2月

このいぼいぼからするとどうやらニシキガイのようです。
結構固く岩に付着していて、容易には動かせません。


石浜 11月

ちょっとホタテっぽいけど、こいつは岩にくっついてます。貝殻表面にカイメンを付着させているこいつは一体?
石浜に死ぬほどいます。

↑というようなコメントを載せていましたが、どうやら中身はニシキガイのようです。


アズマニ シキガイ  Chlamys farrerib nipponensis

石浜 10月

貝殻に放射状の模様があり、足糸で石にくっついているのが特徴のようです。
ニシキガイより丸っこいフォルムです。


石浜 8月

はじめに見たときは、食用にする赤貝の類かと思ってました。
こちらはそんなに大きくもならないし、食用にもしないようです。

アカガイ  Scapharca broughtonii

お台場海浜公園 6月

内湾の砂地に生息する、非常に肉厚で殻がふくらんでいる二枚貝。
お台場海浜公園の海底はヘドロっぽい状態ですが、もともとアカガイはこのようなヘドロの中に浅く潜って生活しているのだそうです。
写真はまさに江戸前産。しかしこれを寿司にすると…? むむむ。
昔は浦安から千葉までの東京湾沿岸が名産地、検見川とかアカガイそのまんまの地名だとか。
今は宮城県名取市が名産地なのだそうです。


タイラギ  Atrina pectinata
タイラギ
川奈 6月

砂地にいるでかい二枚貝で、高級食材だとか。潜水漁の代表的な対象で、これを捕ってた漁師さんがサメに襲われた事件もあったらしい。
大瀬崎とかでも見たことあるけど、最初は板の切れっ端が砂に刺さってるようにしか見えませんでした。良く見ると外套膜とかがあって、貝の仲間だと判りま す。


三保 6月

三保の真崎は延々と続く泥底の海でして、タイラギもたくさんいます。
漁場ではないってのも影響あるかもしれません。もし底引き網みたいなので採られたら、あっという間にいなくなるかも。

アサリ  Ruditapes philippinarum

志津川 3月

ダンゴイカを探して砂地をごそごそ掘っていたら、ころりと出てきました。
ヌノメアサリ(Protothaca euglypta)みたいな 気もしますがよくわかりません。

アサリといえば細かい砂地にいるような印象がありますが、女川あたりだと大き目の石がごろごろしている海岸にもたくさん生息しています。
(大き目の石の隙間にある、泥や砂に埋まっている)
実はそういう場所のほうが、ツメタガイやヒトデに捕まりにくいのかもしれません。

そういえばお台場にも以前、アサリがたくさん発生したのだけれど、アカエイの群れがやってきてあっという間に食べつくされてしまったなんて話も聞いたこと があります。


(左、右とも)お台場 6月

2010年のお台場ですが、砂浜というよりは目の細かいシルトのような浜になってます。
アサリもちょっとだけ復活していました。
でもあんまり増えると、潮干狩りの人とかアカエイがたくさんやってきて、また激減の憂き目に遭うようです。

右の写真、家族で潮干狩りをしていた方の成果です。


(左、右とも)お台場 6月

お台場海浜公園の水中清掃活動中、真っ暗な海底で拾ったものです。右の写真がその海底。
透明度があまりに悪いので、足の立つ深さでも海底は真っ暗。

ゴミかと思ったら貝でした。というか明らかにゴミより貝が多かったです。
しかし水中は砂というより泥。ちょっと掘ると、真っ黒なヘドロっぽい層が現れました。同じ泥海でも、三保や石浜とは大違い。
まあでもこういった土中がすぐに酸欠っぽくなってる土壌の海域って、自然の状態でもあるようです。


サラサガイ  Lioconcha fastigiata

八重山諸島 10月

南方系のハマグリ? サンゴ礁のガレ場の外れ、砂が多い場所でたまたま掘り出しました。
山型模様が特徴で、普通のハマグリよりも丸っこくてつやつやしています。

アケガイ  Paphia vernicosa

三保 11月

水深20mほどの泥地に転がっていました。
アサリみたいな外見をしていますが、深場に分布し、身が赤っぽいことで区別できるのだそうです。
食べられるそうですが、なにぶん生息域が深いのであまり漁獲されないのだとか。

ムラサキイガイ  Mytilus galloprovincialis

志津川 8月

あまりにも一般的ゆえに撮る機会を失っていた種類です。そこらじゅうにいます。
似たような種類にムラサキインコガイというのがいますが、そっちの方が小型で、生息域や殻の色など若干異なります。
この写真は志津川の潜行ロープですが、ご覧の通りすでに潜行ロープなのか何なのかえらい事になってます。
クロダイやイボニシ、ヒトデなど天敵は多いのですが、彼らの捕食能力をはるかに上回るスピードで繁殖しているようです。
(ヒトデはロープを上がってこれないらしく、ロープやブイに集中的に繁殖しているケースが多く見られます)
逆に考えると、彼らの天敵生物は飢える心配が無いということかも。

いわゆるムール貝で、料理に使うとかなり美味しいです。たまにスーパーなどで見つけると、パスタと一緒に、ニンニクとオリーブオイルで炒めて食べたりしま す。
白ワインもあればベスト。
映画「グラン・ブルー」でジャン・レノとかが崖っぷちのレストランで食べてたのも多分こいつらでしょう。
ただし、貝毒が溜まりやすいので食中毒には注意とか。


横浜 山下公園 10月

山下公園の海底清掃イベントの際に、沿岸から採取して展示されていたものです。
実際、海底にもびっしり生えています。清掃の際には、こいつで手を怪我しないようにグローブや軍手の装着が義務付けられています。
殻は紫青というかちょっと緑っぽい色合いです。
横浜といえば古くからの交易港ですから、この手の帰化生物は多いでしょう。


カラスガイ  Cristaria plicata plicat

本栖湖 6月

準絶滅危惧種となっている、淡水産の大型二枚貝。
かつては重要な食用種として重宝されていたようです。
また、タナゴ等の淡水魚の産卵場所としても知られています。

本栖湖の固定は細かい泥(シルト)が多いため、本種には絶好の生息場所です。
このまま繁殖を続けてくれればよいのですが。


カリガネエガイ  Barbatia virescens

志津川 3月

岩礁帯で岩に固着生活をする二枚貝。足糸という固い糸みたいなもので、岩にがっちりとくっついています。
でも、カキなどと違ってちょっとは移動できるみたいです。

上の写真、上下2体の個体が写っていますが、下の個体が何だか脚みたいなものを上の個体の方に伸ばしています。
真昼間から繁殖行動でしょうか。謎です。


マガキ  Crassostrea gigas
マガキ
手石港(南伊豆) 7月

三陸と広島の名産。私の大好物です。シンプルな酢の物が特に。
伊豆にもいますけど、あまり大きくなりません。
川の水が若干混じる汽水域にたくさん生息しているようです。


お台場 6月

お台場の海浜公園の右手奥に、たくさんの置石があります。生物を繁殖させるためにわざとおいてあるらしいのですが、その岩にはびっしりと上の写真のような マガキが着いています。
実はお台場にはこのマガキを取りに来るマガキおじさんがいて、殻だけ残っているような状態のカキは、ほとんどこのおじさんが取って食べてしまっているのだ とか。


石巻 7月

石巻市の狐崎で牡蠣棚に潜らせてもらった時の写真です。
石巻湾は旧北上川のせいであまり透明度がよくないのですが、この日はそこそこでした。

ここはカキの養殖場なのでもちろんカキはいるのですが、他にもたくさんの生物が生息していて、まるで沖合に浮かんだ一時的なオアシスのような感じになっています。イソギンポの抱卵なども見られました。


ケガキ  Saccostrea kegaki

(左、右とも)三保 11月

とても薄っぺらいカキで、岩肌にぴったりはりついて一体化しているかのように見えます。
しかし殻からはパイプ状の棘が生えているため、うかつに触ったり踏んだりすると怪我していしまいます。
右の写真は、口の中を覗いた所です。こいつの中にはよくピンノが入っているそうですが、残念ながら見当たりません。


イワガキ  Crassostrea nippona

能登島 8月

能登半島名物「岩ガキ」です。普通の牡蠣よりも大ぶりで、旬は夏だとか。ちなみに普通の牡蠣の旬は冬です。
つまりこの写真は旬の天然モノです。実は食ったこと無いんですが(;_;)
生も良いけど牡蠣フライが絶品だとかでうわあ書いてたら猛烈に食いたくなってきた。


そういうわけで数時間後なのですが、たまたまスーパーで「夏牡蠣」という名前で秋田産の岩ガキが売っているのを見かけまして、買ってきてしまいました。日 本海ついてに越後ビール「粋生」も買ってきまして、岩ガキで一杯ということで。
殻は普通の牡蠣よりかなり肉厚です。身も厚い。
生で殻に入った状態でミツカン酢をちょろっとかけていただきます。
なんか全然臭みがありません。美味い。マジ美味いです。く〜。しまった能登でも食っておくんだった。うめ〜〜〜。
ちなみに殻つき一個100円でした。


能登島 8月

この年の能登島はひどく透明度が悪く、牡蠣の食料が豊富なのか、前回よりも大型で、かつ個体数も増えているような気がしました。
ここ何年か、魚屋さんでイワガキを見つけると意識して観察してきたのですが、この能登島にいる天然モノは本当にでかい。
市販されてるイワガキの倍くらいあるのではないでしょうか。
ああまた食いたくなってきた。でも近所では最近、一個500円とかするんですね。。。。


青海島 8月

日本海もここ(山口県)まで西に来ると、あんまり太平洋と変わらないような気がします。
岩ガキもすっかり小ぶりなような。


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