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その他の殻無し巻貝





イボベッコウタマガイ  Coriocella nigra

利島 8月

西伊豆、南伊豆から伊豆諸島でやたらと見かけます。
ウミウシみたいだけど貝殻が隠れているだけのただの貝。
この個体は結構足を伸ばしてたけど、触角は見えませんでした。

イソアワモチ  Peronia verruculata

沖縄本島 7月

分類で結構もめた種類なのだそうですが、結局今は有肺類です。
ということはナメクジやカタツムリの親戚。一見似ても似つかない姿ですが、よく見ると触角にちょっと似たような面影があります。
沖縄では「海ほうみ」として食用になるようです。確かにひっくり返すと殻のないアワビみたい。
調理方法は湯がいてしょうゆをかけたり、味噌炒めにしたりといろいろあるようです。
(ちなみに沖縄でナマコの味噌炒めを食べたことがありますが、たぶん似たような食感かと)

実は海中ではみたことありません。いつも水面より上にいます。波しぶきのかかる岩の上を活発に這い回っています。


ハダカカメガイ Clione limacina

(右、左とも)羅臼 3月

なぜか学名の方が有名になってます。中村征夫さんの功績でしょうか。

流氷の天使というよりはむしろ妖怪だとか言われたりすることもありますが、実物は本当に可愛い。
しかし写真を撮ろうとする者にとってはとてつもなくむかつく生物です。


羅臼 3月

なにせ常にひらひら泳いでますので、向こうもこちらも安定しません。
ピント合わせるだけで一苦労。
忍耐力が必要です。


(右、左とも)羅臼 2月

こいつらの主食はミジンウキマイマイなのだそうですが、はっきりいってクリオネの方が全然多い。
捕食者の方が多いとは何ということでしょう。しかしクリオネはどうやら、1年くらい何も食べなくとも生き延びられるようです。
また、彼らはお互いに強い遊泳力を持たないプランクトンです。
クリオネの捕食シーンはグロテスクなことで有名ですが、そんな姿をさらすチャンスは少ないのかも。


羅臼 4月

しかしこいつをオートフォーカスのコンパクトデジカメで撮るのはちょっと難しいのではないかと切に感じる次第であります。
上の写真はサイバーショットP1(当然オートフォーカス)です。


羅臼 5月

春先の低水温の時期には珍しく、透明度が良かった日の写真です。(今度はC5050のオートフォーカス)
しかしクリオネは、写真を撮ろうとすると上へ上へと逃げるんですね。
(逃げるというか私が追い立てているのかもしませんが)


羅臼 3月

クリオネはやっぱり背景を入れないと、という人が多いので、EOS KissとFisheyeで狙ってみたのですが、水温が氷点下の状態でオートフォーカスの弱い入門機で浮遊生物って超たいへんですね。
次は5Dと24mmくらいの中ワイドでやってみます。


羅臼 2月

クリオネ単体を撮るならば、50mmマクロで寄って撮るのが一番ぽいです。
背景は入りませんが…。


イクオネハダカカメガイ Paedoclione doliiformis

羅臼 3月

クリオネに混じってたまに見かけます。ちょっとずんぐり体系で、体の中にある赤い部分が多めです。
上の写真は交接中で、2個体がくっついています。水温は-0.5℃くらい。
写真家の中村征夫さんが最初に発見したということで、この名前が付いています。


(左、右とも)羅臼 5月

2012年のGWですが、クリオネの数は比較的少なかったような気がします。
だからイクオネが多かったというわけではないのですが、写真を撮る機会には恵まれていました。
しかしなんというか…デブクリオネという印象が。


ヤサガタハダカカメガイ Pneumodermopsis canephora

青海島 5月

青海島に現れる浮遊系貝類の中では最もクリオネっぽい?
しかし小さいはすばしこいわで、写真撮るのは大変です。
バッカルコーンもあるのかな。


ウチワカンテンカメガイ corolla ovata

(左、右とも)青海島 4月

一部で話題になってる、山陰のクリオネです。
クリオネより翼?が大きいですが、頭?が無いためにあんまり可愛くない外見になってます。
どちらかというとマイマイに近い外見ですね。
青海島には時折大量に押し寄せるみたいですが、2012年の4月は超絶大量のサルパに阻まれて肩身が狭かったようです。


(左、右とも)青海島 5月

2017年もそこそこの当たり年で、何体か見かけることができましたが、全壊から5年も経っていることにびっくりです。
この年はウミタルが異常に多く、その破片みたいなものがたくさん写り込んでいます。


クリイロカメガイ Cavolinia uncinata

青海島 5月

2本の触手? を伸ばして海中を漂っているカメガイの仲間。
粘液を網のように広げて捕食行動をとるそうです。青海島では割と普通らしいですが、初めて見ました。

マルカメガイ Cavolinia globulosa

(左、右とも)青海島 5月

クリイロカメガイの透明版? みたいに見えます。
クリイロカメガイもそうなのですが、粘液を放出し、水中の有機物を絡め取るような食事のスタイルを持っています。
ちなみに2017年のGWは、クリイロカメガイよりもマルカメガイの方が多く見られました。


ヤジリカンテンカメガイ Cymbuliidae sp.

(左、右とも)青海島 5月

三角形で細長くて、ちょっとイカのように見えなくもないですが、カメガイの仲間です。
例によってぱたぱたと羽ばたくように海中を漂っています。


ハダカゾウクラゲ  Pterotrachea coronata Niebuhr

(左、右とも)青海島 5月

浮遊生活をする巻貝の中では、比較的大きな種類です。黒潮に乗って世界中を回っているとか。
象の鼻のような突起を持つのでゾウクラゲと呼ばれるそうです。
幼体のころは殻があるとか。上の写真も、小さな殻のようなものが見えなくもない?


青海島 5月

斑点模様があるのは「ドフラインゾウクラゲ」らしいのですが、何も資料が見つからないので、とりあえずハダカゾウクラゲの仲間にしておきます。
写真の個体は結構大きくて、近寄るとイモムシみたいにくねくね動いてなかなかのキモカワっぷりでした。



チャコウラナメクジ  Lehmannia valentiana

東京都羽村市 6月

雨上がりの早朝、庭先で見つけた個体です。
こいつの仲間は殆どが夜行性で、特に梅雨時、雨降る夜には土の中とか植木鉢の下とかから大量に現れます。
私の勤務先の従業員用通路が、夜間はこいつらに占拠されていたこともありました。本当にすごい数で。薄暗いから気付いてない人のほうが多かったと思います が…。

見た目もアレですが、寄生虫は媒介するわ、野菜は食害するわ、繁殖力は強いわでとっても嫌われてます。

余談ですが私の甥っ子(3)は、庭先でこいつのでっかいのを見つけて、迷わず掴むと、ママに見せびらかしに持って来たそうです。
他にも、秘蔵のでんでん虫コレクションを見せてくれたこともあるとか。(しかもパパのお気に入りのマグカップに詰めて)。
もちろんママはパニック状態になってたそうです。軟体モノはちょっとねぇ。子供のいたずらでもドン引きですよねぇ。

またチャコウラナメクジは外来種で乾燥にもある程度強く、在来種のノハラナメクジ等は駆逐されつつあるとか。


東京都羽村市 6月

「うおっ、まぶしっ!」
ちなみにこの個体、1枚目の写真を撮った後、このように触角を縮めてしまいました。
たぶんストロボがまぶしかったんでしょう。
ふと思ったんですが、ここまでたくさんのウミウシの写真を載せてますが、こんな風にまぶしそうなリアクションは見たことありません。
視覚に関しては、明暗差が激しい場所で生活している陸生巻貝のほうが上ってことでしょうか。


ノハラナメクジ  Derocerus laeve

東京都羽村市 7月

黒っぽくて背中に模様がありません。チャコウラナメクジ同様に、体内に退化した殻が残っているそうです。
これも外来種で、年に2回繁殖するのだとか。
夜間に生きている葉っぱをもりもり食べてしまう害虫だそうです。

写真にある黄色いものは、この個体の糞です。


ナメクジ  Incilaria bilineata

東京都羽村市 6月

こちらは日本在来種…のようです。別名フタスジナメクジで、やっぱり古くから知られる害虫です。
写真の個体はまだ幼体で、5〜6センチくらいまで成長します。
梅雨時の小雨の降る中、真昼間から公園の岩の上を這い回っていました。


東京都羽村市 6月

水田脇などの湿った場所では、転石の下などで普通に見かけます。
でも、水場を遠く離れた住宅地の植木鉢の下には、外来種のチャコウラナメクジがいます。在来種の方が乾燥に弱いような気がします。
まあしょせん害虫なのですけど、生物多様性って観点からは問題でしょうね。
「ナメクジが絶滅してなんか問題あるの?」
と聞かれると困るのですが、おそらくどこか知らないところで問題が発生するのです。すべての生き物は生態系の中で繋がってることですし。


東京都羽村市 7月

霧雨の降る日は、こんな風に堂々と出歩いています。家庭菜園あたりで見つけたら悲鳴を上げられそうな姿です。
特徴である背中の筋もくっきり現れています。


(左、右とも)神奈川県横浜市 10月

家の庭で見つけた個体ですが、夏を生き延びて越冬しようとしている個体だけあって大きい。6センチくらいありました。
体側の筋は残っていますが、背中の模様があいまいになっています。




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