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その他甲殻類  CRUSTACEA

志津川 8月

広い意味で「虫」の類になります。その姿は、海中でも陸上でもそんなに変わらないものも、中には存在します。
上の写真のウミクワガタも、言われてみればクワガタっぽいのですが、シロアリみたいだという意見もちらほら。



ソメワケウミクワガタ  Elaphognathia discolor

(左、右とも)志津川 8月

基本的に寄生虫です(と言ったら言い過ぎですが)。しかしマクロでレアな被写体として結構人気があります。(私も撮りたかったわけですが)
もの凄く小さいものを想像していたのですが、それなりに撮れるサイズではありました。
ちなみに伊豆の方にいるのはシカツノウミクワガタだそうです。


石浜 1月

久々に石浜のウミクワガタです。小さい、本当に小さい。むかつくほど小さい。


オキアミの一種  Euphausia sp.

羅臼 3月

オキアミとは甲殻綱オキアミ目に属する種類の総称だそうです。この写真に写っているものも正体ははっきりしません。
昼間は200m程の深場に生息していますが、夜間になると大挙して沿岸に押し寄せてきます。
この写真もナイトダイビング中のものです。冬季、羅臼でのナイトダイビングはそれなりに経験があるのですが、これほどの大群を見たのは初めてでした。
水温は氷点下でしたが、海中はこれ以上無いというほど賑わっていたのです。



(左、右とも)羅臼 3月

オキアミといえばヒゲクジラの餌ですが、他にもさまざまな魚類等の餌にもなります。もちろん人間の食料にもなります。
寒い海の豊穣さを象徴するかのような生き物です。
ちなみに魚釣りの餌などで市販されているオキアミはナンキョクオキアミで、この写真の種類とは別だとか。


フナムシ  Ligia exotica

(左、右とも)浮島 9月

浜辺の掃除屋さん。しかし見た目や動きのグロさがちょっと限界に近いため、結構嫌われています。
すばやいため写真も撮りにくい。
この写真を撮ったあと、諸般の事情で酔っ払って海パンいっちょで海岸で寝転んだのですが、こつらに散々噛まれて目を覚ましました。

ちなみに冬場の伊豆では時々、ドライスーツにこいつらが入り込んだと騒いでいる人たちを見かけます。

ワラジムシ  Porecellio scaber

羅臼 7月

人家近くや山野にものすごく普通に生息している陸生甲殻類。もう殆ど地上の王者ではないかと思えるほどあちこちで繁殖しまくっています。
ちなみにこのワラジムシ、一般的な昆虫より栄養的に優れているらしく、爬虫類を飼育している方々には結構人気が有ります。

山などで、地面に落ちている葉っぱや木の枝を裏返すと、それはもうぞっとするほど大量に見ることができます。
ただ、こいつらもカエルやイモリ、サンショウウオ、さらにトカゲやヤモリなどの貴重な栄養源になっているのでしょう。
衛生的には特に病原体を媒介するという話も有りませんし、見かけてもそっとしておくのが得策のように思えます。


オカダンゴムシ  Armadillidium vulgare

(左、右とも)東京都羽村市 5月

こちらもものすごくポピュラーな陸生甲殻類です。
ストロボを当てるとちょっとメタリックで格好良くないすか?


東京都羽村市 7月

左の個体がメスで、右の個体がオスです。色や大きさが若干異なります。
ちなみに枯葉を食べてるんでしょうか?



東京都羽村市 6月

薄暗くて湿った物陰を好み、地表にある有機物片などを食しています。
彼らのこんな生活に因んだ、有名なコピペも貼ってみます。


      ハ__ハ
     ∩´Д`)) アアアァァァァ〜〜
     _>、   <_
     -、__ノヽ__リ


なんでわかんねんだよ!
ダンゴムシにはダンゴムシの生き方があるの!
なんで日の当たるところに引きずり出そうとするんだよ!
卑屈になってんじゃねえんだよ!
石の下は湿っててひんやりして気持ちいいんだよ!
つつかれたら丸まるのは自分の意思じゃねえんだよ!
遺伝子で決まってるんだよ!ペンギンは空を飛べないの!


東京都羽村市 9月

そしてダンゴムシにはダンゴムシの死に方もあったり。
若いトカゲにぱっくりやられています。



グソクムシの一種  Bathynomus sp.

志津川 8月

魚の体表、特にエラ付近に吸い付いて吸血する生物。とくに北の海でよく見かけます。
クリーニングする生物がいないせいでしょうかね?
上の写真も、気の毒なくらい小さなカレイに吸い付いていました。
ちなみにこのカレイはババガレイ?


羅臼 12月

コマイの尻尾に食いついていたものです。
食いつかれた部分は爛れて、皮がはがれています。
こんなにでかいのだから振りほどけそうな気もするのですが、かなりがっちりしがみついているのでしょうか。
北の海はクリーナーがいなので大変です。


志津川 3月

アミメハギの腹に食いついています。
こんな可愛い魚に寄生するなんて…とは思うけども自然は厳しいのか。
割と小型魚の方が、寄生虫の餌食になっているような気もします。


大瀬崎 6月

柵下の砂地にいたアカエイの鼻先に、何かが食いついています。
アップで撮れなかったのが残念。


ドロノミ科の一種  Podoceridae sp.

羅臼 3月

羅臼のK原さんお気に入りの端脚類の一つで、サ フォーク種の羊に似てるとかいうことで「サフォーク」と呼ぶことを推奨されているようですが、どうやらドロノミ科の一種のようです。

確かに似てなくも無いような。


羅臼 3月

春先には珍しくないようで、また出会ったのですが。頭が黒くありません。オレンジ色です。
でもやっぱり同じ種類のようにしか見えないのですが。


クラゲノミ科の一種  Hyperiidea sp.

(左、右とも)羅臼 3月

クラゲと共生する端脚類の一種。共生とは言っても、時にはクラゲの身体を食べるようなので寄生といっても良いかも。
やや大き目のキタユウレイクラゲにたくさん付いていました。
ちなみに宿主は以下のような姿です。


羅臼 3月

この傘の内側に、クラゲノミがたくさん着いています。
クラゲノミは非常に多くの種類があって、一生クラゲに付いていくものや、成長するとクラゲから離れて浮遊生活をするものなど色々なようです。


羅臼 3月

大きめのアカクラゲの傘の中にいた個体です。
アカクラゲはもう死にそうでしたが、こいつらはどうするんでしょうか。


オオトガリズキンウミノミ  Hyperiidea sp.

青海島 4月

春先にクラゲを観察していると、小さなオキアミのようなエビが付いていることがあります。
春の青海島に大量に押し寄せるクラゲには色々付いていますが、この半透明のエビは本種であることが多いようです。


青海島 4月

消えてなくなりそうなゾウクラゲ? に、たくさんの子エビが付いています。親エビもいます。
おそらく、本種はこうやって浮遊生物に付いたまま繁殖活動および子育てを行うのではないのでしょうか。
しかしこの後は単体で浮遊生活をせざるを得ないような…しかも海流で流される方向は一方通行だし…やっぱり謎です。


モクズヨコエビ  Hyale grandicornis

羅臼 12月

日本沿岸でもっとも普通に見られるヨコエビ。
頭部の大きさや第1触角と第2触角の比率で、ニホンヨコエビと見分けることができます。
海藻の近くなどにうじゃうじゃいます。

カマキリヨコエビの一種  Jassa sp.

(左、右とも)石浜 3月

非常に不明瞭な写真で申し訳ないですが、そんだけ撮り難い生物なのです。
女川の海底の砂地で地面にライトを当てると、ザザーっと逃げ惑う影のようなものが見えます。
それが本種です。
よく目を凝らしても分かりません。砂礫を粘液で固めた巣のようなもので擬態しており、動かないとそこにいることすら分からないのです。
知り合いがmixiで確認した所、カマキリヨコエビ科の一種ではないかとのことでした。
確かにカマキリの鎌のようなものが見えます。


石浜 3月

クイズ「カマキリヨコエビを捜せ!」てな感じですが、実際非常に分かりにくいです。
ちなみに上の写真には2個体写っているような? 気がします。


スベヨコエビ科の一種  Odiidae sp.

志津川 6月

オレンジ色が鮮やかなヨコエビで、伊豆大島で撮られた写真などが雑誌で紹介されています。
志津川の個体は伊豆大島のものともちょっと違うようですが、しょせん正体が確定していないので大した話ではありません。

エンマヨコエビ科の一種ではないかと言われています。

2010.9.10
なんてことを言ってたのですが、2010.6.5の動物分類学会で、志津川産の本種はスベヨコエビ科の一種の未記載種であることが発表されてたようです。
論文の概要しか読んでないですけど。
実は発表された先生からは、ずいぶん前に本サイトの写真の標本について問い合わせを受けており、志津川のダイビングショップを紹介したことがあるの で、私もこの辺の経緯にちょっとだけ絡んではいます。


志津川 1月

志津川では割とよく見られるようです。今のところ女川では見てません。
ちょっとメタリックな感じもします。


ヨコエビの一その2

羅臼 2月

なんだか見慣れないヨコエビ…?…なのか?
なんだか足の長いワラジムシって感じ。謎です。
ちなみに羅臼にはこの手の小型甲殻類を魑魅魍魎と呼んで愛でる方がいらっしゃいます。
感化されたのかどうなのか分かりませんが、ガイドさんもこんなものを見せてくれました。

ヨコエビの一その3

志津川 1月

メリタヨコエビっぽいです。
第一触角の先の方には突起物(毛)が目立ちます。
しかし体節ごとに模様があるわけではなく、なんだか変な模様。
てゆうかかわりません。
サイズは、ヨコエビにしては大きいほうだと思います。

ヨコエビも、身近な生物の割には資料が少ない……。



志津川 7月

この時期、なぜかヒドラにはヨコエビの仲間が張り付いています。
よく見ると、触手に非常に小さなヨコエビが付いています。


志津川 7月

ヨコエビがポリプの中に入ってしまっています。
でも別に食べられてしまっているわけではなく、普通に動き回っています。
何やってんでしょう?


ホソツツムシ  Cerapus sp.

大瀬崎 6月

大瀬崎の湾内、砂地を漂う大量の海藻の切れ端。よく見ると茶色い筒のようなものがたくさんくっ付いています。
むかしから知っていたような気がするのですが、気に留めたことはありませんでした。
実はヨコエビの仲間だったようです。


大瀬崎 6月

筒状の殻? を作ってその中に住んでいるようです。
この写真は小競り合いしているように見えるのですが、たまたま出口が近いせいなのでしょうか?


コノハエビ  Nebalia japonensis

羅臼 3月

砂地で一生懸命砂に潜ろうとしている謎の甲殻類。大きさは1センチ程度かと思われます。
アミの仲間かとも思えますが、とりあえず尾が二又なのと砂に潜ることからコノハエビの仲間かなと思いました。
しかしこの個体は、あんまり砂に潜るのは上手ではないみたいです。写真のような体勢のまま、しばらくもがいていました。


オオワレカラ  Caprella kroyeri

(左、右とも)羅臼 3月

羅臼の深場で海藻にくっついてゆらゆら揺れていました。
ワレカラとしては今まで見たこともない程の大きさです。

こうして立ち上がって腕と触角を伸ばしている姿は、何だか宇宙から来た怪獣みたいです。


トゲワレカラ  Caprella scaura
さんぴりぴん
(左)黄金崎 4月
(右)石浜 5月

東伊豆で「さんぴりぴん」という呼び方があるらしい。なんかいい語感ですね、さんぴりぴん。
右の写真は、春先の石浜でのワレカラ大発生の一部。こうやって海藻の中に無数のワレカラが潜んでいます。
冬に生まれたアイナメなど、成長期の小魚達のよい餌になっているはず。

グナチア  Gnathia sp.
グナチア
黄金崎 4月

カレイの表皮に食いついている白い虫のようなものが、それ。
魚の血を吸って、体が丸く膨らんでいる。ちなみに寄生するのは幼生で、成長すると口が退化して何も食べられなくなるとか。つまり、子供のうちに一生分の食 事をとっていることになります。
目的が特化されているわけですね。子供のうちはひたすら食い、大人になったらひたすら繁殖。すばらしい(^^;

メダマイカリムシ  Phrixocephalus umbellatus

柏島 5月

トラギスの目玉に、何かコイル状のモノと袋状のモノが張り付いてるのが見えるでしょうか?
魚の目玉に寄生する、メダマイカリムシが取り付いています。
コイル状のものはこの虫の卵嚢です。しかしなぜよりによって目玉に寄生するのでしょうか。しかもこんなでかいのが。
人間で想像するとちょっと寒気がします。


わかりません

羅臼 3月

実は、節足動物なのかどうかすら怪しい。
最初はウロコムシかな? と思ったのですが体型的には違いそう。
節足動物だとこんなフォルムの種類もいるのですが大体は寄生虫です。だとすればなぜこんなヒトデの上に?
そんな訳で謎です。

アカフジツボ  Balanus roseus

(左、右とも)石浜 5月

かなり大型のフジツボで、小型種と違って潮下帯の、常に海水に浸っている場所に生息しています。
石浜などの三陸海岸には特に多いように感じます。日本固有種だそうです。

ただ、彼らが多く生息している岩と、あまり付いていない岩があるような気もします。
いや、結構露骨です。何が影響してるのかはわかりませんが。

ただ、彼らが岩の表面をデコボコにしてくれるお陰で、助かっている生物がたくさんいることも事実です。


石浜 5月

アカフジツボの触手は、大きくて黒っぽく、さらに透明なヒゲ? がたくさん生えています。
彼らはいつも水没しているので、ずっとこの触手を動かし続けていますが、餌の有り無しに応じて、動かすペースを変えているようにも思えます。

ちなみに雌雄同体だとか。


キタイワフジツボ  Chthamalus dalli

野付半島 5月

ちなみに野付半島とは北海道東部にある日本最大の砂嘴。
しかしフジツボはどこの海にでも生息していて、海に入った全てのものをでこぼこにしようとします。
伊豆では定置網なんかもあっというまにフジツボだらけになったりするらしい。
ところで西伊豆の田子のお弁当屋さんで、フジツボの味噌汁を出してくれるところがありました。
強烈な磯臭さが結構癖になる美味しさ。でも嫌いな人はその臭いが嫌なんだそうな。

イワフジツボ  Chthamalus challengeri

お台場 6月

お台場海浜公園で、干潮時に露出している大き目の転石上に群生していました。
本種はフジツボの中で最も乾燥に強い種類で、かなり長時間の空気中への露出に耐えます。
お台場には、本種の天敵である肉食性巻貝(イボニシなど)も、探すと結構見つけることができます。

ちなみに、人の目に触れる機会も多いため、「膝の裏にびっしり」等のフジツボ都市伝説の元ネタも本種ではないかと思われます。


カメノテ Pollicipes mitella

初島 9月

フジツボと似たような生態だけど、姿はかなり違っています。
上の写真は満潮線近くで、かなり波をかぶりにくいはずですが、結構たくましく生き延びてます。

ちなみにこいつらも、西伊豆あたりではたまに、味噌汁に入っています。

ヤマトヘラムシ  Idotea japonica

石浜 12月

海の中にムカデっ!?
と思ってしまいそうな姿です。日本中に分布していて、実験動物にされることが多いとか。
しかし到底人気があるとは思えない姿です。


広島湾 5月

広島湾の小島の浅瀬でガレ場をほじくってたら出てきました。
浮遊物が多い&意外とすばしこいので撮りにくい。探せばいっぱいいそう。


ヤケヤスデ  Oxidus gracilis

羅臼 7月

足がいっぱいある系の、とっても嫌われている生物。
山野でも人家近くでも普通に見られます。たまに大量発生して人々を悩ませるようです。



トビズムカデ  Scolopendra subspinipes mutilans

(左、右とも)東京都羽村市 6月

公園というか藪のような場所ですが、木の幹に張り付いていました。
何枚か写真を撮っているときには動く気配が無かったのですが、10分後くらいにまたこの木を見たらいなくなってました。
結構足速いですね。
ちなみに10センチくらいの大きさだと思いますが、最大で20センチくらいになるそうです。

私の職場にこいつが侵入して騒ぎになったことがありますが、咬まれると毒が結構きついらしいので、まあ当然騒ぎますね。
もし咬まれたら早めに病院に行ったほうがよいみたいです。


ウミグモ目の一種  Pantopoda sp.

羅臼 3月

春先の羅臼で海中を漂っている姿がよく観察されます。
体が小さく手足が長いため、何だかゴミみたいなものがわしゃわしゃとうごめきながら泳いでいるように見えます。
お陰でひじょうに写真を撮りにくい、というかどこを撮ったらいいのか容易には判りません。
目があるので、そこを狙えばいいらしいですが。

クモと名が付いているだけあって、鋏角亜門という、クモ・サソリ・カブトガニなどの仲間です。


羅臼 3月

夜間、なぜか海底に下りてました。行動するのは昼間なのでしょうか。


ゴミグモ  Cyclosa octotuberculata

東京都羽村市 6月

網を張るだけではなく、網の中央にゴミや食べかすなどを集めた帯を作り、その中に潜むという習性を持ったクモです。
ぱっと見、どこにクモがいるのがわかりません。
自分が保護色になるような環境を自分で作るとは、なかなか賢いのかもしれません。


ササグモ  Oxyopes sertatus

(左、右とも)東京都羽村市 8月

草葉の陰に隠れている、巣を作らないクモ。
鮮やかな緑色で、腹部の模様がちょっときれい。
ちなみに彼らの近くにはアマガエルがたくさんいます。雨の日には出歩かない方が吉かも。

ザトウムシの一種  Leiobunum sp.

東京都青梅市(御岳山) 8月

森林の周辺などで見かける、非常に細長い足を持った虫。
一見クモみたいですが、ダニとかの方が近い種類なのだとか。
なんだか陸のオルトマンワラエビみたいですが、色が地味なのでこっちは気味悪がられてます。
雑食性で、落ち葉などの有機物や昆虫の屍骸などを食べる、森の掃除屋さんです。

夏の御岳山では、注意していればそれはもうたくさん見つかります。


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