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腹足綱 GASTROPODA
雲見 11月
要するに海のでんでんむしです。
サザエやアワビなど美味しいものが多い。ツブと呼ばれる雑多な巻貝類(イボニシ、シッタカ等)も、ボイルして醤油で味付けすると、塩っ気が日本酒に合いま
す。独特の苦味がなんとも言えず。
でもしょせん珍味。トータルでは二枚貝の方が美味しい。ホタテとかアサリとか、お値段もリーズナブルだし。
ただ言えるのは、二枚貝よりこちらの方が、見て面白いものが多いというくらいです。
オオバンヒザラガイ Cryptochiton
stelleri
(左、右とも)羅臼 4月
北海道特産、日本最大のヒザラガイです。ダイビングマスクと同じくらいの大きさがあったりします。北米では40センチになるとか。
右の写真は、ヒザラガイであることを確認しようとしてちょっと岩から剥がしてみたところ。
くるっと丸くなるかと思いきや、なかなかそうもいかない様子。やっぱでかいからでしょうか。
これも食えるという話をどこかで聞いたので、ガイドさんに聞いてみたら、そういう話は聞くけど自分は食ったこと無いということでした。
どんな味かちょっと興味が無くも無いが、なんか固そう?
ヒメケハダヒザラガイ
Acanthochiton rubrolineata
石浜 8月
小型のヒザラガイで、殻板の幅が狭く、肉帯の両側に棘束があります。
これが結構剛毛だとか。
まあ石浜のこれは結構怪しいです。
エゾババガゼ Placiphorella
borealijaponica
石浜 3月
肉食のヒザラガイ。写真のように足(肉帯)を岩から持ち上げた姿勢で獲物を待っています。刺激を受けると足を下ろすようになっているのか、石浜でダイビン
グ中にあちこちでぱたぱたと動いているのを見かけます。
なんちゅうか、食虫植物と似たような動きです。
ヒザラガイ Acanthopleura
japonica
(左、右とも)宮城県志津川町 神割崎
原始的な貝類で、日本中どこに行っても観察できます。
水しぶきがかかる程度の岩礁上にもいるので、乾燥には結構強いのかも。
(ちなみに神割崎ではダイビングできません。水きれいなんだけど……)
話は変わりますが、ヒザラガイを飼ったことがあります。
近所のスーパーで売っていた殻付き生牡蠣の殻に、大きなヒザラガイが張り付いているのを見つけ、このまま生ゴミになってしまうのはなんだか不憫に思えて購
入しました。
生牡蠣を美味しくいただいた後、殻を海水魚の水槽に沈めて10分くらいたつと、あたふたと牡蠣殻から離れて水槽の中を這い回り始めたではないですか。
こいつは日中は全然全く移動しません。夜行性で、活動後に必ず自分の定めたホームポジションに戻ってくる習性があるとかで、いつ見ても水槽の同じ位置で、
腹を見せて張り付いていました。
そんな感じで1年半ほどヒザラガイの腹を見る日々が続きましたが、いつの間にかいなくなってました。
1年半も一緒に暮らしていたのに、いつも同じ場所に張り付いている姿と、最初のあたふたダッシュしか記憶にありません。
エゾヤスリヒザラガイ
Lepidozona albrechti
羅臼 7月
北方系のヒザラガイで、ちょっと赤っぽい体色と、顆粒の列があります。ヒザラガイの中ではちょっと派手系。
露出していることはあまりなく、転石の裏などに潜んでいます。
ニシキヒザラガイ Onithochiton hirasei
浮島 4月
石の下などに隠れている種類で、見つかったときの逃げ脚はなかなかの早さです。
しかしすぐにあきらめて止まってしまうので、あまり持久力は無いみたいです。
雲状の複雑な模様があり、色彩変異も多いため、ぱっと見での判定は難しい種類です。
ケムシヒザラガイ Cryptoplax
japonica
浮島 4月
ガレ場などで、石の下に隠れている、やたらと素早く動くヒザラガイです。
殻は非常に小さく、殆どが肉帯で、最初はウミウシの仲間かと思いました。
ちなみに背中の殻の間隔が狭いほうが頭です。
カセミミズ Epimenia
babai
熱海 7月
一体これのどこが貝なの? と思ってしまう不思議な貝。
殻も足板も触角も無いけど、歯舌があるとか。写真のようにウミトサカにからみついていましたが、解こうと思っても固くて取れません。不思議な生き物です。
エゾアワビ Nordoris
discus hannai
(左)山形 飛島 8月
(右)石浜 8月
言わずと知れたアレ。写真は日本海産。焼いても蒸しても刺身でも美味しい。
これでもうちょっと安くなれば言うことないんですが。
右は顔?のアップ。こうして見るとちょっとグロい?
石浜 10月
2008年の磯焼け対策で海藻が増えたせいか、アワビも増えてるみたいです。
ちなみにエゾアワビは、全アワビ中もっとも漁獲高が多いとか。
石浜 3月
水温6度の春の海で、触角ビンビンに伸ばして歩き回っています。
こんなに伸ばしてるやつはしばらく振りに見ました。昼間だというのに。
サルアワビ Tugali
gigas
石浜 1月
肉が赤いから猿? ううむ。謎の語源。
石浜にはいっぱいいます。しかし誰も気にしてません。
キクスズメガイ Amalthea
conica
石浜 10月
アワビの殻上に付着して、排出孔から出る糞などを食べている貝。片利共生というやつですね。
しかしこんなに乗っけてアワビは重くないのでしょうか?
それより私は、この貝のこと、長年二枚貝だと思ってました。カキみたいにくっついているものだと思ってたのですが、巻貝だったようです。
それも、おそろしく動かない巻貝でした。
ニシキエビスガイ Tristichotrocbus multiliratus
石浜 10月
殻がつやつやしていて、模様が綺麗に目立っている貝。
石浜に潜った時によーく観察するとあちこちにいます。
最初はエビスガイかと思ってました。。。
三保 11月
三保なのでエビスガイがいてもおかしくないのですが、ちょっと模様がくっきりしすぎ。
違うような気もしますがとりあえず本種ってことで。
ちなみに見つけたのは5mほどの浅場です。
リュウテンサザエ Turbo petholatus Linnaeus
沖縄本島 10月
タツマキサザエかと思ったのですが、殻の表面に緑がかった帯があるため、リュウテンサザエのようです。
赤褐色の地色で殻はつやつやしています。一番の特徴は蓋にあるようですが、写ってません‥。
割と珍しい。
セ
イタカハナヅトガイ Velutina conica
羅臼 12月
大きさは1センチ程度。
最初はウミウシ系(頭盾目)の何かかな? と思ったのですが頭の形が全然違いました。
殻を背負ってるし、触角の形からしてもカサガイとかアワビとかこっち系と思われます。
身体が赤いのでやけに目立ってました。
2009/4/1
どうやらセイタカハナヅトガイというらしいです…。
手元にある東海大学出版会の「フィールド図鑑 貝類」に載ってました。
タカラコゴメガイ Gibberulina tantilla
雲見 10月
白い貝殻にオレンジ色の軟体を持つ小型の貝。なんだか特徴的な形の頭部をしています。
アオガイ Nipponoacmea
schrenckii
浮島 9月
いわゆるカサガイ型をした巻貝のうち、転石の裏などに隠れている、逃げ足の速い類の連中です。
岩の表で踏ん張っているのとは違う種類です。
上の写真も、干潮時にちょっと石をひっくり返してみたものです。
ちなみに伊豆で旅館に泊まると、時々味噌汁に入って出てきます。出汁が出て割りと美味しい。
ユキノカサガイ Acmaea
pallida
(左、右とも)石浜 1月
裏表とも純白の殻を持つカサガイ。ただし、表は様々な付着物が付いているので、自然の状態で純白にはならないみたいです。
石浜には、上のような磯焼けカラーの個体がたくさんいます。
右の写真はひっくり返っていますが、私がひっくり返したわけではありません。何かの拍子ではがれたようです。実は粘着力弱い?
ウラウズガイ Astralium
haematragum
浮島 4月
殻の周辺に小さなトゲがあって、歯車みたいに見えます。
いつも殻に石灰藻が張り付いてて、磯焼けした場所では保護色のようになっています。実際、甚だ目立たない貝ではあります。
サザエ
Batillus cornutus
熱海 2月
なんじゃこの写真は。
とお思いかも知れませんが、多分お察しの通り、ふたを開けてリカバリーしようとするところの写真を撮ろうとしてました。
しかしそのまま待ってるとバディを見失いそうだったので、しかたなく魚屋さんの店先に並べられているようなこんな写真になりました。
初島 9月
またまたサザエでございま〜す。
初島にたくさん生息している巨大サザエを撮ってみました。
一緒に写っているのは私の手です。ちなみに私の小指の長さは6センチです。さてこのサザエの殻径は〜?
ウミニナ Batillaria
multiformis
(左、右とも)野付半島 4月
ぜんぜんダイビング中じゃないのですが撮ったので載せてみました。
野付半島は北海道にある日本最大級の砂嘴で、周囲は干潟というか海水に浸食された湿地帯というか、不思議な景観の場所です。
野鳥がものすごく多かったのですが、望遠撮影はMyカメラではちょっと無理なのでした。
この貝も鳥達の餌になっているのでしょうか。
ちなみに私の実家に近い万石浦や松島湾の干潟にも大量に生息してます。
タマキビガイ Littorina
brevicula
川奈 3月
水が苦手?な海生巻貝。海辺に行くと嫌になるくらい大量に生息しています。
水中には彼らを捕食する生物は山ほどいるのでしょうが、陸上にはあんまりいないのかもしれません。
エゾタマキビガイ Littorina
squalida
野付半島 4月
さらに野付半島シリーズ。タマキビといえば、満潮時にも潮をかぶらないような場所に生息している、ほとんど半陸棲の巻貝。
しかし夏は炎天下で50度以上、冬は氷点下になる岩礁上でも平気で生き延びる生命力は、下手な陸棲巻貝よりはるかに上。
まちがえてBCのポケットに入ったりすると、そのまま生き延びて部屋の中を這い回ったりするので要注意?
イボタマキビガイ Nodilittorina
pyramidalis
石垣島 10月
石垣島は、都市部からちょっと離れると広大な干潟が広がっています。
そんなだだっ広い干潟に所狭しと並んでいる様々な貝が。
しかし上の写真の貝達は、例によって海からは相当離れた所に集まっていました。
かなり海が嫌いなようです。
オオウミシダトウマキクリムシ
Annulobalcis yamamotoi
串本 8月
海の中ではさっぱりわからなかったが、どうやらフォトジェニックな貝として有名なんだとか。
この時はウミシダが邪魔でずいぶん撮りにくかったのです。
雲見 11月
久しぶりに見たのですが…なんて撮りやすい。さすが一眼レフ。
寄生生物の癖に宿主より綺麗です。
しかし巻貝類は本当に棘皮動物を食い物にするなあ。
セトモノガイの一種 Melanella
sp.
渡嘉敷島 6月
ナマコの腹にくっ付いて体液を吸う、寄生貝の仲間です。
ちなみに宿主はオオクリイロナマコ。あんなかちんこちんのナマコから体液を吸うとは大した奴です。
タコノマクラヤドリニナ Melanella clypeastericola
(左、右とも)川奈 10月
タコノマクラ科のウニに寄生するみたいです。白くて薄い殻の綺麗な貝で、砂地にくるとつい捜していしまいます。
なかなか見つかりませんが。
この個体は、右の写真のヨツアナカシパンの裏に付いていました。
クリイロヤドリニナ Pelseneeria
castanea
志津川 8月
キタムラサキウニに寄生する巻貝。表面の体液を吸ったり、場合によっては殻に穴を開けて肉を食ったりとやりたい放題で、ウニの成長を阻害するそうです。
キタムラサキウニは水産業上の重要種なので、こいつによる食害は、実は結構問題あるのではないかとも言われているようなのですが、実際に海中に潜ってみる
と、やりたい放題で害があるのはむしろウニの方のような……。
ちなみにこの貝が大量にウニに着いている状態はかなりグロいです。以前はやった蓮画像みたい。どうしても見たいという方はこちら。
志津川 7月
性懲りも無くまた撮ったのですが、右下の部分、ウニの肛門近辺だと思うのですが、なんだかひどい状態にされてます。
白い粒粒、これはおそらく本種の卵?
あと、こいつらが群れたウニの背中には、多くのヨコエビが取り付いています。本種を狙っているのでしょうか。
「貝はバカだから、寄生した宿主を殺すまで食い尽くしてしまう」なんて話を某所のガイドさんから聞いたことありますが、おそらく本種もキタムラサキウニを
殺害するまで食い尽くすのでしょう。
ちなみに、磯焼け対策でウニを駆除している女川では、本種の姿をあんまり見かけません。
特にウニ駆除をしなくとも、海藻であふれそうな志津川とは何か違いが有るのかもしれません。
ボウシュウボラ Charonia
sauliae
川奈 7月
ホラガイかと思ってたのですが、殻上にある結節の大きさからするとボウシュウボラです。(あと模様が違う。kuroさん指摘)
しかしこんなに大きな貝なのにフジツボやカイメンが全く付いていないのはなぜなんでしょう?
(左、右とも)川奈 7月
何が起こったのかよくわかりませんが、アカオニナマコをむさぼり食ってます。
こいつ自身がナマコを襲って、端から食べていったということも考えられます。
アラムシロガイ Reticunassa
festiva
志津川 11月
海の掃除屋さんの類です。一本ひょろっと突き出た突起をふりふり、獲物に群がる肉食貝の群れは、ちょっと気色悪い。
あんまり気色悪いので写真撮ってみました。
コロモガイ Sydaphera spengleriana
(左、右とも)石浜 7月
柄付きのウミホウズキ、「チャンチャンホウズキ」です。砂から遊離して漂ったり流れ着いたりした姿はよく見られるようですが、もともとはこんな風に砂に刺
さっています。
親であるコロモガイ自体は、そんなに見かけないような気がするのですが…。
イボニシ Reishia
clavigera
広島湾 5月
北海道南部以南の岩場に広く分布する小さな貝。
子供の頃は茹でて食べたこともあります。
実は肉食性で、フジツボやカキの殻に穴を開けて食べてしまうのだとか。
藻を食べる種類の貝と間違えて、海水魚の水槽に入れたらとんでもないことになりそうです。
お台場海浜公園 6月
干潮時のお台場で、空気中に露出した流木? に付いています。
彼らの主食であるフジツボは、乾燥に強いことを武器にして天敵に対抗していますが、イボニシだって負けていません。
物陰に隠れてぎりぎりまで乾燥に耐え、自らが活動可能な湿度になるのを待っています。
まさに命がけのガマン比べ。
ミガキボラ Kelletia
lischkei
黄金崎 4月
上の写真なんですが、私は海中でこれを見たとき、産卵シーンかと思いました。
しかしどうも、貝に対して卵が大きい。図鑑でみると、これはどうやらミガキボラの卵っぽい。
しかし上に乗ってる貝はシワホラダマシ?とかの類かと。
てことは、上の写真は産卵シーンではなく、卵がエッグイーターに食われている場面のようです。
ヒメエゾボラ Neptunea
arthritica
石浜 8月
「ツブ」です。シッタカと並んで安価な食用巻貝です。東北ではアワビツブと呼ぶこともあります。肉厚で美味。
女川のマリンパルでいつも売ってますが、500円程で「こんなに要らん」というくらいの量が買えます。
石浜 10月
このヒメエゾボラ、唾液腺に毒があるとかで、食べるときには要注意なんだそうです。
今まで全然気にしないでもりもり食べてたんですが。
まあみなさん、こいつらを食べるときは、吻の根元をちょっと切って、肉の間にある黄色い塊を取り除いてから食べてください。
ちなみに軽くボイルしてから唾液腺を取りぞき、それからみりんと醤油でつぼ焼きにすると美味しいですよ。
ダイビングの後女川でこいつらを買い込んで、これを肴に地元酒蔵の「多摩自慢」を呑んだりしてます。
アヤボラ Fusitriton
oregonensis
羅臼 7月
北方系の巻貝。やや大振りな「ツブ」で、羅臼では浅場の岩礁帯にとっても普通にいます。
繁殖してる風景も見られました。
漁獲され、食用になるようです。海中で見たときもちょっと美味そうに見えました。
貝殻に毛が生えているので、「毛ツブ」と呼ばれることもあるとか。
(左、右とも)羅臼 9月
9月はこいつらの繁殖期らしく、このように岩肌に卵を産み付けている姿をやたらと見かけました。
袋の中に小さな粒粒がたくさんあるように見えますが、この粒粒の方が卵なんでしょうかね?
だとすればかなりの量です。
羅臼 9月
これは凄惨な光景です。生んだ側から食べられてます。
でも綺麗さっぱり食べられるわけでもないのでしょう。きっと。他の卵も多かれ少なかれ、このような運命をたどっているのではないでしょうか。
アカニシ Rapana venosa
三保 6月
磯に普通に見られる、やや大型の肉食性巻貝。貝殻の縁が赤くなるからアカニシなんだそうです。
刺身や煮貝にすると美味しいとか。
東北にもいるので食べたことあるはずなんですが、いかんせん頻度が少ないので覚えてません。
貝殻だけはやたらと見たことがあります。
大船渡 8月
砂地の中央にある石に貼り付いていた個体です。20センチ近いように思えました。
ガイドさんによれば、ずっと同じ場所にいるのだとか。
食べ物を得やすい場所なのでしょうか。
ヒレガイ Ceratostoma burnetti
石浜 10月
北の海にだけ生息する、独特の形をした巻貝。ちょっと大型になります。
たぶん食用。毒だって話は聞かないので。
モスソガイ Volutharpa ampullacea
羅臼 5月
殻口がやたらと広く、蓋がやたらと小さい貝。
写真の2個体はこれから交尾?
しかしかなり大胆に身を出してます。
コエゾバイ Buccinum polare mirandum
羅臼 5月
殻は小さいんですが、身がやたらと大きい。水温が低い時期なのですが、この個体に限らず貝類はやたらと元気でした。
しかしこの模様、魚屋さんで売ってるツブそのものです。ちょっと美味そう。
オオヘビガイ Serpulorbis
imbricatus
石浜 5月
岩にくっついている不思議な巻貝。粘液を放出して、水中を浮遊する餌を引っ掛けるとか。
こうして殻の中をじっと見ると、やっぱり巻貝なんだなあと思わされます。
志津川 11月
なんか触覚と吻? みたいなものを出しています。ますます巻貝っぽいです。いや巻貝なんですけどね。
志津川 7月
このオオヘビガイという連中は、粘液を辺りに撒き散らしてデトリタスを絡め取り、食事としているとのことです。
ちなみに志津川では、ヒラミルの間などに特に多く見られるような気がします。
海藻の粘液なども彼らの食料なのかも?
クモガイ Lambis lambis
(左、右とも)小笠原 1月
貝殻がよく堂ヶ島あたりのお土産屋さんで売ってます。
貝殻ばかりでかくて身が少ないように見えるのは気のせい?
不思議な生態を持つ貝で、動物みたいな目玉が二つ、カギ爪のような足で、うろうろと歩き回ります。
足盤より移動効率が良いのかも知れませんが、それにしても奇妙。
フシデサソリ Lambis
scorpius scorpius
(左、右とも)沖縄本島 10月
テーブル上のサンゴの上に転がっていた個体です。
「クモ」とか「サソリ」とか名前に付いているのがちょっと面白い。実際面白い形ですが。
ちなみに裏返すとちょっと綺麗。
スイジガイ Harpago
chiagra
小笠原 1月
なんでこんな形してんだろ〜? という疑問は生きてる状態を見ても納得がいかないのでした。
サイパン ラウラウビーチ 5月
参考画像です。サンゴの上に乗っていた個体をひっくり返してみました。
やっぱりこの形がどうして生存に適しているのか謎。
トウカムリガイ Cassis
cornuta
(左、右とも)渡嘉敷島 6月
砂地にごろんと転がっている巨大な貝。あんまりでかいのでダイバーにはスルーされています。
前に出てきたスイジガイもそうですが、特に砂に潜るって訳でもないようで、いったいどうやって生活してるのか謎。
ウミウサギ Ovula ovum
串本 8月
真っ白で美しい貝殻を持ち、みやげ物などで高値が付いたりする。
だけど外套膜はごらんの通り真っ黒。
珍しいという話もありますが、こいつは台風直後の串本で、ごらんの通り堂々と這いまわってました。お持ち帰りされないようにね。
チャイロキヌタ Palmadusta
artuffeli
熱海 10月
黒い外套幕がお洒落。あとぴんぴんっと出っ張った触角がチャームポイント?
日本固有種で、外国人に人気があるようです。
私はあんまり見たことないんですが。
ホソテンロクケボリ Diminovula
alabaster
黄金崎 7月
外套膜の斑点模様が特徴的な貝。
あんまり珍しくないはずですが、撮ったのは久しぶり。
(左)利島 8月
(右)八丈島 10月
なんか上品な色合いで、陶器のように美しい貝です。
テンロクケボリ Pseudosimnia
punctata
南勢 4月
ショッキングピンクと言うか。宿主の色に似せています。
タカラガイの類って、最近はウミウシの人気におされ気味ですが、やっぱ綺麗です。
三保 7月
どうにも上手いことこっち向いてはくれませんね。
コダマウサギ Pseudocimnia marginata
雲見 11月
テンロクケボリと間違いやすいとも言われますが、比べてみるとこちらは水玉模様が全然無いので結構見分けやすいです。
大瀬崎 6月
模様がかなりまばらですが、概ね本種の特徴を満たしていると思います。
ちなみに大瀬の外海、柵下の水深20m前後です。
シロオビコダマウサギ Prionovolva brevis
雲見 11月
これは、水中ではコダマウサギだと思ってました。
どちらにしろ、宿主の色合いとちょっと似てますね。
しかしどのへんに白帯があるのか定かでありません。格闘技やってるわけでもなさそうです。
ムラクモコダマウサギ
Prionovolva bulla
三保 7月
貝殻にムラクモ模様が入っているコダマウサギ。なので、ちょっと外套膜を引っ込めてもらわないと種の判別ができません。
カノコダカラガイ Cribrarula cribraria
雲見 4月
かなり特徴的な貝殻模様を持つタカラガイ。
しかし外套膜もそれなりに綺麗なので、触って貝殻を露出させるような無粋な真似はしなかったのですが、次は突いてしまうかもしれません。それほど綺麗。
オミナエシダカラ Cypraea boivinii
雲見 4月
ハツユキダカラ並によく見かけるタカラガイ。
例によって外套膜は超地味でなんだかわかりません。
しかしこの種に限っては、貝殻も地味です。
トラフケボリダカラガイ
Cuspivolva tigris
雲見 4月
いつ見ても見事なトラ縞模様です。
擬態や保護色になっているようにも思えないのですが、ほんと不思議です。
アズマケボリ Crenavolva azumai
(左、右とも)三保 7月
ヤギの先っちょの方に付いている、非常に小さなタカラガイ。
この外套膜のイボイボが特徴みたい。
(左、右とも)三保11月
しかし、紫のヤギに付くと紫に、赤いヤギに付くと赤っぽくなりますね。
ヤギは食料なのだから当たり前といわれれば当たり前ですが‥。
外套膜のイボイボに色が顕著に現れるのもなんだか不思議です。当たり前かもしれませんが。
ナナホシケボリ Crenovolva septemmacula
三保 7月
背中に七つの斑点があるのが特徴ですが、殻の形自体も特徴的です。
実はこの斑点、無い個体もいるのだとか。別種なのかどうかはわかりません。
コボレバケボリ Dentiovula colobica
三保 11月
三保の泥地でちらほら見かける、小型のウミウサギです。
割と特徴的な姿をしています。
三保 7月
ヤギに擬態したような外套膜です。
アヤメケボリ Crenavolva striatula trailli
黄金崎 6月
細身のツグチガイのような形で、外套膜の模様は色々と変化します。上の写真のような真っ赤なパターンもあります。
(チヂワケボリの可能性もありますが、外套膜を引っ込めて殻を見ないと判りません)
この個体は産卵中のようです。
アカネケボリ Crenavolva aureola
雲見 11月
外套膜が黒というか暗い赤色で、細かな白い斑点があります。
小型種で、この白い斑点が海中だととっても視認できません。
私の視力のせいかもしれませんが…
ベニキヌヅツミガイ Primovula
formosana
(左)三保 6月
(右)川奈 3月
何かの図鑑の巻末付録で、この貝の研究論文を読んだことがあります。
その研究者はダイバーではないので、猟師の網に引っかかるヤギの切れッ端を調べてこの貝を見つけ出し、生息分布などを調べていました。
海底から引き上げられたゴミのようなものを熱心に調べる姿を、自分で「磯乞食」と名付けていて、なんだかすごく楽しそうな作業に思えたのを憶えています。
私も、漁港に落ちている海底から引き上げられたゴミの観察が好きです。こんな綺麗な貝が混じってることはありませんが。
(左、右とも)青海島 8月
産卵中の個体です。左の写真、貝の右側に産み付けられた卵隗があります。
右の写真は卵隗のアップですが、卵によって若干色が変わっています。この変化は産んでからの時間によるらしいです。
シロオビキヌヅツミガイ Phenacovolva
birostris
(左、右とも)三保 11月
色的にはベニキヌヅツミに似ているのですが、真ん中に白い線があります。
これは外套膜だけでなく、貝殻自体にもあるようです。
三保にはたくさん生息してます。
シュスヅツミ Phenacovolva
brevirostris
(左)黄金崎 4月
(右)黄金崎 7月
きつい赤色で、イボが少ない。わりとよくいるタイプのようです。
ツリフネキヌヅツミガイ Phenacovolva
birostris
三保 3月
ヤギにくっ付いている、端が反り返った小さな貝。いるところにはたくさんいます。
写真のヤギにはもう1個体いましたが、他にも隠れているとか。
三保 11月
ちょっと外套膜を引っ込めている個体。
真っ白な貝殻が見えています。
ツリフネキヌヅツミガイの仲間?
大瀬崎 2月
さっぱりわかりません。
ただ、このまま成長すると貝の両端がとんがって反り返っていきそうな予感。
ツグチガイ Primovula
rhodia
石浜 7月
石浜でヤギやイソバナの類を見るとちょっと感動します。
割と毎年いるようなのですが、それでも北の海ではやっぱりちょっと違和感。
それだけでも驚きなのに、この年(2010年)には貝まで付いてました。
外套膜の模様が特徴的です。
ヒガイ Volva volva
habei
(左、右とも)三保 11月
ウミウサギの類の中ではちょっと大きめな方。見つけたときはちょっと驚きました。
外套膜の複雑な模様が渋い。
ちなみに上の個体、おそらく宿主をすっかり食い尽くしたものと思われます。この後は泥地を移動して新たなヤギ類をさがすのでしょうか。
ハナマルユキガイ Ravitrona
caputserpentis
八丈島 10月
よくお土産屋さんで売っています。接着剤でくっつけられて、カメの姿になってたりします。
ハツユキダカラ Erosaria
miliaris
田子 7月
ちょうど今、この冬の初雪が降っていたりします。
ちなみに一度、大瀬崎の浜辺で貝殻だと思って拾って帰ったら中身が入っていたことがありました。
そのまま海水魚水槽に入れたら2ヶ月ほど生きてましたが、日中はどこかに隠れていて夜間動き回るので、ほとんどまともに観察することはできませんでした。
水槽のある部屋を真っ暗にして1時間ほどすると、どこからともなく現れて、水槽の壁面を這いまわり始めるようです。
こいつは飼うよりも貝殻を愛でている方が楽しい貝かも。
ホシダカラ Cypraea
(Cypraea) tigris Linnaeus
(左、右とも)八丈島 2月
やたらとでっかいタカラガイ。上の写真の個体は、岩の隙間に潜んでいたのを持ってきたもの。
大きさによっては結構なお値段がつくとか。まあ上の個体は海底に放置してきましたが。
タガヤサンミナシ Conus
(Darioconus) textile
(左、右とも)沖縄本島 10月
ダイビング講習の時に必ず習う、かなり危険な毒貝の仲間です。
このような外見からは想像も付かないのですが、ハチのような毒針を持っていて、目にも留まらぬ速さで敵や獲物に打ち込みます。
毒針を打たれたら最後、人間でも死に至ることがあります。というか沖縄&奄美で何件も死亡事故が発生しています。
コノトキシンという毒性物質で、呼吸麻痺などを引き起こすそうで、血清も存在しません。毒性に関しては全生物最強クラスです。
(こいつ1匹で30人分の致死量だとか)
このように危険な貝なのですが、ものすごくたくさんいます。この日の砂辺海岸でも、水深1メートルくらいの浅場にころころと転がっていました。
貝殻もとっても綺麗。思わず拾ってしまいそうです。まあ拾って握った瞬間にあの世行きかも知れないのですが。
しかしこの目玉、貝類の眼とは思えない形で、かなり不気味です。妖怪か何かの目玉みたいです。
昔、寄生獣って漫画がありましたが。ちょっと似てます。
カラクサイモ Conus
caracteristicus
(左、右とも)浮島 4月
模様的には結構近いような?
浮島の水深1.5mほどの場所に転がっていました。
この眼は結構光に敏感で、ストロボの光に反応して引っ込んでしまうため、撮るのに時間がかかります。
ツメタガイ Glossaulax
didyma
(左)石浜 7月
(右)石浜 8月 砂茶碗(卵)
幼児の頃、貝殻に引っ込んでいる状態のこいつを浜辺で拾い、バケツに放り込んでおいたら、いつのまにかバケツの中いっぱいに広がっていて、ひどく驚かされ
た覚えがあります。あんな小さな殻になんでこの巨体が格納できるのか不思議。
ボイルして醤油で味付けすると食えるには食えるらしいです。
でも連中が食い荒らすハマグリやアサリの方が断然美味しいのは確か。
石浜には食べごろの二枚貝がごろごろしているので、ツメタガイもよく肥えて数も多い。多くてもちっとも嬉しくないけど。
石浜 8月
砂の中に潜行していくところです。
このまますっぽりと砂の中に潜って、アサリなどの二枚貝を探します。
(左、右とも)石浜 7月
砂の中を這い回っているところを突っつきまわして貝殻に引っ込めた所です。
あんなに大きな身体が、貝殻の中にすっぽり隠れています。
また、貝殻はいつも外套膜に覆われているためにつるつるです。
ちなみにこの貝、中国では一般的な食材らしく、レストランでも普通に売ってました。
エゾタマガイ Cryptnatica
janthostmoides
羅臼 5月
北海道にはツメタガイは(南部を除いては)いません。でもそのかわりに、エゾタマガイがいます。
以前に礼文島を訪れた時、こいつに食された二枚貝の殻を「穴明き貝」と名づけてお土産に売ってました。
人間ってたくましい。買う方もすごいが。実は買って部屋にかざってあるけど。
キタタマガイ Tectonatica
russa
石浜 12月
エゾタマガイより外洋性だとか。殻や身体の模様がちょっと違いますが、正確には蓋を見て見分けるようです。
石浜 5月
これも正確にはわかりませんが、同じ種類かと。
この日の石浜には、こんな感じの小さなタマガイ? がたくさんいました。
折りしも宮城県では松島湾近辺各地での、サキグロタマツメタによる食害が問題視されていた頃です。(2005年4月)
もしや石浜にまでサキグロタマツメタ?
確かにここって二枚貝天国だし食い放題だよなあ、とか思って撮りまくったのですが、結果的にはサキグロタマツメタはいませんでした。
穏やかな湾内では繁殖できても、時折時化る三陸海岸は生存に適さないのか? 天敵が多いからか? はたまた単にアサリの放流を行っていないからなのか?
謎です。
ミジンウキマイマイ Limacina
helicina
(右、左とも)羅臼 2月
かの有名なクリオネの主食。
でも目撃する確率はクリオネよりずっと少ないです。たまに見かけると、クリオネよりずっと大きかったりします。
翼? も大きく、動きも結構早い。自然環境下だと捕まえるのは結構厳しそうです。
ミジンウキマイマイ自身は、自分よりずっと小さいものを食べているとか。
羅臼 5月
久しぶりに見ました。やっぱりクリオネより全然少ないような気がするのですが、海底には密集している場所があるのだとか。
カワニナ Semisulcospira libertina
本栖湖 6月
流れのゆるい河川や湖沼に、普通に生息している淡水性巻貝。
本栖湖の固定でも、泥底に半分埋まるような状態の個体をたくさん見かけることができます。
この貝は、ホタルの幼虫などの水生昆虫、コイなどの魚類やサワガニなどの甲殻類の良い餌だそうですが、かなり恐ろしい寄生虫も媒介するので、人間はあんま
りうかつに食べたりすることは避けたほうがいいみたいです。
まあ食用にはなるみたいですけど。
ミスジマイマイ Euhadra peliomphala peliomphala
東京都羽村市 6月
本州に広く分布する、樹上生活に適応した大型のカタツムリです。
雨天時など、写真のようにうろうろと出歩いて、木の幹に付いた苔などを食べます。
東京都羽村市 6月
軟体部にも模様があるのが特徴ですが、模様の無い場合もあるとか。
移動時には触角もびんびんに伸ばしています。
(左、右とも)東京都羽村市 6月
樹木の葉っぱの上にもいますが、堂々と光の当たる場所を歩き回っていて、あんまり隠れようという意思が感じられません。
鳥に狙われちゃうよ。
(左、右とも)東京都羽村市 8月
さすがに真夏の炎天下では殻に引っ込んでいますが、それにしても本当に隠れる気はないらしい。
鳥よりも、物陰にいる昆虫の方が外敵としてたちが悪いということなのかもしれません。
ウスカワマイマイ Acusta despecta sieboldiana
東京都羽村市 6月
晴天時のカタツムリは上のようにすっかり殻の中に引っ込んでしまっていますけど、なぜか明るくて目立つ所にいます。
明るい所に向かう習性があるそうなのですが、炎天下でも日向にいたりするので、そのまま煮貝になってしまわないか心配なのですが。
海にいるタマキビなみに不思議。
東京都羽村市 7月
こんな風に、上の方、明るい方へと進んでいきます。
もちろん十分な湿度がある時に限りますが。
東京都羽村市 6月
小雨の降る日に見つけた、小さな幼貝。
やや殻高があるので、おそらく本種かと。
ナミコギセル Euphaedusa tau
東京都青梅市(御岳山) 8月
御岳山のケーブルカー駅から続く道にある、じめじめしたコンクリ壁に張り付いていました。
カタツムリ以外の陸生巻貝はあまり見ないような気がするのですが、実はかなりの一般種なのだそうです。
主食はコケだとか。写真にもちょっとコケが写ってます。
東京都羽村市 6月
樹木の隙間などに水が溜まっている場合、たいてい近くにこいつがいます。
ただ、殻の巻き数や形がちょっと違うので違う種類の、しかも幼体な可能性大ですが。
ヒメオカモノアラガイ Neosuccinea horticola
東京都羽村市 7月
田んぼ近くの畦や水辺にいます。水中には入りません。田んぼの底が露出して乾いたような場所に点々と転がっています。
1センチにも満たない小さな貝です。
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