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カサゴ目 SCORPAENIFORMES
    トクビレ科 AGONIDAE
    ケムシカジカ科 HEMITRIPTERIDAE

積丹半島 4月

ヨロイを着たような姿だったり、ヒレの形が特徴的だったり、なんだか厳つい形をした魚のグループです。
基本的にみな北方性です。




トクビレ  Podothecus sachi

(左、右とも)羅臼 7月

水槽写真でごめんなさい。知床ダイビング企画内にある、アクアマリンふくしま行き水槽の中で撮ったものです。
この立派な背びれがザ・トクビレの印です。あんまり見れらないと聞いていたのですが、2008年には多く見られたようです。

通称「ハッカク」として、北海道では広く食されています。私も何度も食べました。特に刺身が美味しい。
たまに東京のスーパーにも入荷します。


(左、右とも)羅臼 7月

チシマトクビレとよく似ているのですが、やや大型になるのと、特徴的な背びれで見分けることができます。
しかし顔面のアップだとヒゲが目立ちます。


アクアマリンふくしま 4月

さて、同じ個体かどうかは判りませんが、アクアマリンふくしままで送られてきたトクビレたちです。
なんだか健康そうではあります。

ただ、人気については隣のナメダンゴやアバチャンの方が上みたいでした。


カムトサチウオ  Occella dodecaedron

(左、右とも) 羅臼 5月

羅臼でも超超超レアなトクビレ。
見つけた場所も、ローソク岩ポイントのドロップ下をさらに下った水深33mほどの砂地。
水温は0.7度くらい? クモヒトデとかが増えて、まるで深海のような怪しい雰囲気でした。
私のレギもちょっと限界っぽかったです。(エアー吹きっぱなしになった上、吸ってもちょっと渋い)
胸鰭の模様が特徴的。生態写真はかなり珍しいはず。
ちょっと大きな写真はこ ちら

テングトクビレ  Leptagpnus leptorhynchus

(左、右とも)羅臼 4月

なんか見慣れないトクビレだということでバチバチと撮影し、後からガイドの関さんに鑑定してもらったのですが、どうやらテングトクビレらしいとのことで す。口元のヒゲと目の前に突起が無いことが決め手でした。


羅臼 4月

上とは別の個体ですが、そんなに離れていない場所にいました。背中の白いのは傷のようです。


(左、右とも)羅臼 4月

久しぶりに見ました。7年ぶりくらい?
近くにオニシャチウオもいたのですが、やっぱりかなり小型のトクビレです。
やっぱりこの時期固有の生物なのでしょうか? 翌々日にはかなり多くの個体が出没していたようです。


チシマトクビレ  Podothecus hamlini

羅臼 10月

羅臼だと普通に見られるトクビレの仲間。しかしアツモリウオとかに比べてずいぶん地味です。
上の個体は周りをすっかりカレイに包囲されてましたが、食われてしまったりはしないのでしょうか。


羅臼 12月

チシマトクビレは夜行性で、ナイトダイビング中には多く見られます。かなり活発に動き回っています。
ちなみにチシマが付かない方のトクビレは、背びれと尻びれが巨大だそうで、一遍見てみたいものです。

アツモリウオ  Hypsagonus proboscidalis

(左、右とも)羅臼 5月

北の海のフォトジェニックな魚。
左の固体、こんな色の固体はなかなか見れません。
右の固体、よく見かける模様ですが、背びれの上に小さなウミウシが乗っています。


(左、右とも)羅臼 10月

背びれがちょっとモヒカン入ってるような。
羅臼にはたくさんいます。石浜にも流れてきてましたが、ものすごく小さい固体で撮影困難です。
(石浜ではありがちなことですが)


(左、右とも)積丹半島 5月

5月の積丹では、こんな立派なのは珍しいとか。
しかし、さすが平敦盛といった感じの睨みの効かせかたです。なんか手塚治虫のマンガっぽいような気もしますが。


(左)石浜 5月
(右)石浜 9月

出た、10円玉。てなわけで石浜に出現したアツモリウオの幼魚です。
成魚はなかなか現れないそうです。
右の個体は左と同じ個体らしいですが、当然ながら結構成長してます。それでも10円玉くらいですが。
まだ色は真っ黒ですが、そのうち知床や積丹の個体のように鮮やかな色になるのでしょうか。

ちなみに2003年はこのアツモリウオがずっと石浜のある場所に居座っておりました。2004年の2月にも確認しましたが、こんなこともあるんですね。


志津川 8月

志津川の小型アツモリウオです。とは言っても石浜のものよりは若干大きく、テレコン装備だと全身入りきらないくらいでした。
さらに体色が黄色。以前、女川町内で黄色い成魚サイズの個体が見つかってますが、実は三陸には多いのかも。


羅臼 8月

真っ白。こんな色彩変異もあるんですね。でも積丹で見たような真っ赤っかの個体は、羅臼ではまだ見てません。
逆に羅臼には積丹や女川では見られないようなバリエーションがあります。


クマガイウオ  Hypsagonus jordani

(左、右とも)羅臼 7月

水槽写真でごめんなさい。知床ダイビング企画内にある、アクアマリンふくしま行きの水槽で撮ったものです。
春の終わりから初夏にかけて、ほんの短い期間に良く見られるようです。アツモリウオと並んで武将の名前がつけられた凛々しい魚です。


羅臼 5月

ようやく海で見ることができました。
5月のナイトダイビングです。この夜はトクビレやビクニンがやたらと多く、当たりの日でした。


羅臼 5月

2016年、季節外れの大寒波と低気圧で大荒れの日が続いたせいで、透視度1.5mくらいの超濁りの中を潜ってみたところ、こいつに出会えました。
やっぱり暗かったり濁ってたりする方が好きなのでしょうか?


羅臼 6月

6月頃がよく見かけるシーズンらしく、割と普通に見かけました。
アツモリウオより色は地味ですが、形はかっこいいと思うんです。


オニシャチウオ  Tilesina gibbosa

(左、右とも)羅臼 3月

やや大型のトクビレ。2010年ですが、久々(7年ぶり)に見ました。
3月から5月くらいに、羅臼の深場に現れます。泳ぐと大変美しいのですが、さんざん写真を撮ってもなかなか泳いでくれません。
おそらく主な活動時間は夜なのでしょう。


(左、右とも)羅臼 4月

なんか古代魚のような風貌です。泳ぐときは胸鰭と背びれを立てて、まるで滑空してるように見えます。
このとき(2002年)は、ちょっと深場の方にちょろちょろいました。(写真はワサワサの向うのドロップオフ手前)
が、深場なので、帰りにガイド氏共々減圧が出てしまって水温0度の中でじっと減圧停止する羽目になったりしました。寒いっちゅ〜の。

ちなみに石浜で、こいつと似たような種類の「サブロウ(Occella iburia)」という魚を見たことがあります。が、その日は直前 のダイビングでカメラが水没してしまったため、撮影できなかったのでした。


羅臼 5月

2012年の5月、この年もオニシャチウオが大発生。ローソク岩のドロップの壁にたくさん貼り付いていました。
大きな胸鰭が広がると美しい。


羅臼 4月

腹はこんな感じになっています。ウロコがなんだか不思議な模様のような?


シチロウウオ  Brachyopsis rostratus

羅臼 5月

オニシャチウオと同じような場所にいてサイズも同じようなものですが、模様や体型など違っています。
上の写真はナイトダイビング中のものです。
割とよく見かけられるようです。


羅臼 6月

これもナイトダイビングに現れたものです。
おヒゲがあるのがオニシャチウオ、無いのがシチロウウオだそうですが、現場で意識して写真撮らないと後でわかりませんよね。
でもまあなんとなく区別してます。。。


ヤギウオ  Pallasina barbata

羅臼 10月

やけに細長いトクビレ。しかもずっとふわふわ泳いでます。撮りにくいったらありゃしない。
奥にいるカレイの目線がなんだか嫌な感じ。


羅臼 3月

3月の超寒い海でも見かけました。どうやら神出鬼没みたいです。相変わらずふわふわ泳いでいます。
次の日にも同じ場所に行きましたが、もういなくなってました。

ケムシカジカ  Hemitripterus villosus

(右)羅臼 10月
(左)羅臼 5月

ごつくてもさもさしたカジカ。まともに見たのは羅臼が初めてです。実は石浜にも出没したりしてますが。
厳密にはカジカではありません。ケムシカジカ科であり、イソバテングやホカケアナハゼと同じ仲間です。


羅臼 8月

これはナイトダイビング中のもの。どうやら夜間も徘徊しているようです。
この後、えらい勢いで逃げていきました。


(左、右とも)石浜の近くの温泉旅館の水槽 1月

こちらは水槽写真。
宮城県ではボッケと呼ばれる、超美味な魚です。北海道では奪い合いになって鍋が壊れるからナベコワシと呼ばれるとか。
私の生まれ故郷の万石浦にはたくさん生息していて、とくに潮の激烈に早い外海との境界付近に多かったようです。
ドジョウを生き餌にして釣ります。もちろんドジョウは淡水魚なので、長くは生きられないのですが、ボッケはこのドジョウがことのほか好きで、よく釣れたよ うです。しかし、あまりにこのボッケ釣りの人が船の出入りの激しい場所にいたため、人間が釣りの仕掛けに引っかかる事故が発生して、当該地点での釣りが禁 止になってしまったそうです。
件の事件から既に推定20年以上経過した今、ボッケと釣り人の関係はどうなっているのでしょうか。当該地点で釣りしている人は、少なくとも私は見たこと無 いですから、きっとボッケもドジョウの味を忘れてしまったのでは。

ところで2004年4月某日、都下のスーパーでこいつを発見しました。さっそく購入しまして、鍋にするにはもう暖かすぎるので、とりあえず味噌汁にするこ とにしました。
しかしこいつのさばき方がさっぱりわからない。全身がざらざらした皮に包まれていて、なんだか縦に潰れたような不気味な魚です。
知床で買ってきた魚の図鑑に「口を切ってそこから皮をむく」などと書いてありましたので、それに従って下あごのあたりに切れ目を入れます。(上あごは固く て切れない)
そこから無理やり引っ張ると、なるほどずるずると皮がむけます。
ちなみにこの魚、やけに腹が膨らんでいます。卵でももってるのかと思っていましたが、この皮むき作業の最中に腹を掴んだ途端、「げふ〜〜」というやけに下品な音を立てて引っ込んでしまいました。なんかうきぶくろに空気が溜まっ ていたのでしょうか。それともフグのように腹を膨らませる習性でもあるのでしょうか。謎です。
そんな感じで全身の皮を引っ剥がし、料理用ハサミでヒレを切ります。それから包丁で全身をぶつ切りにして鍋に入れ、少し煮てから野菜(大根、人参、仕上げ に葱)を入れます。煮立てて灰汁を取り、味噌を入れて完成。
食してみた感想ですが、小骨がむちゃくちゃ多い(^^; 身は煮すぎてしまったせいかちょっと淡白すぎる印象です。肝も煮てみましたが、どうもいまいち。
しかし出汁はべらぼうに美味しい。そういえばカジカってこんな出汁の香りなんだよな、とか思い出してしまいました。
煮干よりは控えめな風味で、やっぱりちょっと万人向けとは思えない印象をぬぐえません。でも私的にはとても好みの味です。
ちなみに20センチほどの個体で、お値段は\250でした。


仙台湾 大根岩礁 11月

宮城県の七ヶ浜町沖に大根岩礁という隠れ根がありまして、そこにはこのケムシカジカが多く生息しています。
そういうわけでこの町ではケムシカジカをよく食べているようで、「ボッケ祭り」なんていうお祭りまであります。
潜ってみると、確かにたくさんいます。割と珍しい魚のように認識していたのでちょっとびっくり。


イソバテング  Blepsias cirrhosus

羅臼 3月

北方系で、海草の間などにいつも隠れている魚です。上の写真も水中ではすごくわかりにくい状態でした。


(左)石浜 2月
(右)石浜 9月

北の海ではわりと定番の人気魚。体のわりに大きなひれがかわいらしい。
浮き袋が無くて中性浮力が取れないのですが、体中のひれをいっぱいに広げて水中グライダーのように滑空?します。


(左、右)石浜 9月

というわけで、滑空している姿を撮りたいダイバーに追いまわされるのが彼らの運命となります。
上の写真の個体は、しまいにゃくたびれて、カメラのストロボやハウジングに乗っかってました。


羅臼 8月

羅臼で貴重なナイトダイビングをする機会があり、その上がり際に見つけました。
石浜で見る個体より小ぶりで、ヒレも大きめ?
背景は例によって羅臼昆布。


石浜 8月

ちょっと寝起きみたいな感じ?
羅臼でナイトダイビングをした4日後、今度は女川です。
かなりの浅場で、身体、カメラ、じゃなま海藻、被写体全てが激しく揺らされて、撮りにくいったらありゃしない。

しかし2004年9月の台風により、ここのワカメは根こそぎ無くなってしまい、写真のイソバテングも行方不明と成りました。


石浜 7月

すっかり海草密林と化した石浜では、割とよく見かける魚になってしまいました。
この個体がいたのも、石浜にエントリーしてすぐの場所にある大岩です。
そりゃあこの姿だったら海草が多いほうがいいですよね。


ホカケアナハゼ  Blepsias bilobus

羅臼 5月

ちょっと珍しい魚なのですが、この日はラッキーなことに岩の上でポーズを取っていてくれました。


(左、右)羅臼 8月

アナハゼと名はついていますが、どう見てもイソバテングに近い。
大きなヒレが特徴的で、身体がちょっと太め? なのですぐわかります。
クラゲの中に潜んでたりもするらしいですが。


羅臼 5月

かなり水温の低い時期でも見かけるので、時を選ばず年中行動しているようにも見えます。


(右、左とも)羅臼 6月

ナイトダイビング中に現れた、ちょっと大きめの個体です。おそらくライトアップに寄ってきたプランクトンを狙って現れたものと思われます。
こうやってヒレを全開にさせると、結構迫力あります。


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