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原索動物 PROTOCHORDATA

石浜 10月  岩場の天然ホヤ

この連中、案外高等生物だったりします。
でかくなるとごらんの通りですが、子供のころはこれから魚に変化することを思わせるような姿。
しかしとりあえず、私の好物です。上のやつなんかころころ太って美味そう。


ウルト ラマンホヤ(仮)  Clavelina diminuta

八重山諸島 10月

人の顔に似ているということでちょっと話題になったホヤ。標準和名は無いみたいです。
サンゴ礁域で、秋から冬にかけてコロニーを作ります。群体みたいにつながっているわけではなく、それぞれ独立した個体のようです。

しかし確かに仮面みたいにみえるので、着ぐるみのウルトラマンみたいだというのは納得。
ところで左上に写ってる個体がムンクの「叫び」みたい。いや、ちょっとタレ目すぎるか。。。


チャツボボヤ Didemnum molle

沖縄本島 10月

穴が一個なのでカイメンかと思ってましたが、群体ボヤでした。
この白っぽいツボみたいなのが、たくさんのホヤで構成されています。
沖縄ではかなりありふれています。


オオサルパ  Thetys vagina
オオサルパ
石浜 1月

年明け頃、これの類をやたらと見かけます。大瀬崎でも、とんでもない量が漂っていることがありました。
連鎖個体を一つの生物としてみた場合、実は地球上で最長の生物だとか。
40m以上になるものもいるとか。シロナガスクジラより長いです。
あと、こいつの中にタルマワシとか独特な生物が潜んでいることがあるので、見つけたときはなるべく個体を一つずつチェックしてるのですが、まだ見たことは ありません。

サルパの一種

(左、右とも)雲見 4月

安全停止中に見つけた、非常に長い連鎖個虫群です。2メートルくらいあったような気がします。
最初、ボウズニラとかのクラゲか? とも思ったのですが、触手が見当たらないのでサルパでしょう。
水深6メートルほどの位置で、ゆらゆら漂っていました。


羅臼 7月

これまた正体不明なサルパの群体と思しきもの。
長さはそんなに長くありませんが、個体は小さく、写真のように卵のような粒粒をたくさん持っていました。


ナガヒカリボヤ  Pyrosoma spinosum

(左、右とも)三保 11月

浮遊性の群体ボヤです。
サルパなどよりも、はるかに小さな個体がものすごく大量に集まっています。
この日の三保には100mm装備で行ったので、全体が入りきらなかったのですが、大体1m前後のサイズです。
本種の平均的なサイズのようです。


三保 11月

遊泳能力はまったく無いようで、ひとたび海底に沈んだり、何かに引っかかってしまったらもう逃れる術は無く、あとはこうして魚についばまれる運命です。
魚にとっては天の恵みのようなものでしょうけど。


ヒカリボヤの一種

青海島 4月

春の青海島は浮遊生物多すぎなのですが、こんなのが漂っているのを見つけました
群体になってるしサルパの仲間だろう…とは思うのですがはっきり言って正体不明です。


アカボヤ  Halocynthia aurantium
アカボヤ
(左、右とも)羅臼 5月
北海道特産。食えるらしいですが、お土産屋では見かけませんでした。
食うという北海道出身者にも会ったことがありません。果たして美味しいのか?

↑みたいなことを書きましたが、先日積丹で食べてきました。
酢の物ではなく、塩だけで味付けしたようなシンプルな料理です。
生臭さはほとんど無いのですが、独特の臭いがあります。
味の方はなんというかフルーティな甘さというか、慣れてないとかなりきついですね。
マボヤとはかなり違う感じです。
とりあえず日本酒無しで食べるのはきつい感じでした。(逆に言うと、日本酒には合うというか)


(左、右とも)羅臼 3月

羅臼のローソク岩ポイントにあるホヤ岩? です。
こんな風に群棲するとなんだか見事です。ホヤの間には、カムチャッカモエビやカラフトシマモエビ、サフォーク(仮名)などがうじゃうじゃと住み着いてとて もにぎやかです。

ちなみにこれを撮る前日、羅臼の宿(らうすトキシラズさん宅)でこのアカボヤが夕食に出てきました。
マボヤよりも癖が無くて爽やかな感じで、以前に積丹半島で食べた時とはちょっと違う印象を受けました。


羅臼 9月

同じくホヤ岩ですが、前回撮影から6ヶ月経過してます。
ホヤの寿命としてはまだまだだと思うのですが、なんだかヘタってシワが目立っているような気がしました。


マボヤ  Halocynthia roretzi

石浜 1月

食用になる代表的なホヤです。
日本では、基本的には東北地方でのみ食されています。一応全国的に出荷はされてるようですが。。。

ちなみに上の写真を撮ってから大体1ヵ月とちょっと後、例の東日本大震災が発生しました。
豊かだった石浜がどんな風に変わってしまったのか、今の所知るすべはありません。



石浜 1月

いつも魚屋さんで見る姿は、丸く縮こまっている状態でしたので、水中でこんな風に水管を目いっぱい開いている姿を見るのは新鮮でした。

マボヤ群 マボヤその2
(左)石浜 1月
(右)山形 飛島 8月

左の写真は、海中に張られたロープに勝手にくっついて勝手に成長した天然もの。鈴なりです。
さすがに寒流の海だけあって栄養豊富。プランクトン食性生物の天国です。
右の写真は、ドロップオフにぽつんとくっついていた個体です。酒田では食べないらしいです。
透明度いいから食べ物少なくて太れないのかも。
ちなみに東京でもスーパーでホヤのむき身を売ってますが、なんかここ2,3年の間に身が小さくなってるような気がします。
もしや太ってるのは地元に出回ってるのだろうかと、女川のマリンパル(鮮魚の直売所がある)に行ってみましたが、やっぱり小さなホヤばかりでした。最近は 不漁なのでしょうか。


南勢 4月

伊勢志摩で最初に講習を受けたとき、伊勢では三陸ほどホヤはでかくならないという話を地元の人から聞いたのですが、実際に潜ってみるとなかなか立派なサイ ズのホヤがちらほらとみられました。
もちろん伊豆にはこんなのおりません。真珠も育ててします伊勢志摩マジックな海の賜物でしょうか。


女川 塚浜 11月

宮城、南三陸のホヤ養殖風景です。こんなにいっぱい育てても、日本では一部の人しか食べないわけですが。
宮城県の内陸部では、このホヤの殻を漬け込んで作る魚醤があるとか。お正月の雑煮の出汁専用らしいのですが、ものすごい匂いだとか。ぜひいっぺん食べてみ たいのですが、まだ実物にはお目にかかっておりません。


能登島 8月

能登半島のマボヤです。三陸の大群生に比べると、ぽつん、ぽつんという感じで寂しい限り。
三陸以外にホヤの食習慣が無いというのは、単に生育の状態の違いによるのかも知れません。


島根半島 8月

さらに日本海のマボヤです。とはいえかなり南です。
そこそこ大きなサイズでしたが、やっぱり三陸の美味しそうなホヤとはどこか違った風体なのです。
トゲが小さいせいか?


(左、右とも)広島湾 5月

今度は瀬戸内海のマボヤです。
三陸と同じくカキの一大漁場である瀬戸内海の広島湾ですが、果たしてホヤはどうか?
なぜか真っ白!? なぜ?
地元ダイバーの方にお話を伺っても、「いつも白い」とのことでした。また、「広島湾のマボヤは固くて食えない」とも。
食用のマボヤって結構生育条件が厳しいのかも。



石浜 3月

岩肌に定着した若いホヤたちです。
この時期の石浜ではやたらと目立ちました。
磯焼け対策のせいもあるのかもしれません。


石浜 1月

マボヤには体内に海水を取り入れる入水管と、体内から海水を排出する出水管があるのですが、これが結構特徴的な形をしています。
上の写真は、海水を排出する出水管。体内から水が出て行くので”−”マイナス記号の形?


石浜 1月

そしてこちらが入水管。体内に水が入ってくるので”+”プラス記号の形?


石浜 1月

この二つの穴で、呼吸、食事、排泄、繁殖行動の全てをこなします。
ちなみに閉じるとかなり気密性が高く、地上でもそれなりに低温状態におけば、体内に海水を閉じ込めた状態で何日か生きています。
マボヤの被嚢を食い破る生物は存在しないとも言われていますが‥。

しかし、そのタフなホヤをも窒息させて捕食するイトマキヒト デこそ最強なのかも。



(左、右とも)石浜 1月

マボヤの産卵・放精にたまたま出くわしました。
どうやら、濁って透視度が悪く、かつ底うねりが入っているような冬の日中にこのような行動を取る傾向があるようです。
ただ、全個体一斉にというわけではなく、一部の個体がばらばらに行っているように見えました。
マボヤは雌雄同体で、卵と精子を同時に放出しますが、なぜか自家受精はしないのだそうです。その仕組みはまだ良く分かっていないのだとか。


(左、右とも)女川 竹浦

震災後の三陸のホヤです。左は震災前からの生き残りらしき大物、右は震災後に着底したと思しき若い個体群です。
岩にびっしりと着いています。


イガボヤ  Halocynthia hispida
イガボヤ
石浜 2月

真ん中でうずくまっているのはクチバシカジカ。
そうです。奴の写真をとろうとして失敗してホヤとフジツボの写真ばかりになってしまったのです。
はうう(T_T)

ガマグチボヤ  Rhodosoma turcicum





(すべて)志津川 8月

世にも不思議な、「フタのある」ホヤ。
上の写真は、刺激を与えてフタを閉じた状態から、またゆっくりとフタを開いて入水管と出水管を開くまでを撮ったものです。
しかしこのフタ、ガードとしての効果はどれくらいあるのでしょうか?

マクラボヤ  Pyura sacciformis

石浜 12月

細長い身体の両端に出水孔、入水孔が付いている、独特な形をしたホヤです。
転石の裏側などに付いている場合が多いとか。
ちなみに写真の個体は、大きな岩の陰に張り付いてました。


ベニボヤ  Herdmania momus

雲見 4月

伊豆方面ではよく見かける、小型の半透明なホヤです。
表面にコバンイタボヤが張り付いたりするそうですが、まだ見ていません。


伊豆海洋公園 12月

よく分からないのですがとりあえず。
色彩変異が多いらしいし、被膿も厚くなるらしいし。たまにでかくなるらしいし。ちなみに写真のものはかなりでかいです。
まあとにかく、伊豆にしてはでかいホヤでした。
(マクラボヤの仲間かな?)

ただし、熱海の双大根、水深40メートル前後の深場で、もっとでかくて透明感のあるホヤを見たことがあります。
残念ながら当時のMyデジカメのハウジングはそんな水圧には耐えられないので、持参しなかったのですが。うう悔しい。

ハルトボヤ  Microcosmus hartmeyeri

石浜 7月

被嚢が非常に分厚くて堅牢なホヤ。
分厚すぎてそちらのほうが食料にされてしまうとか。

ユウレイボヤ  Ciona savignyi
ユウレイボヤ ユウレイボヤ2
(左)羅臼 4月
(右)石浜 9月

大瀬崎の砂地に転がってるムシロ?の下とかによくいます。
でも左のやつは羅臼の海底に堂々と立ってました。ちょっと違う種類なのかも。
カンテンボヤ(Eugyrioides glutinans)かな?
右のは石の下に張り付いてたもの。
透明感が好きで、昔は水槽でよく飼ってました。


女川 塚浜 11月

養殖のマボヤに貼り付いています。本来の目的であるマボヤを押しのけんばかりの勢いで繁殖しています。
マボヤに適した環境ならば、ユウレイボヤにも適しているのでしょう。しかしこいつらの天敵っていったい何?


神戸 垂水港 2月

神戸の垂水港で海底清掃に参加した際、海中から引き上げられた、大きな樹脂製の箱に張り付いていたものです。
海の中にはさまざまなものが落ちているのですが(この時はスクーターも落ちてた)、海の中にある程度とどまっていると、さまざまな生物が付着します。
ホヤの仲間は割と早く着くほうでしょう。最後はソフトコーラルでしょうか?

ちなみに神戸の垂水は明石にわりと近いのです。明石の蛸は有名。この時は蛸は見られませ+んでしたが。



羅臼 5月

思い切り体内が透けて見えるスケルトンなホヤですが、ユウレイボヤにしては柄が細い、というか胴が太い。
カンテンボヤとかもそう、こんな柄じゃない。同じく半透明系のマンハッタンボヤも同様。
そんなわけで決め手が無いままここに載せますが、羅臼にはたくさんいるので、いずれ正体はわかるでしょう。


シロボヤ  Styela plicata

三保 6月

6月の三保の斜面一帯は、なぜかシロボヤとベニボヤが大発生状態でした。
食えるという噂も聞きます。
また、シロボヤは汚染に対する耐性が非常に強いとか。
桟橋やロープに大量発生して被害を与える嫌われ者のようですが、上手く利用すると自然の浄化フィルターとして働いてくれるかも?


石浜 7月

さすがホヤの本場だけあって、まるまるとよく太っています。

ツツボヤの一種  Clavelina sp.

田子 4月

田子の造船所前という泥々した場所に群生していたものです。
割とよく見るタイプだと思います。
透明感があって結構きれい。背景は汚い(?)けど。

マメボヤ  Perophora joponica
マメボヤ
神子元島 11月

断じてマメボヤではないという気がしますが、正解がわからないので誰かに指摘されるまでとぼけておきます。
神子元ではあちこちにいますが、まあこんなの見てる場合じゃないだろ、という話も無いでもない。

キノコボヤ  Eudistoma parvum
キノコボヤ
神子元島 11月

これも怪しい。
まあ神子元は小物も面白いんですよ。あんまり見とれてるとやばいけど。

キノコボヤの仲間? 
キノコボヤの仲間
羅臼 4月

こっちの方もキノコボヤっぽいですが、オホーツク海なので生息地域を外れているような気が。
固く凝集してぷりぷりした手触り。


羅臼 5月

羅臼では気をつけるとたくさんいるのですが、やっぱり資料が見つかりません。
別にホヤの専門家ではないのでしょうがないのかもしれませんが。
でもこの透明感がなんだかとても魅力的。

アンチンボヤ  Pseudodistoma antinboja
アンチンボヤ
南勢 4月

オレンジ色のキノコ型群体ボヤ。伊豆ではあんまり見ないかも。
南勢には結構おりました。

ボウズボヤ  Syndiazona grandis

川奈 3月

伊豆ではところどころで見かける、大きめの丸っこい群体を作るホヤ。
上の写真はアップにしてみましたが、ちゃんと個体ごとに出水管と入水管がセットになっているのが判ります。

ウスイタボヤ  Botryllus schlosseri

志津川 7月

群体ボヤの一種で、貝や石などの表面を覆うように成長します。
写真の茶色い部分がそうで、白い斑点の部分を中心にして、ホヤの個体が放射状に並びます。

実は、この並んだ個体は遺伝的に同一で、血管を共有しているのだとか。
この、自分以外の個体(細胞)を遺 伝的に同じかどうか見分ける遺伝子の仕組みが、このホヤによって研究されているのだとか。
この全く動かないコケみたいな動物が、そんな大した仕組みを持っていること自体が驚きです。


ワダツミギボシムシ  Balanog,lossus carnosus

(左) 島根半島 8月
(右) 能登島 8月

脊椎動物にとても近い実験動物として重宝されている生物。
それだけではなく、砂中の有機物を摂取して砂を浄化する生物としてもとても有用です。
こんな風にとても役立ち、かつすごく数が多いのにも関らず、本体を目撃するのは難しい。
そんなわけで、写真も全て棲家および糞の山です。

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