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環形動物 ANNELIDA


この種の仲間は石の下や砂の中に隠れているので、なかなか撮影できません。
多くの種類が、石灰質やたんぱく質の殻を作って、その中に収まっている。基本的に魚や甲殻類などの餌。
釣り餌などでもおなじみ。そういえばイソメはなんでおがくずの中に入れると長持ちするんだろ?


ケヤリムシ  Sabellastarte japonica


山形 飛島 8月

飛島のドロップオフの途中で見つけました。鰓糸がぼんぼりのように丸く広がっています。


黄金崎 7月

ちょっと雰囲気が違いますが、これもザ・ケヤリムシ。
鰓糸の色やサイズは結構地域差や個体差があるようです。


オオナガレカンザシ  Protula(philippiprotula) magnifica

八丈島 2月

かなり大型のカンザシゴカイ。やっぱり大きいと華やかで綺麗。
八丈島にはたいくさんいましたが、伊豆以南ではそんなに珍しくないかも。

イバラカンザシ  Spirobranchus giganteus
イバラカンザシ
神子元島 11月

海底に咲いた小さな花のようだが、根っこはゴカイ。
大瀬の一本松の左側、砂地とゴロタの境目に、こいつがたくさんついた大きな岩があって目印になってました。


柏島 5月

全部イバラカンザシのはずですが、カラーバリエーションは一体いくつ?


黄金崎 7月

横から見るとこんな感じ。らせん状です。
なんかバベルの塔みたいな?


ロウトヒトエカンザシ  Serpula columbiana

羅臼 4月

左下のオレンジ色はナメダンゴ。本当はナメダンゴのバックにこれを入れたかったんだけど、左に岩があってこのアングルからしか撮れなかったのでした。
とりあえず、氷点下の海を彩るカラフルな生き物です。

ヒトエカンザシ  Serpula vermicularis

(左)石浜 5月
(右)羅臼 9月

左側にオレンジ色の突起物がありますが、これは鰓を引っ込めた時の蓋だそうで、殻蓋(かくがい)と呼びます。
これが平たくて、一つだけで、上面がわずかにへこんでいるのが「ヒトエカンザシ」。
また、深い漏斗状で、大きさが異なる二つの殻蓋があるのが「ロウトヒトエカンザシ」、らしいです。
上の写真ははっきり言って微妙。


オオメケヤリ  Megalomma acrophthalmos

(左、右とも)三保  11月

2008年11月に、真崎海岸で謎の大発生をしたケヤリたちです。
台風が当たらなかったせいだとか色々説がありますが、こんなに大群を作るのは珍しいようです。

ちなみに、鰓糸がケヤリムシのようにぼんぼり状にはなりません。



三保 11月

こうしてみると、エラコのように棲管どうしをくっ付けているわけではないことが分かります。
ばらばらの個体が高密度で生息している、群落を形成しています。


三保 7月

翌年の夏になっても、まだケヤリの群棲は続いています。
心なしか、個体のサイズがでかくなっているような気も。
しかし、台風などで一発大きな時化が来ると、全滅してしまうかもしれません。

なんて思ってたら、2009年の10月に、本当にまったく綺麗さっぱりと全滅してしまいました。

ミズヒキゴカイ  Cirriformia tentaculata

志津川 11月

日本どころか世界中に分布している、砂礫帯に住むゴカイ。ちなみに写真に移っているピンクのうにょうにょしたものはエラです。本体は砂礫の下に潜っていま す。
こいつの本体を掘り出すのは至難の技です。シャベルで周りの砂ごとごっそり掘り起こすと出てきますが、大変なので釣り餌に使ったことはありません。


クマノアシツキ  Acrocirrus validus

(左、右とも)大瀬崎 5月

ミズヒキゴカイの仲間で、体の前方に鰓が出てます。
上の写真は、大瀬崎のちどり側の転石下にいたものです。最初見たときは、この身体の前方になるにょろにょろ? が妙に気になりました。

本州中部以南の海岸に普通に棲んでいます。


(左、右とも)浮島 4月

この個体、尻尾の方を見ると、体内に砂粒のようなものが見えます。
ナマコのように、砂中の有機物を砂ごと摂取しているものと思われます。


スピオゴカイの一種  Spionidae sp.

(左、右とも)石浜 1月

砂地や泥地で時折見かける、細長い棲管と2本の触手。
実は注意して見ていると、北海道から沖縄まで、様々な海で見かけることができます。
もしかしてケヤリムシの類の、原始的な姿なのでしょうか。


浮島 4月

こんどは伊豆の個体。触角の模様とか、なんだか石浜の個体と同じ種類のようにも見えます。
結構活発に触手を動かしていました。


ニッポンフサゴカイ  Thelepus setosus

(左、右とも)石浜 7月

石の下などで、砂礫を粘液でゆるく固めた棲管を作って生活しているゴカイです。
写真は、浅場の石をひっくり返したら出てきたもの。出てくると結構元気よく暴れ、中々もとの石の下には戻ってくれませんでした。
写真だとまだ見れますが、動画だとかなりキモいと思われます。
10センチ近い大きさで、写真の通り丸々太っています。

フサゴカイの仲間はベントス(底生生物)調査などで何らかの目安になるらしく、よく調査されています。
女川の浅場には、それはもう嫌になるくらいたくさん棲んでいますが。

ジャムシ Neanthes virens

羅臼 4月

ずっと正体不明としていたのですが、6〜7月の羅臼でナイトダイビングをすると1メートル近い巨大ゴカイが目撃されるという話を思い出しまして、これが調 べてみるとどうやらジャムシっぽい。
繁殖期になると、泥の中から這い出して盛んに泳ぎ回るのだそうです。1メートルのゴカイが。しかもメスは卵を持っているので緑色に変色するとか。想像する だにすごい光景です。あるガイドさんはもうトラウマだとか。
ジャムシの生息域は東北から北海道だそうなので、地域的にも合っています。
ジャムシの特徴として、身体の両脇から出ている足?が幅広くてアゴがしっかりしてるとか。
上の写真だとアゴは写っていませんが、いぼ足の方は海外で撮られた写真とちょっと似た雰囲気がありますので、ジャムシってことにしておきました。
4月なのでまだ小さい個体ってことで。(ちょっと苦しいか。。。)

ちなみに国内だと「ジャムシ」という名は、釣り用語でイワムシ(Marphysa sanguinea)の事を指したりするのでちょっと注意。釣り人が「青ジャムシ」と呼ぶものは、本種とは関係有りません。

春の羅臼というのは、これもそうなんですが、他にもクモヒトデとか、いつも石の下に隠れているような生き物が、堂々と出歩いています。
まだ魚が少ないからでしょうか。石浜なんかもそうですが、冬から春先にかけては、無脊椎動物の活性が高いような気がします。

ゴカイの一種

石浜 3月

黒っぽい体色で、明らかな体節が見えます。
ウロコムシかウミケムシの仲間のようにも思えましたが、やっぱり明確な特徴は見られません。
そういうわけで正体不明です。
写真のように海藻のすきまをスルスルと、なかなかの速度で移動していました。


ユムシ Urechis unicinctus

(左、右とも)広島湾 5月

瀬戸内海の小島の浅瀬のガレ場で見つけたものです。
小さいし、動きがヒルじみてたのでちょっと怪しいけど、まあ「ながむし」の仲間でしょう。


大連 6月

参考画像です。
中国は大連市のホテルのレストランで生簀に入っていたユムシです。
中国語だと「生海腸」。一匹24元(約340円)でした。高級食材です。
知人の中国人(女性)が「美味しいよ〜」と薦めてくれましたが、うむむむむむまたの機会に。


ウミケムシ Chloeia flava
ウミケムシ
(左、右とも)羅臼 8月

夏の石浜でも見たことがあるのですが、はじめて見たときは何の仲間なのか全く想像がつきませんでした。
砂地をもぞもぞと這いまわる、虫とも貝ともつかず……しかしゴカイの仲間とは。
身体の両脇に生えている毛は、光の加減によっては光って見えます。素手で触ると腫れることもあるとか。
ナイトダイビング中にしか見たことがありません。
泳ぐとか、釣れるとか、いろいろな逸話があるようです。


志津川 1月

かなり派手にぎらぎら光ってます。
この個体、よく見ると2本触角?を出してます。


ケハダウミケムシ Euphrosine superba

志津川 11月

オレンジ色のちょっと派手なウミケムシ。本家と違って岩礁上にいます。サイズもちょっと小さめ。
背中の真ん中だけに毛がありません。
ちょっと北方系なようです。


羅臼 2月

こっちは本場の写真。志津川の個体と比べるとなんだか模様が派手です。

ゴカイの一種

三保 7月

おそらくウミケムシの類が泳いでいるものと思われますが、種類ははっきりしません。
ゴカイは夜間になると遊泳する種類がいて、多くは光に寄って来ます。
はっきり言ってナイトダイビングの定番。皆さん見なかったことにしてる場合が多いですが。(羅臼みたいにトンでもない量だと別ですが…)

ちなみに以前、スズメダイを飼っていたのですが、ヨコエビなどは喜んで食べる彼らが、泳いでいるゴカイに対しては、近くに寄っては行くのですが口に入れる ことはありませんでした。何か魚が嫌がる物質でも出してるのかも。

ゴカイの一種

青海島 5月

浮遊性の多毛類の何かと思われますが、定かではありません。
伸びて泳いだり、くるくると丸まったりと不思議な動きをします。


オオボネリムシ  Parabonellia misakiensis
ボネリムシ
大瀬崎 1月

日没後、大瀬崎湾内のほぼ中央から入ると、手前の小石地帯にたくさんいる謎の
このY字型に何の意味があるのかはよくわからないのですが、これでえさを探しているらしい。
いつか掘り出して身体を写してやろうとか思っています。できないような気もしますが。

カクレウロコムシ  Harmothoe imbricata

羅臼 2月

ヒトデや貝類と共生しているウロコムシ。共生とは言っても単に隠れ家にしているっぽいですが。
上の写真の個体は、単体でうろうろしてました。


志津川 3月

フサトゲニチリンヒトデの裏に隠れていた個体です。
なんともすごい所に隠れているものですが、ヒトデが捕食体勢になったときはどうするのでしょうか?


黄金崎 7月

タコノマクラの裏側で見つけた個体ですが、色が超地味で分かりにくいです。
ちなみに本種かどうかもちょっと疑わしい。


マダラウロコムシ  Harmothoe imbricata
マダラウロコムシ
(左)石浜 3月
(右)羅臼 2月

日本中に分布しているそうですが、しかしほとんどゴカイの仲間とは思えない、節足動物みたいな形をしてます。
ウロコは15対。

サンハチウロコムシ  Lepidonotus helotypus
サンハチウロコムシ
石浜 9月

写真の個体は黒いですが、栗色の個体もいます。結構色鮮やかで、エビの仲間かと思ってしまうのですが、実はゴカイの仲間。
ひっくり返して観察すると、まるでムカデみたい。
ウロコムシの仲間では、非常に大型の部類。とはいっても3〜4センチですが。


石浜 9月

これは割とよく見られる栗色(というかオレンジ色)の個体。
何を食って生きてるのか定かではないですが、たぶんデトリタスの類でしょうか。
まああんまり人気は無さそうです。私も子供の頃に飼育したことがありますが、なにぶんすぐに死んでしまって生態はさっぱり判りませんでした。


アステロフィリアの一種  Asterophilia culcitae

大瀬崎 2月

オオアカヒトデをひっくり返したら付いていました。たぶん寄生生物の類だと思うんですが、名前の方はさっぱり。

2018/6
どうもウロコムシの一種みたいですが、まだ正体わかりません。

どうやら共生ウロコムシ(Asterophilia culcitae)の可能性が高いです。
参考リンク https://www.gbri.org.au/SpeciesList/StudentProject2016%7CDavidWilloughby.aspx

シライトゴカイ  Filograna implexa
シライトゴカイ
石浜 3月

コケムシかと思って撮ったんですが、ゴカイでした。似たような石灰質の殻を作ってます。
石浜でも伊豆でも、気をつけてみるとそこいら中にいます。

赤っぽく見えるのがエラで、触ると引っ込んで全体が白っぽく変色していきます。

ウミヒルの一種?

黄金崎 7月

ヒラメの尾鰭に食いついていた、なんだか不気味な虫。体節も無いし、ペンネラとかじゃ無いように思えます。
ホンソメワケベラはこんなのも除去してくれるのでしょうか。エビはいやしいから食ってくれそうだけど。


ウマビル  Whitmania pigra

(左、右とも) 東京都羽村市 4月

日本全国の水田や沼地に、非常に広く分布しているヒル。
子供の頃、田んぼで遊んでいるときに見つけたことが何度かあります。いわゆるチスイビルより全然大きく、恐怖で寒気がした覚えがあります。
ところでウマビルなんて名前がついていますが、ウマはおろか人畜から血を吸う能力は全くありません。

普段、特に昼間は、上の左側の写真のように、身体を丸めてじっとしています。この状態だとはなはだ目立たない生き物です。
こいつにちょっと触ると、右の写真のように動き出します。


(左、右とも) 東京都羽村市 4月

動きだしたウマビルの移動速度は結構速く、身体の両端の吸盤を使って、シャクトリムシのようにするすると移動していきます。
しかし、色といい外見といい動きといい、きっきききききききもい。まさにきんも〜☆

でもこいつらはモノアラガイなどの寄生虫を媒介する貝を食べてくれる、どちらかというと益獣…と言ってはかなり言いすぎですが、まあ見つけてもそっとして おいてあげましょう。


東京都羽村市 6月

田んぼの水が干上がった所を這い回っていた個体です。
特に水中でなくとも平気なようですが、ヤマビルのように完全に地上にも出られないみたいです。
ちなみに地上でも結構素早い。

フトミミズ   Pheretima ieboldi

(左、右とも) 東京都羽村市 6月

小雨の振る中、畑の端っこのほうで地表を這い回っていた個体です。
雨のせいで地中の酸素が欠乏してるのかもしれません。
このまま誤って舗装道路の上に出たりすると、そのまま日干しになってミミズジャーキー状態になったりします。

ちなみにフトミミズは地面への潜行能力が高く、畑などの土壌を改良する効果が高い生物なのだとか。
その代わり、ミミズコンポストなどには不向きなようです。

シマミミズ   Eisenia fetida

東京都羽村市 5月

水辺の転石の下にいた個体です。
フトミミズと違って深く土中に潜行することはなく、この写真のように土の表面近くに住んでいます。
さらに乾燥にも弱いため、生息できる場所は限られるようです。
土中の有機物を摂取し、繁殖力にも優れているため、生ゴミを処理する「ミミズコンポスト」に利用されることが多いとか。
そのかわり、畑にいても土壌改良には役立たないようです。





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