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抱卵亜目 Pleocyemata / 異尾下目 Caridea
        および
 アナジャコ下目 Thalassinoidea

雲見 11月

イシダタミヤドカリ  Dardanus crassimanus

要するにヤドカリです。
ぱっと見はケガニみたいでちょっと美味しそう。食べるという話は聞いたこと有りませんが。



ソメンヤドカリ  Dardanus pedunculatus

(左、右とも)

相模湾以南に生息する大型のヤドカリ。
紅白の眼柄部がなんだか目出度い感じです。


カ ンザシヤドカリ  Paguritta vittata

沖縄本島 7月

サンゴに穴を空けて住むカンザシゴカイが死んでできた穴に住むヤドカリ。
穴があったら入るというのが異尾類の真骨頂?

アナヤドカリ  Discorsopagurus cavicola

石浜 1月

石浜では以前からよく見かけたのですが、それほど気にはしていませんでした。
それが、とあるダイバーがmixiで確認した所、アナヤドカリという結構珍しい種類だったとか。
そういうわけで、私も撮影してみました。
カンザシヤドカリと違って、かなり神経質です。

上の写真は引っ込んじゃってハサミしか写ってません。。


石浜 12月

今度は注意深く寄ってみました。粘るともうちょっと出てくるのかな?


石浜 5月

非常に透明度の悪い時期であったせいか、かなり活発に身を乗り出していました。
触角も盛んに動かしています。
100mm + 2倍テレコンで寄ってみました。



(左、右とも)石浜 5月

こうしてみるとかなり毛深い種類です。
しかし、こんな風に流れてくるものを待ってるだけで食料が確保できるのでしょうか?
確かに防御力はかなり高いとは思うのですが…。


志津川 8月

志津川で見つかった個体です。しかし、ハサミに模様があるのでもしかして別種かも。
すごく神経質な個体で、なかなか外に出てくれませんでした。


キタカンザシヤドカリ  Discorsopagurus maclaughlinae

(左、右とも)羅臼 3月

北方性のカンザシヤドカリの仲間ですが、棲家はカンザシゴカイなどの多毛類の棲管です。
他のカンザシヤドカリと違って自由生活をします。
上の写真だと、ヤドカリの反対側からカンザシゴカイのエラが出てますが、同居してるってことですね。
しかしイソギンチャクのように頼りになる同居人というわけではないような気がするのですが。


シワガニ  Dermaturus mandtii

羅臼 5月

背景色の関係で、小さい写真だとわけがわからないので、ちょっと大きくしてみました。
そんなに珍しい生物ではないのですが、非常に用心深いので、こんな風に撮りやすい状態は珍しいとのこと。
まあ浅場でうねっててたいへんでしたが。


コマチコシオリエビ  Allogalathea elegans

雲見 11月

ウミシダ類と共生するコシオリエビ。共生とは言っても、ウミシダにどんな利益があるのかな謎です。
ツートーンカラーで結構美しい。

コシオリエビの一種

志津川 7月

コマチコシオリエビみたいですが背中の白い模様が無いのでたぶん違う種類なのではないかと。
志津川、女川ともに普通に見かけます。

チュウコシオリエビ  Munida japonica

大瀬崎 6月

深場のソフトコーラルの根元などを探していくとさまざまな生物が見つかりますが、こいつもそんな生物の一種です。
鋏や歩脚に長い毛が生えています。また、甲の裏側に白い線があります。


オルトマンワラエビ  Chirostylus ortmanii
オルトマン1号
安良里 7月

最初はみんなムギワラエビと呼んでいたけど、途中からオルトマンワラエビになりました。ムギワラエビは本来はもっと深いところに住んでいるものだとか。
ところで、「麦藁」ならわかるが「オルトマン藁」とはなんぞや?
さらに言うと、この生物のどこがエビだというのでしょう? カニっぽい姿をしたヤドカリの仲間なのに?
謎の多い生物です。


雲見 7月

何回撮っても、ソフトコーラルバックの似たような写真になってしまいます。
何か生態的に面白い行動を取ってくれると助かるのですが、現状ではそんなシーンに出会ったことがありません。


雲見 4月

ちょっとバックを明るくボケ気味にしてみましたが構図は同じです。なんだかな。


タラバガニ  Paralithodes camtschaticus

(左、右とも)羅臼 3月

羅臼のベロ岩近辺で見かけた個体です。
なかなか大きいのですが、まだ食べられるサイズではありません。
このくらいのサイズのものが、海底でピラミッド状に積み重なるという謎の行動をとるそうです。

タラバ
羅臼 4月

私的には毛ガニの方が美味しいと思うのですが。
羅臼のちょい深場にたくさんいました。食えるサイズにはほど遠いけど。ちなみに下のほうに写ってるのはビデオテープみたい?



(左、右とも)羅臼 4月

これは十分食える成体サイズ。足一本でもいいからくれ〜。
海藻をハサミでつまんで食っているように見えたのですが気のせいでしょうか。
ローソク岩の「岬」のあたりを徘徊していました。そんなところにいたら網にかかっちゃうよ。


羅臼 9月

非常に小さな幼体です。着低直後は体型からして違っています。どっちかというとエリタラバガニみたいな、洋ナシみたいな体型です。
これからトゲトゲが生えてくるのでしょうか。


羅臼 9月

またまた小さな幼体です。どうやら夏の風物詩のようです。
しかしこんな子ガニがあと半年あまりでピラミッド作れるほどのサイズに…?


メンコガニ  Cryptolithodes expansus
メンコガニ
(左)石浜 2月
(右)石浜 3月

石浜名物メンコガニ。つーか、石浜以外で撮影された写真を見たことがありません。
余談ですが、だいたい親潮系の生物って、岩手の大槌湾で撮影されたのが多いですね。一般人は潜らせてくれないのでしょうか、大槌湾。
色が鮮やかですが、自然光で撮ると驚くほど地味。でこぼこした体が完璧な擬態になってます。
右の写真は繁殖期のもの。オレンジなのがオスで、ピンクがメスだとか。


石浜 12月

ひっくり返してみました。甲羅が大きく見えますが、本体はかなり小さいですね。
すごく薄っぺらい構造で、隙間に隠れるのに適しているし、手足の動く部分甲羅に隠れて見えないようになってます。結構知恵者ですね。


石浜 3月

ちゅっちゅしてます。おそらくまだ交尾には至っておりません。
本種の♂♀は本当に仲睦まじいというか、何だかずいぶんといちゃいちゃしているような気がします。
(平たい体型なので交尾体勢になるのが大変なのかもしれませんが)

ティーダゼブラヤドカリ  Pylopaguropsis bellula

八重山諸島 10月

2007年4月に新種登録されたという、美しい南方系のヤドカリ。
ティーダとは琉球語で「太陽」を意味するそうで、鮮やかなオレンジ色の体色から名づけられたのだとか。
西表島近くの「黒島」の洞窟にたくさん生息してます。
こいつの撮影だけで、洞窟の中に30分こもってました。

ムラサキゼブラヤドカリ  Pylopaguropsis keijii

八重山諸島 10月

ティーダ同様、黒島の洞窟内に生息していたものです。ゼブラヤドカリの仲間はだいたい洞窟の奥にいるのだとか。
体色が鮮やかな紫色です。

ケフサゼブラヤドカリ  Pylopaguropsis fimbriata

(左、右とも)八重山諸島 10月

さらに黒島洞窟内のゼブラヤドカリ。ログ付けのとき、バグリステス・ジャルールじゃないかという話でしたが、触角が紫色なのでケフサゼブラヤドカリでしょ う。
ゼブラヤドカリの中ではとっても普通種。でもこれはこれでキレイです。黒目がくっきりしていて、なんだか視線が怖い(笑)

ケブカヒメヨコバサミ Paguristes ortmanni

志津川 1月

北方系で割と大型になるヤドカリです。
かなり毛深く、目と触角が紅白のツートンカラーになってます。


青海島 8月

青海島は甲殻類の肩身が狭いポイントなので、ヤドカリもかなり少ないのですが、本種を見つけることができました。
あんまり大きくありません。


クロトゲヒメヨコバサミ Areopaguristes nigroapiculus

(左、右とも)志津川 1月

左右のハサミが同じ大きさ、特徴的な形の触角と赤っぽい体色、体毛はほどほどです。
もうすぐ標準和名が明らかになるかも。
2020/9/21
挟脚の先端が黒いことから、クロトゲヒメヨコバサミということになりました。
とはいえ、この名称で画像検索しますと、微妙に違う写真はがけっこう引っかかります。
けっこう全体の色合いの変化が多いようですが、この脚の先っちょが黒いという特徴は変わらないみたいです。


(左、右とも)石浜 5月

最初はケブカヒメヨコバサミかと思ったのですが、眼柄部の模様が違うのでこっちの仲間かと。
テレコンで顔面を狙ってみたのですが、この触角から出ている細かい毛? 結構長いです。
それにしても殻がぼろぼろ。そろそろ引越しを検討したほうが良いのでは。


テナガツノヤドカリ Diogenes nitidimanus

志津川 7月

異様に長い鋏脚を持ったヤドカリ。
日本には広く分布しています。


志津川 7月

長い鋏脚を使って砂に潜ろうとしています。
このあたりの行動が独特です。


志津川 7月

幼体? 特徴は似通っています。


ヤマトホンヤドカリ Pagurus japonicus

浮島 4月

大型になるそうですが、写真の個体はまだまだ小型です。
体が全体的に赤っぽく、脚に紅白の輪帯があるのが特徴です。


アカシマホンヤドカリ Pagurus erythrogrammus

(左、右とも)志津川 1月

2003年に発表された新種だとか。
とはいっても珍しい種類ではなく、他の種と混同されていたものだそうです。
赤っぽい体色、歩脚の第一関節に白い点、脚と眼柄に赤い縦じま、オレンジ色の第一触角が目印なようです。


石浜 12月

最初に写真を見たとき、ゼブラヤドカリみたいな縦じま模様がちょっときれいだと思いましたが、調べてみると普通種でした。
というか今まで気付かなかったのが不覚。


志津川 7月

アカシマホンヤドカリのカップルです。
オスがメスをがっちり捕まえてはいますが、メスが殻から触角を出しているのが、なんだかきょとんとしているように見えます。


黄金崎 7月

本当に赤い、アカシマホンヤドカリです。東北の個体より色鮮やか。
しかしかなりの小型個体で、背負っている貝もタケノコガイ系の小型巻貝です。


ホンヤドカリの一種

志津川 1月

アカシマホンヤドカリっぽいのですが、歩脚に白い点が無いし、触角の色も違うのでたぶん違うかと。
でも何かと聞かれるとわかりません。


アオヒゲヒラホンヤドカリ  Pagurus decimbranchiae

青海島 8月

ホンヤドカリの中では非常に小型の種類。ベージュの体色に赤っぽい縞模様ですが、何せ小さいので目立ちません。
青海島の浅場にたくさんいます。


イクビホンヤドカリ  Pagurus proximus

志津川 1月

手足には黒っぽい横縞、グレーの地色、基本的に毛深くて、目玉には模様があります。
ぱっと見なんとなく判別できる小型ヤドカリです。


石浜 3月

メスをキープ中の、いわゆるカバンヤドカリ状態です。
ヤドカリ共通だと思うのですが、こんな風にメスを抱えたまま、真後ろにバックして逃げていきます。
これはまあまともなカップル。


志津川 3月

これもカップルです。右のオスが左のメスの殻をしっかり掴んではいるのですが、メスは気にせずに何かをむしゃむしゃと食べています。
色気より食い気ってことでしょうか。ヤドカリの世界のスイーツ(笑)なのかもしれません。


石浜 8月

何をやってるんでしょうか?
メスを抱えたままロッククライミングしてたのでしょうか。
どっちみち落ちても死なないのですからそんなにがんばらなくても。


テナガホンヤドカリ  Pagurus middendorffii

志津川 1月

割と北方系のヤドカリ。手足には毛が無くてつるんとした印象です。
他のヤドカリに比べてやや大きめ。

ユビナガホンヤドカリ  Pagurus minutus

志津川 1月

右のハサミが大きく、身体には不規則なまだら模様。
手足には短い毛が散在します。歩脚の爪の部分が、その前の節より長いのも特徴です。
転石帯や砂泥地でよく見られます。

シマハダカホンヤドカリ  Pagurus nipponensis

石浜 3月

身体の割には小さな貝殻を背負い、砂地をせわしなく歩き回っています。
いつもはさみ足を身体の方に深く折りたたんでいるとか。
ちなみに身体が赤みを帯びていて、歩脚に褐色のラインが入っているとシマハダカホンヤドカリ、そうでなければハダカホンヤドカリなのだとか。


石浜 1月

この種はやたらと逃げ足が早いため、逆に見つけやすいという特徴があります。
進退窮まると殻を捨てて逃げ出すと言われていますが、未だにそんな光景は見たことがありません。


石浜 8月

メスを捕まえたところです。大きさが結構違うので、このオスもロリコンの気があるのではないかと。


イガグリホンヤドカリ  Parapagurodes constans
イガグリホンヤドカリ
石浜 9月

石浜では極普通に見られるヤドカリ。やや北方系で、伊豆ではあまり見られないとか。石浜にはたくさんいます。
背負っている貝にイガグリウミヒドラが群生します。なんでこの種が背負っている貝にだけ群生するのかは不明。
貝殻に比べると身体がでかいような気がします。

カイメンホンヤドカリ  Pagurus pectinatus
カイメンヤドカリ カップル
(左)羅臼 4月
(右)石浜 11月

身体に比べてしょってる家が巨大。だけどカイメンだから軽い。まあ、貝殻なんてしょっても所詮タコの牙に対しては無力だし、カムフラージュということを考 慮すればそれなりに有効な施策ではないでしょうか。イソギンチャクみたいにメンテの手間も無いし。

ちなみに左の写真は、左がオスで右がメス。オスが必死でメスをキープしてるところ。


石浜 2月

上の写真の連中は積み重なって何をしてたんでしょう? 場所は石浜の砂地。隠れる場所もない。
下のでかいのはカイメンホンヤドカリですが、上に乗ってる細かい連中はなんだかよく分からない。親子でしょうか?


石浜 2月

同じ場所をちょっと上から撮るとこんな感じです。ヤドカリだらけ。
しかしこんなところタコが発見したら大喜びでしょう。ちなみにこの日はでっかいミズダコもました。砂地からはちょっと離れた堤防沿いのゴロタですが。
ヤドカリのキャラバンは無事に海底砂漠を横断して隠れ家を見つけられたのでしょうか?


石浜 12月

なんだか固まって遊んでいるかのように見えますが、繁殖行動っぽいです。
たぶん右の個体がメス。


石浜 3月

カイメンを背負ってませんが、おそらく? たぶん? 本種。
不規則な模様と毛深い歩脚およびはさみ脚。

ちなみにキープしてるメス、ちょっと小さすぎませんか? もしかしてロリコン


石浜 1月

傷ついたウニを襲っている、やや大型の個体です。背負っている貝も、ヒメエゾボラあたりでしょうか。
(2020/9/21 ご指摘があり、カイメンホンヤドカリになりました)

オホーツクホンヤドカリ  Pagurus ochotensis

羅臼 5月

ちょっと大きなヤドカリ。北方系の大きめの巻貝の中に入ってます。羅臼ではわりと多く見られました。
10月頃には大群を作るらしいですが、そっちの方はまだ見たことありません。


羅臼 2月

2月ですが、なぜか大群を作っていました。
とは言っても、上の写真はもう群れが消える寸前。
多いときは本当に砂地を埋め尽くすのだとか。


羅臼 3月

これもメスをキープしているカバンヤドカリ状態ですが、すっくと立ち上がってるみたいで結構凛々しいかも。
まあもちろん全力で後ずさりしているわけですが。


羅臼 4月

こっちはがんばって口説き中と思われます。
「ね〜僕と結婚しようよ〜」
「嫌〜!!」


羅臼 3月

いや、殻にホヤがにょきっと立っているのが面白いというか、ただそれだけなんですけど。


ツマベニホンヤドカリ  Pagurus brachiomastus

(左、右とも)志津川 7月

砂地に多く見られる種類です。
この写真の個体は、世間に出回っている同種とは大きく異なっていますが、ガイドさんの見立てではおそらく幼体ではないかと思われるそうです。
確かに手足の先端が赤っぽく変わっていますが、はてさて。


石浜 8月

石浜でも探すと結構見つかります。でも、探さないと見つからないというレベル。
この個体は、つめの先が結構赤くなってます。


羅臼 9月

志津川でも女川でもがんばって探さないといけなかったのに、羅臼では全くの雑魚。
というか本種ばっかり。ちいさなヤドカリはほとんど本種でした。もしかして北の方が得意なのでしょうか?


カニダマシの仲間?

石浜 2月

どなたでしょうかね? なんか鮮やかな色が気になって撮ってみたんですが。

エリタラバガニ  Sculptolithodes derjungini
エリタラバガニ
羅臼 10月

甲羅がイチジク? みたいな形をしてます。足が3本なのでなんとなく理解はできるけど、「タラバガニ」?
ちょっと珍しいようです。


羅臼 4月

わりと深場にいる種類のようで、浅いところでは見たことがありません。
まあ浅場は外敵も多いし、このくらいのサイズの生物には隠れる場所も少ないのかもしれません。


羅臼 3月

水深25m近辺にいた個体で、立派な成体です。でこぼこしていかついフォルムと真っ赤なボディ。


イボトゲガニ  Hapalogaster dentata

石浜 3月

実はこいつにはすごく見覚えがあります。子供の頃に海辺で遊んでいるときによく見つけました。
足が6本しかない変なカニでした。
それにしてもどれがイボでどれがトゲなのやら。


石浜 8月

ずっと岩陰などに潜んでいる種らしいですが、アクシデントなのかなんなのか分かりませんが、結構岩上にいることがあります。
でも、そういう目立つところにいる場合は、大抵逃げ腰というか、じりじり移動している場合が多いです。
ちなみにショウジョウガニと違って毛が少なくなっています。


ショウジョウガニ  Hapalogaster grebnitzkii

(左、右とも)志津川 1月

イボトゲガニ同様、潮間帯の石の下などに普通に生息している生物です。
上の写真は繁殖期で、卵を抱えているメスのものです。
このメスは腹のほとんどが卵を抱える尾部になってました。

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