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近海モノコレクション Logs


最近行った海の中から気まぐれに選んだログです。

霧の中の陸奥
瀬戸内海で謎の爆沈を遂げた旧日本軍の戦艦「陸奥」。
そこに潜らせてもらえるという情報を得ました。

女川ダンゴウオ結婚事情
春の石浜はダンゴウオだらけ。
年に一度の繁殖期です。

厳寒の羅臼でアバチャン
初めての冬の羅臼でのダイビング。しかも連日ナイトダイビング。
ドライスーツは水漏れしまくり。しかし最後に意外な出会いが。

土砂降りと濁流 のケラマ
日本のダイビングのメッカとしてあまりにも有名なケラマ。でも良いときばかりでもない。

海ゆかば藺灘波(いなんば)
御蔵島と八丈島の間の海域に忽然と存在する巨大な岩。最近ちょっと知名度が上がってきた?

銭州で慢心創痍
流れや波のある、本来の姿にちょっとだけ近づいた「銭州」。
そこはやはり、一歩間違えばかなりやばい場所でした。

マニアックポイント3連発(南 勢、三保、女川)
一部マニアには人気のあるポイントをはしごしてみました。
案の定、濁ってる、被写体の挙動や位置が厳しい。しかも器材トラブル続出。

積丹で風邪っ引きにトド

最大で体長4メートル、体重900sの巨大海獣、トドの舞う海へ。
会える時期、会える場所、会わせてくれるサービスを選んで行ったはいいが、体調が……。

羅臼でカレイに囲まれる

十勝沖地震直後の北海道。だけど海の中はどえらい賑わい。
野次馬のごとく追随するカレイたち。

次は四国だ! 黒潮の海はし ごツアー  (+番外編 なぜか酒田港)

西日本のメジャーなポイントをはしごしようとしたら、ことごとく台風が直撃!?
で、トドメは海上置き去り?

真夏のドライスーツだ石浜

群発地震直後の宮城県。海中は、真夏なのに未だかつて無い低水温……。

待てば海路の日和ありってわけで銭州(ぜにす)

石廊崎の南西80キロの海上。360度陸が見えない絶海の岩礁地帯。
人外魔境か温帯水中生物の楽園か。

2003GW北の海はしごツアー

クリオネが舞い、タラバガニが海底を駆ける羅臼。巨大ミズダコと真っ赤なアツモリウオの積丹。クチバシカジカを筆頭に珍魚の宝庫女川。
北海道、東北のメジャー? なポイントをはしごしました。


霧の中の陸奥

その話を最初に聞いたのは、2009年の10月の沖縄、調布のドラえもんことK氏からです。
最近年に一回の、kuroさん夫妻主催の沖縄セルフダイビングツアー中でした。
そこで初めて、K氏が広島出身であること、それから潜って「陸奥」を見ることができることを聞いたのです。

「陸奥」とは旧日本海軍の戦艦で、「長門」の姉妹艦でした。
全長: 224.94m
全幅: 34.6m
排水量: 43,400t
という、巨大なスペックを誇ります。
(ちなみに東海汽船のさるびあ丸と比べると、全幅全長ともに約2倍あります。比べるなって?)
(さらにちなみに、史上最大の戦艦大和は全長263m、全幅38.9mです。このクラスになるとあんまり変わらない?)

陸奥は太平洋戦争中、戦局に大きく関わることなく、1943年6月3日、広島湾沖の柱島泊地で謎の爆沈を遂げました。
原因不明のまま、乗組員1474人中、1121人を道連れにして沈没してしまったのです。

戦後、陸奥の船体の引き上げが行われ、現在では全体の70%が引き上げられて、解体もしくは全国各地に展示されています。
それでもまだ、船体とブリッジ部分(測距儀)および主砲が、ほとんど残骸ですが、まだ海底に沈んでいるのです。

その後、K氏主催で広島&「陸奥」ツアーが組まれることになりました。決行は2010年のGW。

2010/5/1
しかし2010年のGW、私はどうしてもやりたいことがあって、羅臼に行ってました。
この年の春の羅臼はどう考えても「当たり」なのです。なのに、3月は自分のミスで散々な出来でした。
絶対にもう一度行かねばならない。そんな思いで、GWの前半は羅臼に行っていました。
(まあ気は済んだというくらいの収穫はありました)

しかし、おかげで羅臼から広島直行という強行スケジュールになりました。
羅臼最後の夜、同宿のベテランダイバーの皆様の飲み会の時にそのことを話したのですが、広島でのダイビングについては、どなたも何も聞いたことはないよう でした。(ちなみにみなさん、国内外を桁違いに潜り倒したベテランぞろいです)

そして翌日、私は予定通り女満別から羽田に移動し、そして飛行機を乗り継いで広島に向かいました。


2010/5/3
羅臼から広島への宅急便での器材移動に不安を覚えていた私は、結局カメラ器材をすべて手持ちで運びました。
えらい分量です。
しかも宿泊させてもらったK氏の実家は、広島市から遠く離れた可部。こんな荷物もって電車移動なんて面倒くさーい!
と私が文句言ったせいで、この日の朝はタクシー移動。K氏はかなり不満があった模様。すまん。

予定時間よりかなり早く、現地ショップ着。
K氏の話では店の前から船が出るから楽ちん、とのことでしたが、あれあれ、器材を車に積んでますよ?
残念ながら、事情が変わって所定の船着場じゃないと船が出せなくなったようです。
ま、ともあれ初の瀬戸内海ダイビングに出発です。
今回のメンバーは、K氏ともう一人、チャレンジャーなダイバーのS氏です。お二人には今回の写真のモデルにもなってもらいました。



船は出航後、1時間半ほど走り続けて、柱島付近までやってきました。
天気は良好、海面はベタ凪、最高のコンディションです。海の上は。

ちなみに事前情報では、水温は16度程度とのことでした。
ドライスーツだと快適な水温ですが、先ほどのカメラ同様、羅臼からの輸送に不安があったため、私は広島にはロクハンしか送っていませんでした。
まあ16度ならロクハンでも十分です。16度なら。

1本目、ボートからエントリーします。



水深0m。なんとなく白濁したような感じです。水温は14度。ちょっとヒヤッとします。16度って言ったのに。。。
まあでもロクハンなのでまだまだ大丈夫。
ここから、陸奥の船体に括り付けられたロープを手繰りながら潜行します。
陸奥の最上部は水深12m。



ここが陸奥の最上部。転覆しているので、船底の最下部ということになります。
水深12m、水温は13度。シルトのような細かい粒子でしょうか? 結構濁っています。
でも透明度4〜5mはありそう。思ったよりはマシな状態です。



これが陸奥の船底の側面です。細かいシルトが積み重なって表面を覆っています。
赤いのはエントウキサンゴ、あとイボヤギ?
魚は時折小さなベラを見かけるだけで、ほとんど見当たりません。(かなり大きなイシダイが根付いているそうですが)
水深20m。ここでなんと水温12度。つつつつ冷たい。しかし昔は両面ジャージのウエットでも潜った水温なので、ロクハンなら余裕なはずなのですが。
やっぱし冷たい。いや前々々日まで羅臼の水温0度に潜ってたはずなのですが。でも冷たい。



のっぺりした船底から、やがて廃墟のような様相に変わっていきます。
陸奥の船体中央部のかなり上の方だと思うのですが、引き揚げ作業の際に切り刻まれた可能性もあるのでなんともいえません。
絡んでいるのは魚網です。
水深は26m。かなり薄暗くなってきました。水温は相変わらず12度。



船体にぽっかりと穴が開いています。これ、窓かと思っていたのですが、調査の際に開けた穴なのだそうです。
ということはここから中に進入したということでしょうか?
中は真っ暗で、かなり不気味な感じがします。
相変わらず水深は25〜6m。水温12度。



船体の大きな裂け目のような場所がありました。
ちょっと大き目のエダアザミがぶら下がっています。
爆沈の時に裂けたのか、引き揚げ作業のときに破壊された後なのかは不明です。
相変わらず水深は25〜6m。水温12度。



内部の構造物がむき出しになっています。船体がここで真っ二つになったのか、されたのか。
元は床だったのか、壁だったのか。
相変わらず水深は25〜6m。水温12度。



覗いてみても、やっぱりわかりません。不気味な暗がりが広がるばかりです。



暗がりを湛えた巨大な廃墟。
少し浅めに移動して、水深20m前後。水温は12度のまま。



廃墟の住人たち。アカヒトデがぽつんとはりついています。
右は、イボヤギと、ニシキリュウグウウミウシの一種。2個体います。陸奥の周囲にたくさん発生していました。
彼らにとって、ここは廃墟ではなく、にぎやかな都会なのかも。



輪切りになった戦艦陸奥の最上部近くです。白いフィンの隣にある三角形の突起が、アンカーロープのある場所、つまりスタート地点です。
水深15m前後。水温は13度まで上がってきました。ちょっと暖かく感じます。気のせいなんですけど。



そして戻ってきました元の場所。
これで1本目は終了です。
船体の中腹をぐるっと回ってくる、初心者向けのコースのようでした。

このあと、船上で弁当やカップラーメンを食べて休憩です。
ベタ凪なので休憩も楽。天気も良いし昼寝しましょう。窒素抜けろ〜。

そして2本目。
ガイドさんが陸奥に詳しい方に変わりました。
今度はブリッジ方面に向かいます。目標は武式8メートル測距儀。さらにブリッジ内の配管なども見えるかもしれないとのこと。
ちなみに陸奥は年々砂の中に埋もれつつあり、残された主砲なども今ではほとんど埋まってしまったとか。
目標の水深は35m前後。急いで行って、急いで帰ってくることになりそうです。

そんなわけで2本目エントリー。
おっと、微妙に流れが強くなっています。ロープをしっかりとつかんで潜行。
陸奥の船底にたどり着くと、明らかに1本目より透明度が劣化していました。浮遊物が増えています。しかも若干流れあり。

透明度2mくらい? ちょっと離れただけで、ガイド氏やバディたちの姿が白い靄のような浮遊物の陰に隠れて見えなくなります。
全員ライトを点けますが、それでもライトを直接こちらに向けてもらわないと、誰がどこなのか分かりにくい程。
全く、ワイドレンズで写真を撮るにはかなりチャレンジングが状況です。

今度は、アンカーの場所からまっしぐらに深場を目指します。水温は相変わらず冷たい12度。



きれいな丸窓です。水深28mほど。すでに周囲は真っ暗近い。



フェアリーダーです。しかしこいつがあるってことは、もう船べり?
既に水深30m付近です。



むき出しの鉄骨? ブリッジ部分の残骸にたどり着いたのでしょうか?



これも何かの建材の輪切りのように見えます。おそらく、バラバラになったブリッジ部分の残骸と思われます。
もう水深35m付近。



同じく、水深36m付近に転がっている何かの残骸。もうすっかりナイトダイビング状態です。
もしかして測距儀の一部? なのかもしれませんが、全貌はさっぱりわかりません。



水深36m付近にあった、何かの構造物。
「4.5m副砲用測距儀」にちょっと似ているような気もしますが、定かではありません。



不気味な海底廃墟が続きます。まだ水深30mくらい。
ブリッジの残骸と魚網の切れ端が絡み合った奇怪な風景と、濁った水、さらに若干の潮当たり。
加えてなかなかの水深。誰かがパニック起こしてもおかしくない状態です。

そういえばこの場所、爆沈事故の犠牲なった方々の、大半の遺体がまだ引き揚げられていないんですよね。
例えば御巣鷹山の航空機事故、あれの倍以上の方がこの場所で亡くなっているはず。
霊感が強いとかいう方であれば、絶対に近寄りたくないでしょうね。ここ。
水中で思わず合掌。



ブリッジ部分のある深場から、再び船底へと浮上します。
透明度は相変わらずひどい。水深16mくらい。



船底の穴を覗き込んでいます。
真っ暗だし、水が濁りすぎていてライトで照らしても何も見えません。
水深13m。



透明度は相変わらずこんなもんです。緑色の濃霧に覆われた世界です。
この後、アンカーロープで安全停止の後、浮上。
2本目終了です。



上がってみると、やっぱり穏やかな海です。
ガイドしてくださったKKさんによると「こんなに濁ってるのは珍しい。ツイてなかったですね」とのことでした。
しかしおかげで不気味さ倍増。めったに見れないものを見せていただきました。



ちなみに今沈んでいるのは上の写真の黒い四角で囲まれた部分の辺りです。(すごくテキトウに線引いてます)
他は既に引き揚げられたか、爆発時に破壊されてしまったか、今では砂に埋もれてしまったかのどれかのようです。

一応この次の日も、初瀬戸内海での普通のファンダイブが控えていますが、まあ目的の陸奥も見れたので、K氏、S氏とともにお好み焼き屋で乾杯しました。
広島焼きうめぇ。また行きたいね。

ポイント名    陸奥 
  陸奥   
潜水時間
35分
31分
最大水深
29.5m
36.8m
平均水深
18.1m
18.3m
水温上
14℃
14℃
水温下
12℃
12℃



女川ダンゴウオ結婚事情

2009年は100年に一度の大不況とかいう触れ込みで始まりました。

その大不況のお陰で、大都市近郊以外の高速道路がみんな1000円になりました。
普段なら車で遠出する私ですが、今回はちょっと嫌な感じがしました。
この話にまんまと乗せられると、一律千円以上のコストを強いられるようなそんな気が。

というのは冗談で、この春は仕事上いろいろあったので考えるのが億劫になったというのが正直な所です。
そういうわけで、2009年のGWは、石浜に二日潜っただけで終わりました。

まあそれはそれで楽しかったのです。

2009/5/1
高速は混むんじゃなかろうか。いや混む。絶対混む。
妙に確信めいたものがあって、夕方過ぎに出発。
しかしそれでも、2回の渋滞につかまりました。しかし渋滞していない時も、最高時速は90キロくらい。前も後も車だらけ。
国見で給油&休憩しようと思ったら、SAの外まで車の行列が伸びてました。なんてこったい。
へとへとになりながら石巻に深夜2:30着。

2009/5/2
寝不足で眠い。しかし予定では2本潜ります。
女川の海はまるで湖のように穏やかなベタ凪です。だが水温は8度、透明度も3メートルくらい。春ですねぇ。
今回は、こんなコンディションを見越して100ミリマクロ+2倍テレコンです。

最近多いというダンゴウオの抱卵場所へ。



いたいた。卵は見えませんけど。
しかしこの岩(途中岩という変な名前。サボテン岩の方にあります)、他にもダンゴウオがいます。

混乱するので仮にこのオスのダンゴウオを「ゆうすけ」と呼ぶことにします。




穴の外をうろうろしている個体、これはメスのようです。このメスを仮に「けいこ」と呼ぶことにします。
右下の穴にはゆうすけがちょっと写っています。

写真のメスのほかにも、この岩にはもう一匹オスがうろうろしてました。
実は私がこの岩に来る前に、ゆうすけがあなから出てきて、すごい剣幕で追っ払ってしまったのだとか。
抱卵中のオスが卵を放って穴から出てくるとはよっぽど怒ったってことでしょう。



途中岩からかなり東側に離れた場所にあるガイシ岩。この岩ではなんと7個体が抱卵体勢になってました。
しかし実際に卵があるかどうかはまた別の話。
産卵場所を確保し、おなかの大きなメスが嫁に来てくれるのを待っているオスも多いことでしょう。
右のオスはかすかに卵が見えるので、嫁がきてくれたのだということでしょう。

左の写真のオスはたぶんまだ婚活中。このオスをかりに「たかし」と呼ぶことにします。

さてこの日は、これ以上の動きは特にありませんでした。

ポイント名    石浜  
   石浜   
潜水時間
63分
68分
最大水深
11.9m
10.8m
平均水深
10.3m
7.8m
水温上
8℃
8℃
水温下
8℃
8℃


2009/5/3

またまたベタ凪。水温と透明度も相変わらず。

今日はガイシ岩からです。

おや?



たかしが正面を向いています。
「家も見つけて綺麗に掃除もしてるのに出会いが無いよ〜〜」
とか嘆いているのかもしれません。

だがしかし、ガイシ岩のすぐ近く。



岩の窪みに、卵でおなかがパンパンになったメスがいました。
体色もピンクのマタニティウェアみたい。
仮に「とも」ちゃんと呼ぶことにしましょう。

ともちゃんももう婚活タイムリミットぎりぎり、すぐにでも相手見つけないともうヤバイ状態です。
とも「別に理想が高いってわけじゃないんだけど〜。気が付いたらこんなんなってたって感じ? 」



たかし「全然メスが寄ってこないお…。性格には自信あるんだけどなぁ」
とも「やっぱ卵産みたいなぁ。ああでも疲れた。どうしよう。マジで」


この二匹、1メートルくらいしか離れてません。しかし小さなダンゴウオにとっては微妙な距離です。
この後どうなっちゃったんでしょうかね? 無事に繁殖できていればよいのですが。

さて途中岩の方ですが、



ゆうすけが相変わらず抱卵しています。

ゆうすけ「卵可愛いお! こんな可愛い卵産むなんてさすが俺の嫁だお!」

と、抱卵に夢中なようです。



そんなゆうすけの所にまたもやけいこさんが寄ってきました。

けいこ「ゆうすけ君…あたしもそこで卵産みたいんだけど…」
ゆうすけ「だめだお! お前は俺の嫁じゃないお!」
けいこ「……」

ゆうすけはまったく相手にしません。
仕方ないので、けいこさんはゆうすけから離れます。
そして、今度はゆうすけのすぐ隣の穴にいるオスに近づきます。仮にこのオスをつよしと呼びます。



けいこ「つよし君? どうしてそんなに奥にいるの?」
つよし「……」



ちなみに、ゆうすけとつよしの距離は、上の写真の通り数センチです。
けいこさんはさらに身を乗り出すようにして、つよしのいる穴を覗き込んでいます。

けいこ「中、結構広いね? 入ってもいい?」
つよし「……」



けいこ「あれ? つよし君、もしかしてまだ、誰の卵も無いの?」
つよし「……!!!」
けいこ「なんなら私が…」
つよし「うるさいあっちいけえええええ!!」

実はこの後、本当につよしはブチ切れてけいこを追っ払ったのです。残念ながら写真には取れてませんが。
(別な方がビデオに撮ってまして、非常に面白い映像になってました)

しかし可哀想なけいこさん。
繁殖期のメスなのにそんなにお腹が大きくないということで、ガイシ岩のともちゃんに比べたらセクシー? さに劣るような気はちょっとしますけど。



別なオス「みんながんばってね☆」

ポイント名    石浜  
   石浜   
潜水時間
61分
62分
最大水深
12.7m
11.7m
平均水深
10.0m 9.1m
水温上
8℃
8℃
水温下
8℃
8℃


そしてこの日、夜に出発して東京へ戻ったのですが、まだ3日だし夜間の移動だし混まないだろうと思っていたら甘かった。
上りも下りも渋滞。
深夜の0時に宇都宮ICを先頭に30キロの渋滞にまんまとはまりました。
結局行きも帰りも寝不足なのでした。



厳寒の羅臼でアバチャン

羅臼は私の大好きなポイントで、何度も訪れています。それでも実は冬には行ったことがありませんでした。
まとまった休みが無いとか、2月3月は基本的に忙しいとかいろいろ理由はあったのです。
まあ2007年は2月に3連休がありましたので、いい機会と見て厳寒の知床、羅臼行きを計画してみました。

冬の羅臼って何が出るの? 流氷ダイビングなの? とか聞かれることもありますが、基本的に流氷ダイビングではありません。
流氷もいいけど他にも、冬ならではの生き物が色々出るのです。

2007/2/9

この日は有休をとり、朝から羽田に向かいます。峠越えのルートのある女満別便よりも、近場の中標津便を選びました。羽田は昼前の出発です。
それで朝の通勤快速に乗ろうと思ったのですが……駅に着くと、青梅線の電車が駅に止まっています。
ずっととまっています。
あれです、中央線の人身事故です。何もこんな日に、と思ってももう遅い。もうひたすら待つしかない。
通勤快速には乗れましたが、やっぱりすぐ止まる。動いてもノロノロ運転。もう飛行機乗れないことを覚悟しました。女満別便に振り替えたら今日中に着けるだ ろうか、などといろいろ考えてしまいました。
結局、浜松町でうまく快速に接続されたりなどラッキーもあって、飛行機にはぎりぎり間に合ったのです。

中標津は天気もよく、気温もそれほど低くはありませんでした。道路にもそれほど雪はありません。それでもマイナス5度くらいではありましたが。ちなみに女 満別はマイナス15度くらいだった とか。
この日はとりあえず羅臼入りし、明日に備えた準備です。宅急便で送っておいた荷物を開梱し、カメラのセッティングと電池の充電、それから夜に備えてアル コールの買出しをします。


雪も少なく、流氷もまだ来ていない。

せっかく北海道にきているのに、夜はコンビニ弁当のおつまみと時期を逸したボジョレー・ヌーボーで腹ごなし。でも今回の旅程中、ほとんどの食事はコンビニ 弁当でした。セイコーマート万歳。
ちなみに全ての充電が終わった(最期の電池を充電器にセットした)のは夜中の12時になってしまいました。

2007/2/10
朝起きると天気は快晴、海はべたなぎ。真冬だというのに最高のコンディションです。
ちなみにスケジュールは、この日が昼間二本、ナイト一本、翌日がナイトのみとなっています。
翌日は昼間の予約が取れなかったので、しょうがないから羅臼のスキー場で暇つぶしをしようかと、スキー板を持参してました。アフタースキーにダイビングと いうのはなんとも妙な組み合わせです。

朝食後、急いでカメラのセッティング。5050と5Dの2台体勢、5Dのレンズはとりあえず100ミリです。

ローソク岩に向かう途中、昼飯を買うためにセイコーマートに立ち寄ると、ガイドのSさんとばったり。「明日はスキーするの?」と聞かれたので、「そりゃ潜 れるのならそっちがいいですよ」と答えると、「じゃあなんとかしましょう」というお答え。
よくわかりませんが次の日も昼間潜れることになりました。

ローソク岩ポイントは全面的に雪に覆われてました。空気も冷たくて身が締まる思いです。

ところで私のドライスーツ、この時点でかなり水没がひどく、やばい状態であることが明らかでした。
そのため、靴下の上にコンビニ袋、さらにその上にまた靴下、またインナーの上に雨合羽という妙な重装備? で臨みます。
しかし厳寒の羅臼、水温は0度。何度も経験のある水温ですが、器材がこんな状態で果たして大丈夫なのか?


氷が張り付いたトド岩。

1本目は左手方面に進んでドロップオフ沿いに戻ってくるコースです。
エントリー口の波は穏やかで水も綺麗。これは期待できそうです。しかしエントリー後、カキ氷一気食いした かのような頭痛が。
フードの隙間から水が入るせいで、一時的なものなのですがやっぱり痛い。

しかし痛がる間もなく、周囲はクリオネだらけ!



毎度のことながら撮りにくい。上の写真はマニュアル、というか固定フォーカスです。
全員が一通りクリオネを撮影してから、今度は砂地へ。すると今度は大量のオホーツクホンヤドカリが。



もっとたくさんいたらしいのですが、それでもまだ結構残っていました。
ここからさらにドロップオフへ行くと、親ナメダンゴがなにやらたくさんいます。全開のケヤリムシの隣に鎮座している絶好のシチュエーションもあったのです が、私がカメラを構える前にケヤリが引っ込んでしまいました。残念。

そんな感じで1本目を終えたのですが、エキジットすると私の右足はすっかりずぶぬれ状態。コンビニ袋の防水効果も、せいぜい30分くらいのようです。
おかげで昼の休憩時間中、ずっとストーブの脇に張り付いて靴下を乾かすことになりました。
そんなお昼時、どこかで見覚えのあるOさんが合流。
某ポイントでは「嵐を呼ぶ男」みたいな言われ方をしてましたが、今回はコンディション良好です。

さて靴下も乾ききらないうちに二本目です。今度は若干右側から入って同じようにドロップオフ沿いに進むルートです。
ちなみにエントリー口の波打ち際の砂利、見事に凍り付いて真っ白になっています。晴れてはいますが外気温もなかなか低いようです。



今度もまたたくさんのナメダンゴ親やオコゼカジカ、キタフサギンポなど勢ぞろい。ワインレッドのナメダンゴもいました。
真冬だってのににぎやかです。
しかし多くのカジカ類はまだ抱卵中で、活発に泳ぎ回っているものはほとんどいません。
コンブも見当たらないし、暖かい時期に目立つ白っぽいイソバナの類もいません。逆にそれが冬の景観なのでしょう。

昼のダイビングを終え、一旦解散です。ナイトは6時半に集合。
コンビニで早めの夕食を買って宿の部屋で食べ、暖房をつけて体温の回復を図りつつ、また靴下を乾かします。こればっかし。

ちなみにナイトダイビングのメインターゲットは、深海生物のドスイカ。「イカ・タコ ガイドブック」にはしんかい2000で撮影された写真が載ってます。
急深で低水温な羅臼には、こんな生物がよく現れるようです。
このイカ、ちょっとサイズが大きめなため、昼間使った100ミリマクロだと具合が悪そうです。そんなにすばやい生物でもないようなので、15ミリフィッ シュアイで寄って撮る作戦にしました。さらにマクロ系の押さえに5050も持参。

まわりが薄闇に包まれた頃に出発です。海の中はすでに真っ暗でしょう。
ポイントに着くとすっかり真っ暗。でも、それほど寒さを感じません。やはり暖冬なのでしょうか。
心なしか波も穏やかです。
ポイント近くのクラブハウス内で待ち合わせ、全員集合を待ってからセッティング開始です。私にとっても久々の北国ナイト、本当に楽しみです。
さてエントリー。

ここでちょっと失敗に気づいたのです。フィッシュアイなのでオートフォーカスにしたのですが、シャッター半押しオートフォーカスのままでした。
当然ナイトダイビングでは光が足りず、シャッターが切れない!
Z-240のフォーカスライトでは全然足りません。ビデオライト(LX-55)で何とかフォーカスできました。
明日は忘れずに親指フォーカスにしとかないと…。



さて昼間と同じ冷たい海水、しかしちょっと様子が違います。夜は無脊椎動物や夜行性生物の世界。
なんだか大量のクモヒトデやゴカイが砂の上を這い回っています。
上の写真は、突然現れたチシマトクビレ。水中は、彼らの食料である小型甲殻類に満ちています。



あ、あなたは誰? 川とかにいる、プラナリアのお化け? ちなみに15ミリフィッシュアイのノートリですよ? 30センチくらいでしょうか。
てゆーか昼間はどこにいたの。
しかしこの上の写真のやつに限らず、まあ不気味で巨大な生物が魑魅魍魎のごとく大量に湧き出してます。
これはすごい。なんというか、なんかヤバイ世界に来てしまった感にあふれています。



出ました。本命のドスイカ。結構大きなイカです。独特の赤っぽい色。しかし光を当てると砂の上に落っこちてしまうというのは、やっぱり眩しいんでしょう か。
で、光を当てながら目を観察すると、確かに瞳孔が動いてます。やっぱ眩しいんですね。

ダイビングの後半はこうやってドスイカ撮りまくり。
久々のナイト一発目はこうして終了しました。
もちろん右足はまたもや水没してましたが、寒さはそれほど感じませんでした。
が、それは気のせいだったと気づいたのは、宿に帰って風呂に入ったとき。いやもう気持ちいいのなんのって、こんなに身体が冷えてたのかと。
風邪引かないようにとっとと就寝です。

ポイント名
ローソク岩
ローソク岩 ローソク岩
潜水時間
41分
41分
41分
最大水深
26.5m
26.9m
21.3m
平均水深
13m
15.7m
13.0m
水温上
0℃
0℃
0℃
水温下
-0.5℃
-0.5℃
-0.5℃


2007/2/11
夜は何度か寒さで目覚めました。なんというか、この宿の暖房は弱いんだか強いんだか。
あっという間に暖まるんですが、サーモスタットで暖房が切れるともう二度と暖まらないというけったいな仕様。
まあとにかく、朝起きたときにはなんとか風邪は引いてなかったようです。

この日は朝から微妙な天気。というか雪降ってます。



今日は昨日の教訓を踏まえ、手持ちの全靴下持参です。コンビニ袋にも穴が開いてないか入念にチェック。

またカメラは、シグマの50ミリマクロを使ってみることにしました。100ミリポートに入れると流石に周りがケラレてしまうのですが、フォーカスのリミッ ターを使えば、ドームポートに入れてもぎりぎり当たらずに収まります。
もちろんドームポートはレンズなので、正しい使い方ではないのですが、物は試しというか、水中での50ミリマクロがどの程度使えるのか試してみたいという 好奇心が上回りました。

ところでこの日には、なんと体験ダイビングのお客さんが来ていました。
水温0度で体験ダイビングとはすごいチャレンジャーです。まじびっくり。クリオネとか見れたので喜んでおられたようですが…。

1本目はトド岩の右側から深場に行ってドロップ沿いに戻ってくるコース。
ドロップオフに並んだヒダベリイソギンチャクは綺麗ですが、なんだか魚が少ない。
おや? 何だか何も出てきませんよ? 砂地を見ても、昨日はあんなにたくさんいたオホーツクホンヤドカリがほとんど見当たりません。



一晩で何か状況が変わったんでしょうか? まあこれといったものもないまま1本目終了。ガイドのSさんも「外したね〜」と言ってたので本当にはずれだった のでしょう。
まあでも相変わらず浅場にはクリオネもいたし、そんなに悪くも無いのでは。

1本目を終了し、私は相変わらずストーブの傍に陣取って靴下を乾かします。う〜んドライスーツどうしようかな。
ちなみにここのポイント、水温が低いせいか、昼間の休息時間はたっぷり2時間くらいあります。

二本目は、エントリー後にとにかく左へ突き進み、ドロップオフ沿いを長距離で流してよいものを見つけようという作戦。
しかしエントリー直後、私のレギのオクトパスが激しくフリーフロー。別に低水温でなくてもたまにフリーフローする困った奴です。
レギも新調せにゃならんのか…ドライスーツと同時となるとちょっと痛いんですけど。

さてレギをレンタル品と交換してダイビング開始。冷たい水の中、もうとにかく泳ぎまくりで寒さを感じる暇もありません。
今度こそ何か見つかるか…。



と思いきや、やっぱり何もいません。正確には昨日見たナメダンゴのうち何匹かは元の場所にいたのですが、新手はいません。
なんだか、寒中海中遠泳って感じでした。
こりゃ昨日が良すぎたのかな、などと思いつつ、ナイトに期待しながらまた解散です。

この日は、帰り道にちょっとオオワシの写真を撮ってみました。
というかこの季節、羅臼には野鳥マニアみたいな人がたくさん来ていて、あちこちで山にカメラを向けている人がいます。



私も道端に路上駐車して、適当に撮ってみました。こうして見るとけっこうでかい。

夕飯はまたもコンビニ弁当。というか北海道に来ているというのに、連日3食のうち2食はコンビニ弁当かカップラーメン。東京にいるよりひどい食生活です。

ナイトの集合時間、ポイントはまたもや真っ暗。
昼間の曇天がどこへ消えたのか、空にはたくさんの星が瞬いています。なのになぜか、雪がちらちらと舞っています。

海はまるで奇跡のような穏やかさ。本当にべた凪です。
各々が手に持ったライトで照らされたエントリーポイントは、水も抜けていて容易に海底が照らし出され、なんとも幻想的な雰囲気。
気温は−8℃、水温は0℃。
(ちなみにこの晩のメンバー、かなり強力なベテランフォト派ダイバー揃いでした)

トド岩の左手から砂地に向かいます。昨日とほぼ同じコースで、同じようにドスイカ狙い。
昼間は全く見当たらなかったお化けプラナリアや巨大コウガイビル達も、昨日と同じようにたくさん沸き出でてあちこちを這い回っています。
やっぱりキモい。
また、昨日は見かけなかったコマイの幼魚がちょろちょろと泳ぎまわっています。



こいつ美味しいんですよね。また、昨日はフィッシュアイだったため撮れなかったダンゴイカも、今日は少し追いかけてみました。



追うってほどのことはありません。そこら中にたくさんいます。
しかし今日はあんまりドスイカが見当たりません。せっかくレンズ換えたのだから昨日と比較するためにも撮りたいんですが…。
グループからはぐれない程度に離れて、砂地をビデオライトで照らしながら探していると、

ん?



なにやら見慣れない色合いの物体? 生物?
最初に見たときは、プラナリアの親戚とかウミウシあたりのキモい系何かかと一瞬思いました。
しかし



目とヒレがある…。だよこれ…。でもこんな形の魚いたっけ? 少なくとも私の記憶には…無いでもない。
間違いなくビクニン系の何かです。たぶん只者ではないはず。
何カットか写真を撮ってから、とりあえず他のダイバーを呼ぶことにしました。ビデオライトを振り回して合図します。



このアゴの下のヒゲ? 見覚えはあるのですが名前が出てきません。
そのうちライトに気づいて、他のダイバーの方が近寄ってきました。
ニコノスRSが見えたのでKさんだと判りました。この魚を見て、Kさんがなぜか水中ガッツポーズ。おお、やっぱ珍しいものらしい。
私とKさんのストロボ発光につられてか、続々と他のダイバーの方たちも集合してきました。
みなさんこの異様? な魚に大興奮。あたりはあっというまに砂嵐です。



こいつの正体はアバチャンでした。水深60〜400mに生息する深海魚です。
こんな所に現れるなんて、さすが羅臼。
この後は時間一杯まで全ダイバーがアバチャンに夢中。まさにアバチャン撮影会でした。
この半透明のぷりぷり感がたまらなく美しい。

エキジット後もアバチャンの話で持ちきり。片付け後、ガイドのSさん宅に皆さんで集合したのですが、そこでもまだ盛り上がってました。
またこの夜は、NHKアーカイブスの知床の海特集を、当時の関係者の解説付き!で見るという貴重な体験もありました。
ダイビング後、風呂にも入っていないのにアツい人たちです。歓談は、酒も無いのに深夜まで続きました。

ポイント名
ローソク岩
ローソク岩 ローソク岩
潜水時間
49分
42分
41分
最大水深
29.4m
30.7m
22.8m
平均水深
12.2m
13.7m
13.8m
水温上
0℃
0℃
0℃
水温下
-0.5℃
-0.5℃
-0.5℃

2007/2/12
おまけ。
今回、私は一日はダイビングできないものと思い、スキー道具を持参していました。
なぜならば、羅臼町民スキー場にはスキーレンタルが無いからです。
せっかく持ってきたのだから意地でも滑らねばと思い、朝はちょっと早めに朝食を取って宿を引き払いました。



羅臼町民スキー場は、海に向かって滑り降りる豪快なパノラマが楽しめるスキー場でした。
コースは少ないけど、斜度は結構あるし、コース幅もあります。面白い。
特に風景は圧巻。
シングルリフトしかないのもノスタルジックでいい感じ。


土砂降りと濁流 のケラマ

「ケラマ諸島」とは沖縄本島からほぼ40キロ西方にある小さな島々です。なんて説明する意味はあんまり無いかも。なんせダイビングマスコミから散々紹介さ れまくっておりますし、見所もたくさんあるので行ったことある人も多いでしょう。
私としてはあんまり食指の動かない場所ではあったのですが、たまたま女川でいつも一緒に潜っている方々が行くという話と、会社で溜まった代休を消化せねば ならないという事情が重なりまして、これも何かの縁とばかりに行ってきたのであります。
だがしかし、例によってまったりした南のリゾートを楽しむというわけにはいかなかったのです。

2005/6/16
ビッグハート・トラベルという旅行会社を利用しまして、那覇往復+那覇市内ホテル1泊のチケットを購入。3万円ちょっとのお値段でなかなかお得感がありま す。なんせ変な場所しか行かないので割引とは無縁な生活が続いておりまして(しくしく……)
残りの宿泊は渡嘉敷島内でということになるわけなのですが、こちらはサービスに併設の宿ということで。

まあそんなわけで、便数の多い羽田から先に発った私は、那覇空港で仙台便でやってくる後続の方々を待つことになったのです。那覇についてからまず、空港内 でソーキソバに「こうれいぐす」をたっぷりふりかけた昼食をとり、郵便局で追加の資金を下ろし、水槽のナポレオンと見つめ合い、さらに音楽を聴きながら居 眠 り。そう、仙台組との時間差は2時間以上。ヒマでしょうがない。
しかし待ち時間を1時間も消化したところで、ちょっとした異変に気付きました。到着便の予定の電光掲示板に、仙台発の便が表示されていないのです。
じつはこの日は、まだ沖縄全体が梅雨の真っ最中で、石垣便など欠航しまくりな状態だったのです。これはもしや、仙台便がまでもが欠航とかになってやしまい か、と心配になってきたところで、ようやく表示が出ました。予定より1時間半ほど遅れています。
もう一人羽田便で来た方と合流し、「仙台組遅いね〜」とのセリフも言い飽きた頃、仙台便到着。どうも機体故障かなにかがあったようです。
再開を喜ぶのも束の間、今度はフェリーの時間がやばい。慌ててタクシーに分乗し、泊港へ向かいます。
しかし私の乗った乗合タクシーは、一番最初に出発したにも関わらず、一番最後に到着。
先行グループがなんと!フェリーを止めて待っていました。びっくり仰天の交渉術です。ちなみに交渉した方はショップのスタッフとかではありません。

そんなこんなでいろいろありましたが、なんとか夕方には渡嘉敷島に到着しました。宿は現地サービスである「けらまマリン」に併設のものです。
しかしものすごい土砂降り。沖縄はまだ梅雨真っ只中です。しかもどうやら 記録的な集中豪雨の只中にいるらしいのですが、果たしてダイビングできるのか? というか無事に帰れるのか?
と心配になってしまうような状況なのでした。

それでも夜になり、東北人の主食というか元気の元ととも言うべきお酒タイムになりますと、皆さん元気百倍というかそこまで元気にならなくてもいがべ、おだ づな、と東北弁で突っ込みいれたくなるほどの盛り上がりようを見せたのでした。
ちなみに宿泊したショップ兼民宿は、夜になったら泡盛飲み放題というところでして、その泡盛の飲み方というのが、ちょっと大き目の陶器のかめ? の中に氷と泡盛を豪快にどばどばと注ぎ、その後にまたミネラルウォーターをこれまた豪快にどぼどぼと注ぎ、小さなひしゃくでかき回して作った水割りを、各 人がそのひしゃくでコップにすくって飲むというもの。もうこれが飲みやすくて入る入る。
失礼ながら泡盛がこんなに美味しく飲めたのは初めてでした。

しかし屋根を打つ雨音は相変わらず激しく、っつーか激しくなる一方というか、やっぱりちょっとの不安を感じながら、この晩はお開きになったのでした。

2005/6/17
朝目覚めると相変わらずの土砂降り。ショップの前にある小さな川が、茶色に濁った濁流となって海に流れ込んでいます。その他にも、やはりショップ近くにあ る、上り坂の道路から、時折まるで滝のような水が流れてきます。
決してオーバーな表現ではなく、水道管が破裂したかのように、山から水が道路に沿って噴出してくるように見えました。
これって、いつ災害現場になってもおかしくない状態じゃない?  とめどなく不安があふれてきます。


せっかくケラマまで来たのにこんな状態。

それでもしかし、ダイビングは予定通り決行されました。


沿岸部は泥水でまっ茶色ですが、沖に出れば流石のケラマ。
でも暗い…。
まあでも普段もっと暗いところに潜っている人たちが多いので全然楽しんでいます。

ポイント名
  カチ  
  カミグー  
  自津留  
潜水時間
46分
49分
42分
最大水深
15.2m
17.7m
19.8m
平均水深
8m
10.3m
12.0m
水温上
26℃
26℃
25℃
水温下
25℃
25℃
25℃

この晩もまたひしゃくで泡盛大会。よく飲むなあ。しかし豪雨も相変わらず降り続けていたのです。

2005/6/18

この日の早朝、どがご〜んととでも表現したくなるようなものすごい音が宿の裏から聞こえてきまして、一同 目を覚ましました。
山崩れでも起きたのか、と思ったのですが、それ以上はなにも起こらなかったので、皆さん再び寝てしまいました。
朝食前に、宿の裏手を覗いてみたのですが、うっそうとした森が広がるばかりで、何か崩れたのかどうか確認することはできませんでした。
(後から聞いた話だと、木が倒れたとかなんとか)



しかし豪雨が続いているせいか、道端にこんなイモリが普通に歩いています。森から流されてきたのでしょうか。
雨はやや小降りになってきました。



海も相変わらず薄暗い…。でもやっぱりきれいです。

ポイント名    海人(うみんちゅ) 
   千代頭(ちよちぶる)   
潜水時間
46分
48分
最大水深
20.3m
10.9m
平均水深
11.2m
5.3m
水温上
25℃
25℃
水温下
25℃
25℃

この日は2本潜ってから渡嘉敷島を離れ、那覇へと移動しました。とりあえず何事も無く本島まで戻れたことでちょっと安心。
帰り際、雨が小降りになった島の中は、道路は泥だらけ、白い砂浜も泥だらけ、ビーチに注ぐ川は砂を深くえぐり、しかも流木だらけでほとんど被災地のような 状態になっておりました。

まあここまで来れば大丈夫とばかり、那覇の夜でも飲みまくり。3軒はしごしてホテルに戻ってからも部屋に集まって飲み続け、しまいにホテル側から静かにし てくださいって注意されてしまったのは、年齢30台〜50台の大人の集団の行動としてはいかがなものかと。
まいっか。


海ゆかば藺灘波(い なんば)

「イナンバ」とは、八丈島と御蔵島の間、結構御蔵島寄りの海域で、海の中からにょっきりとそそり立っている「岩」です。(藺灘波島と表記する場合もあるよ うです)
釣り人にしろダイバーにしろ、この名前を知っている人はかなりのマニアというか概吉というかちょっとヤバい領域に片足突っ込んでいるに近い人と言えましょ う。

藺灘波行きの話を聞いたのは3月頃。企画したのは前回の銭州と同じMさんのショップです。ドリフトダイビングの経験やスキルについてかなりの凄腕が集まっ ているショップです。
藺灘波の名前は以前から知っていたので、これはチャンスとばかり、私も申し込みました。

で、当初の予定が6/20。なんとガラパゴス帰りの翌週だったのですが、これは台風で流れてしまい、本番は約1ヵ月後の7/25に延期となりました。

2004/7/22
結構日の前前日、バディのA氏から連絡が。もちろん内容は今週末の予定についてなのですが、私にはちょっと危惧していることがあり、一つの提案をしてみま した。それは前回の銭州の失敗を鑑みてのことだったのですが、やっぱ前日ちょっと潜った方が、勘も戻るし適当に疲れて夜もよく眠れるしよいのではないか、 ということでした。
A氏も前日潜るのは吝かでないとのことでしたので、Mさんに連絡。前日1本だけ潜らせてくれ、てな内容です。
すると、前日には藺灘波に挑戦するメンバー中心で神子元に潜るとのこと。むむむ。今ごろの神子元といえばまさにベストシーズンではありませんか。私も神子 元は結構好きで、なんだかんだと毎年夏には潜っています。しかも今年は黒潮が殆ど南伊豆に接岸状態で、ハンマーもばんばん出まくっているらしい。
てなわけで、ちょっと心が動かされてしまいました。

2004/7/23
結局神子元で2本潜ることに急遽決めてしまい、A氏には申し訳なかったのですが、金曜日から前泊することになりました。待ち合わせて出発したのは夜の8: 00。西伊豆に到着したのは夜の0時でした。
しかしMさんのショップ、まだ中で飲み会が続いています。やっぱダイバーって酒飲みだなあ。
まあしかし、私のわがままかつ急な要望にも嫌な顔一つしないで付き合ってくださったA氏に感謝しつつ就寝。明日は6時起きです。

2004/7/24
さて藺灘波の前哨戦、神子元島です。しかし一般には上級者ポイントである神子元島で足慣らしとはこの人たち……。ガイドのMさんも、「今日のメンバーはツ ワモノが集まってますし、攻めますよ」とか言ってます。ついでに行きの車の中で、ダウンカレントについての注意を受けます。まあ引き込まれても35mくら いだから、じたばたしてエアーを消費するよりも落っこちて下さいとのこと。
そして現地に到着。今回の船は「290」です。以前にも乗ったことがありますが、でっかくて楽ちんな船です。ただ人数も多いのでピックアップに時間がかか ることがありますが、まあそれほど気にはなりません。しかし……今日はなんかただならぬ潮の早さのようです。

さて1航海目。東風が吹いているとのことで島の西側へ。やや穏やかな場所で、例によって横並びのジャイアントストライドでジャボンと飛び込みます。
海中はすごく蒼い。すばらしい透明度です。


蒼い海の中、岩陰を縫うようにして進みます。何か、常に緩やかな流れを感じているような状態です。常に蹴りつづけなければ他のメンバーについていけませ ん。
流れを避けるためか、ずっと岩陰にいるため、結局底にべったりついているような状態で、深度もあります。ガンガンエアーを消費していきます。
時折、岩と岩の間の水路を横切らなければいけない場所もあり、その時には結構きつい流れを感じます。そんな場所はもう気合い入れてダッシュ!
15分ほどでもう残圧100気圧。えらいこっちゃ。それでもこれといった生物は見られず、20分過ぎから全員根から離れて浮上開始、ブルーウオーターの中 を流していきます。とりあえずダウンカレントにつかまることも無く、何も見ない蒼い世界に出ることに成功しました。
そして漂うこと5分ほど、誰かがタンクをカンカンたたいています。はっとして周りを見回すと、くっきりとメジロザメの魚影!! うおっ、と思ったとき、今度はハンマー! しかも3〜4匹います。誰かがカメラを構えたまますごい勢いでダッシュしていくのが見えました。こんな終盤であれほどサメを追える余力があるとは。やっぱ ツワモノです。
その3分後に浮上。ハンマーを見れたことを全員で称え合います。私もちょっと感動しました。

次の航海は昼間。しかし朝に干潮だったため、2本目の方が間違いなく潮が早いとのこと。ちなみに張り出してあった黒潮経路図を見ると、今の黒潮はなんと石 廊崎をかすめるようにして流れています。つまり、神子元島は黒潮の本流の真っ只中? こりゃ、マンタやジンベイが出てもおかしくない???
まあそんなことを話しながら昼飯の弁当を食い、次のダイビングに備えます。

2本目、今度は島の東側に入ります。風向きが変わったのでしょうか。しかし海面は1本目ほど穏やかじゃないような気がします。
またもやそろってジャイアントでドボン。とりあえず急速潜行して根に取り付きます。結構流れを感じます。つーか明らかに午前中より早い。潮も速いし移動の ペースも速い。ブリーフィングの時に、ハンマーが出たあたりまでとにかくとっとと行ってしまう作戦と聞いたので、こんなに急いで移動しているのでしょう。 もう何もする余裕もありません。とにかく付いていきます。
しかし、この流れの中でこの人口密度……。なんかすぐ人にぶつかってしまうため、うかつに動けません。体力を使いたくないため、岩につかまって移動する場 面も多いのですが、混んでくるとどんどん動きづらくなります。だんだん前に付いていくのが厳しい状態になってきました。せめてバディのA氏だけは見失わな いように気をつけていたので、そっちは大丈夫だったのですが、結局15分ほどで先行するグループを見失いました。私とA氏のほか、二人ほどバディともはぐ れたダイバーと、アシストのスタッフの方が残されていました。
ちなみこの時、吐き出したエアーはすぐに上には上がらず、目の前に細かい泡に変わって、ぐるぐるとその場にとどまっていました。明らかに怪しげな流れの中 にいます。斜めダウンカレントの途中にいるって感じでしょうか。アシストの方も、浮上のサインを出しています。後で聞いたのですが、この潮の状態でこれ以 上行動を続けるのは危険、と判断したようです。ちなみに私の残圧50。超やばいです。
根を離れ、ちょっとした広場のような場所に出ます。変な流れは依然として身体に感じられます。と、その広場の真ん中にでっかいメジロザメ! 慌てて写真を撮ります。そいつは私たちを一瞥して蒼い世界の奥に泳ぎ去って行きました。その後も、ハンマーぽい影がちらほら。そんでもってこの時私の残圧 30。



そして浮上開始。案の定変です。蹴らないと浮上できません。緩やかなダウンカレントにつかまっています。 それでも全員浮上を続けているため、はぐれないように蹴り続けるしかありません。
水深6mまで浮上し、アシストの方がフロートを打ち上げます。ここまでくればまあOK。息を整え、残圧計を見るとほぼ0。あちゃー。
アシストの方がオクトを出してくれましたが、今までの経験上だと(こんな経験が何度もあるというのは問題だが)まだまだ吸えるので辞退し、安全停止して浮 上します。
水面は結構波立っていました。後で聞いたのですが、先行したグループにいた方は、川のようなハンマーの群れも見たようです。

そんなわけで前哨戦は終了。アクシデントもありましたが、全員ハンマーが見られたってことで大成功ってとこでしょうか。
ちなみに翌日の出発は朝の3時。藺灘波までは6時間の長丁場です。明るいうちにセッティングを済ませ、器材を船に積み込みます。
その後は近くにある町営温泉に入って、その後スーパーAOKIで酒と晩飯の買い物。朝が早いので就寝も早い。とっとと酒飲み開始です。
今日出現したハンマーの群れを撮ったすごい映像が見られました。
さて明日も早いし寝ましょうか。

ポイント名    神子元島  
   神子元島   
潜水時間
28分
23分
最大水深
28.6m
29.1m
平均水深
17.5m
19.9m
水温上
28℃
27℃
水温下
27℃
27℃


2004/7/24
起きたのは午前2時。眠い。眠すぎる。でも起きねば。前回の銭州の経験から、この時点で酔い止めを飲みます。しかも眠くなるやつです。
準備してショップに集合し、松崎港へ移動。ほぼ予定通り。



しかし……船長が来ない。約束の時間をかなり過ぎても来ない。真っ暗な港でみなさん待ちつづけます。
そして20分ほど遅れて船長参上。ようやく出発です。真っ暗な港からの出航です。
私はというと、とっととベッドにもぐり込んで就寝。眠いし、薬飲んでるし、取りあえず船酔いの予防はたっぷり睡眠をとること。

そんでまあ熟睡とは言いがたいですがそのまま5時間ほどベッドの中でうとうとしとりました。途中で結構波立っているところを通過したのか、激しい揺れも感 じたのですが、概ねきっちり休息は取れたのではないかと思います。
さて、走ること5時間、午前9時ごろ、ずっと続いていたエンジン音が急に緩みました。ただならぬ気配に、他の参加者の方々もベッドから起きだします。
ばたばたと船室から出てみますと、目の前に視界をふさぐように聳え立つ巨大な岩の姿が!!



上の写真はちょっと離れてますが、最初見たときは本当に間近で、かなりの迫力がありました。
下を見ると、海も素晴らしい蒼さで、海底の岩がちらほらと透けて見えます。さらに波も殆ど無い。こりゃもうとっとと潜るしかないという状況です。ちなみに セッティングは昨夜済ませてあるので、準備も余裕。ちゃっちゃとブリーフィングを済ませて全員エントリー!

海中も、予想通りのすごい透明度。でも思ったより魚影は薄いかも。上を見るとツムブリとかがぐるぐるまわってるんですが、海底は結構岩肌剥き出しで、大き なフジツボなどが目立ちます。ソフトコーラルはあまりありません。



やっぱここは、かなり潮流が厳しい場所なのでしょうか。それでも岩の隙間には、キビレマツカサやレンテンヤッコ、トサヤッコ等の他、ユウゼンまでいます。
やっぱ魚影は濃い。みんなたくましいなあ。
海底は、地上の絶壁がそのまま海の中まで続いていて、だいたい水深40メートルくらいのところでちょっと平坦になっているように見えます。その先は、おそ らく1000メートルクラスの海底までストンと落ちているのでしょう。



前回ここに来た方は、キハダなんかもみたようですが、今日はそんな派手な回遊魚は見当たりません。ツムブリ、ロウニンアジ、タカベなどです。
島に沿ってゆっくりと移動し、30分ほど経過した後、全員で根から離れて浮上。ずいぶんゆったりとした1本目でした。

1本目終了後に昼食。むちゃくちゃ腹へってます。弁当は余裕で完食です。6時間近い船旅でしたが、今回は船酔いとは無縁のようです。薬のせいなのか前日 潜って程よく疲れたため良く眠れたからなのか。
途中、ちょっと雲行きが怪しくなってにわか雨が降ったりしましたが、またすぐ快晴に。考えてみると、御蔵島よりも南に来てるわけで、陽射しも強烈です。



さて天気のよいうちに、ってことで2本目。今度は、潮の当たっている側までぐるっと行ってみるようです。

海中は相変わらずの透明度。タテキンやフエヤッコ、カスミチョウチョウウオまでいて、なんだか南国気分です。



上を見ると、波打ち際が結構サラシています。ここで浮上なんかしたらえらいこっちゃだな〜なんて思いながら見上げていると、どこからきたのかイスズミの群 れが泳ぎまわっています。こんな光景、前にも見たなあ、確か小笠原だったような気がするけど。



こんな感じで2本目も終了〜。で、浮上体勢に入ったとき、私の残圧は大体40を切る位。普通は心配ないよね。

で、浮上してから例によって船に取り付くとき、舷側にぶら下がっているロープではなくて浮き輪のほうに行ってしまい、また例によって船につぶされそうにな ります。こりゃまずいと思ってレギに切り替え、ロープにしがみつきます。案の定、船底にたたきつけられるわ頭から波はかぶるわでえらい状態に。
やっぱエキジット大変だなーと思いながら必死にロープにしがみついて順番を待っていると、何だかエアーが渋くなっ てきました。
たしかに結構必死になってましたが、まさか残りエアー吸い尽くすとは……てゆーか、このままここにいては命が危ない。水面で溺れてしまう。
そこで、人でいっぱいになってる、もっと梯子寄りのロープへダッシュ! なんとかロープを掴んで、フィンを水面から出して船にふんばるような体勢にして一安心。
つーか、浮き輪側になってしまったら、その場でふんばったりしないで、前回の銭州の2本目のように船の向こう側まで流されてしまった方が楽なのかも。

行ったこと無い人には何を言わんとしているのか良く分らないかもしれませんが、まず想像して欲しいのが、
船がでかい。普通のダイビングボートより全然でかい。
てことです。さらに藺灘波みたいな外洋ポイントだと、凪いでるといっても近海のダイビングポイントよりは波もあるし潮流もあります。船に上 がる順番待ちをしている間、船は巨大で厄介な障害物となってしまうわけです。

まあそれでも無事にダイビングも終えました。これからまた6時間の帰り道。他の皆さんはデッキで飲み始めましたが、私はまだ薬が残ってるのか眠くなって、 先に失礼して眠ってしまいました。

伊豆から日帰りで行ける海としては、ここが限界ではないでしょうか。それにしても期待した以上の蒼さ、多様さでした。



そういうわけで、さらば藺灘波。

ポイント名    藺灘波  
   藺灘波   
潜水時間
41分
41分
最大水深
28.4m
26.4m
平均水深
14.0m
15.3m
水温上
27℃
27℃
水温下
27℃
27℃



銭州で慢心創痍

「銭州」とは、伊豆半島の先っちょの石廊崎からほぼ南西に80キロ、神津島の西40キロほどの場所にある、絶海の岩礁群です。名前の由来は、高級魚がわん さか獲れて銭になるからだそうですが、潮当たりが激しく、ちょっとした悪条件でもう近寄ることすらできなくなる秘境です。

話は変わりますが、私はいままで船酔いしたことがありませんでした。小学生の頃、私は乗り物に非常に弱く、遠足ではゲロ袋が手放せない方だったのですが、 船だけは平気で、金華山航路の船から手漕ぎボートまで、船という船は長時間乗っていても平気でした。成人してからも、小笠原への30時間にもおよぶ大時化 の航海でも平気で、3食欠かさず食べていたくらいです。基本的にフェリーの旅大好きだし。
なので、私は船酔いしないのだと勝手に思い込んでいました。

翌週のガラパゴスに気を取られていたというのもあり、また既に経験済のポイントだということもあってか、これから行く所が「銭州」だという緊張感が薄かっ たのは事実です。端的に言えば「慢心していた」のでしょう。

2004/5/29
実はこの日は、ガラパゴスに向けての最後の買出し日でした。タメ航空の20kg制限をクリアするための器材梱包に頭を痛めていた私は、結局ハードケース代 わりに軽量の衣装ケースとなるべく小さくて軽い台車、あとドイトで売っている梱包用ベルトなどを買い込んでいました。
銭州に同行するA氏との待ち合わせは3時。そちらの準備もしなくてはならず、なんだか朝からばたばたしておりました。結局銭州行きの準備を始めたのは2時 過ぎ。時間もなく、近くにあるものを適当に詰め込んでとりあえず出発時間には間に合わせました。
そしてこの時すでに、マスクの曇り止めとログブックを家に忘れていたのです。
3時出発で、松崎に到着したのは7時ごろ。その晩は料理屋「さくら」で晩飯にしました。イサキの塩焼きを食べましたがやっぱ美味いです。あと、ここは食事 を注文すると心太(ところてん)食べ放題。

この日は、軽くビールを飲んでからサービスの隣にあるペンションでお風呂を借り、早いうちに就寝。翌日は5:30起きです。

2004/5/30
目覚ましの音でさっくりと起床。しかし昨晩は、隣のペンションの酔っ払いがうるさくて今ひとつ眠れませんでした。
サービスに集合し、昨年と同じように松崎港に向かいます。今年は貸切ではなく、他のショップと一緒です。
しかしこの1年の間に、銭州ツアーをするショップがずいぶん増えてきているような気がします。
ちなみにこの日は、黒潮が伊豆地方に異常接近しており、海上保安庁から急潮警報が出ていました。やばそうな気配ではありますが、逆に大物が出そうな予感も します。サービスのスタッフの方も、結構神経質になっているようでした。



昨年の教訓に基づき、早めにベッドを確保します。早起きした分、眠って体力を確保する必要があります。
しかし……いまいち眠れません。しかし休息は必要です。結局銭州に到着するまで、ベッドの中でひたすらじっとしていました。

3時間半ほどで銭州に到着。昨年見たのと同じ、荒々しい絶海の岩礁地帯。しかし今年は釣り舟の姿も少なく、波も少々高いようです。
私も起きて1本目の準備に入りますが、なんだか頭ががんがんします。フードベストを着ると何だか気持ち悪い。どうやら船酔いしているようです。船酔いなん てほとんどしたこと無いのに……。
潮はかなり早いようです。船はメイプルスの潮裏に入り、その近辺でダイビングすることになりました。



流れが無いから適当にエントリーして水面集合という話になり、準備を始めましたが、なんだか皆さん準備が早く、次々に飛び込んでいきます。
しかし、流れが無いという話でしたが、皆さんどんどん流されていきます。いや、どうも船が流されているらしい。どんどん離れていきます。出遅れた私は ちょっとあせってしまい、慌ててタンクをしょって飛び込みました。
が、しかし。フィンを付け忘れていました。やばいと思って船を見上げても、もう誰もいません。遠くからガイド氏が船長に「フィン投げてー!」と呼びかけて います。しかしこの船長、ダイビングのことをさっぱり知りません。「フィンって何?」みたいな顔をしてうろうろしています。
そのうち私もどんどん流されてしまいました。フィンが無いのでぜんぜん泳げません。船長はフィンを持って、こっちに泳いでこい、みたいな仕草をしています が、そりゃ無理ってもんです。その時、バディのA氏が私の代わりに船まで泳いでいきました。
が、この船長、A氏がまだ近くまで来ていないのに、フィンを海に放り投げました。ゴムフィンは水に浮かない……なんてことはダイバーじゃないとわからない ことかもしれません。ずぶずぶ沈んでいくフィンを見て、ああ、これで今年の銭州は終った、自分の不注意のせいで長年使ったワープともお別れか、とすっかり 諦めの気分になってしまいました。
だがしかし、バディのA氏は驚異的なダッシュ力で両方のフィンを回収してくれたのです。この時ほどバディに感謝したことはありませんでした。

実はこの日のダイビング、さすがに銭州だけあってクリアーな水や濃い魚影は楽しめたのですが、特にこれといった大物はいませんでした。人懐こいアカウミガ メがいましたが。
それよりむしろ、速い潮や波に翻弄されてしまった方が印象的でした。
エキジット時、船がダイバーの潮下につけられるため、カレントロープに捕まった全員が船に張り付くような状態になります。しかも波があるから、待っている 間に頭から海水がざぶざぶかかってきます。スノーケルだけだとおぼれてしまいそうで、水面でレギを咥え直しました。
2本目のエキジットの時など、私を含めた数人が船の反対側に流されてしまいました。遅れて流されてきた浮き輪つきのカレントロープにかろうじてつかまるこ とができたのですが、間に合わずに流されてしまった人もいました。ベテランの方だったようで、落ち着いてフロートを立てて待っていたので特に大事には至り ませんでしたが。
やっぱ怖い場所です。それでもまた行ってしまうのですけどね。

ポイント名
  メイプルス  
  エビ根  
  エビ根  
潜水時間
31分
37分
38分
最大水深
22.1m
19.3m
23.5m
平均水深
14.7m
14.4m
15.6m
水温上
23℃
23℃
23℃
水温下
23℃
23℃
23℃


マニアックポイント 3連発(南勢、三保、女川)

なんとなく興味があっていってみたいのですが、友達を誘って行くのはちょっと気が引けるようなポイントがあります。
それはポイント自体の特性(いつも濁ってるとか)だったり、位置的な条件(行きにくい場所にあるとか)だったりするのですが、そんなポイントを例によって はしごしてみました。
(要するにオタク向けポイントなわけですが)

2004/4/29
昼過ぎに家を出て南勢に向かいます。南勢とは真珠の養殖で有名な伊勢志摩の近くで、紀伊半島の東側の真ん中あたりです。名古屋から車で2時間ほどかかる位 置です。
昨年の8月、串本に行く途中でこの南勢でダイビングをする予定だったのですが、残念ながら台風でクローズ、素通りしてしまった経験があります。ちなみに私 が最初にCカードを取得したのもこの場所だったりします。そんな因縁の場所へ、再び潜りに行きました。

さて東京から南勢までは、約500キロほどの距離があります。遠い。すごく遠い。まず名古屋になかなか着かない。さらに名古屋からもだいぶ遠い。
志摩のホテルについたのは夜の9時過ぎとなりました。というか以前にも来たはずなのですが、前回は台風の緊張感であまり距離の方に気が行かなかったようで す。しかしとにかく着いたのでもう後は寝るだけ。しかしこのホテルの大浴場が8時で閉まってしまうのはちょっと早くないすか。
さて夜にガイドさんに電話しますと、透明度悪いとの情報が。予想はしてましたがやはりちょっとがっかり。それでも翌日は3本潜ることを宣言して、初日は終 了です。

2004/4/30
ホテルでの朝食を終え、南勢相賀浦へ向かいます。志摩のホテルからはちょっと距離があります。だいたい40分くらいで到着。
堤防沿いの細い道を行った果てにあるショップから、直接ボートが出ます。漁船ではなく、ダイビング用のボート。カメラを置く場所には毛布が敷いてありま す。
なぜか漁師の方も一緒に乗ってます。「監視人」だそうで、別に船の運転とかしてくれるわけではないようです。(カメラの受け渡しはしてくれます)

さて、この日は透明度が良くないということで、小さな生物狙いにしました。というかぶっちゃけウミウシ狙いです。ガイドさんはウミウシ好きな方だと聞いて いますし、季節的にも丁度いいでしょう。

で、潜ってみると予想通りの緑色の海。透明度悪いっす。しかしこちらも近海モノ、この程度では濁っているうちにも入りません。うんうん、見えてる見えて る。
同じ紀伊半島でも、串本や西側のポイントとは全然違う海中風景です。どちらかというと伊豆に近い、赤っぽい根とカジメ林、ウミトサカなどのソフトコーラル が見えます。砂地も、串本のような白い砂ではなく、灰色の砂です。

この近辺の海は、私が最初にCカードを取得するために講習を受けた場所です。海中世界を見たのは、子供の頃にスノーケリングしていた三陸の海が初めてです が、タンク背負って潜ったのはこの伊勢志摩が初めてです。その時も透明度が悪いとは感じていましたが、様々な生物が生きている海中をじっとおちついて見る ことができたのが印象に残っています。講習中も恐怖など感じることは無く、ひたすら刺激的な時間を過ごしたような気がします。(冷やっとしたり恐怖を感じ たりしたのはもっとずっと後、タンク本数150本を越えてからです)
当然、今回のガイドさんは、私に最初の講習をしたインストラクターさんでもあります。

ダイビングは、いきなりウミウシ探しから始まりました。ネズミウミウシ、ミツイラメリウミウシ、クリヤイロウミウシと次々に見つかります。てゆーか見つか りすぎ。
しかしこの1本目を始めた直後、ちょっとした異変がありました。コンピュータの表示がおかしいのです。水深も水温も表示されません。ついに壊れてしまっ た??? まあそれでもダイビングは続けます。しかしこのGWのダイビングは毎年何かが壊れているような……。

ウミウシ尽くしの1本目を終わり、あまり休憩することなく移動。すぐに2本目を開始します。またまたウミウシだらけ。しかしそれだけではなく、しばらくご 無沙汰だったタツノオトシゴやオオウミウマに出会います。
このパイナップルロックというポイント、ふと気になりホヤの写真を撮りました。
種類が多い、でかい、この海のホヤはやけに元気です。さらに、この近辺だけでスナビクニンが3個体。
なんか、ちょっと北の海っぽいではありませんか?  単純な印象なのですが、先ほど書いたように伊豆の海にちょっと似ているように見えるのですが、じっと見ているともう全然違います。どのように 表現すればいいのやら。

ここで見た印象的なものは、ヤマトウミウシの産卵でした。後で写真を見て気付いたのですが、産産される側からツノヒダミノウミウシが群がって食べているの です。ツノヒダミノウミウシはウミウシの卵を専食するのですが、5mmほどのこのウミウシが、この広い海の中で、一体どこから食べ物の匂いをかぎつけて やって来るのでしょうか。無残にして不思議な光景でした。

2本潜ってから昼食ですが、このサービスは昼飯がつきません。というか事前に注文しなければいけないのですが、連絡ミスにより注文できませんでした。てな わけで相賀浦にある雑貨屋兼酒屋兼スーパーみたいなところにパンを買いに行きました。ちなみにこのへんの名物として、「サンマ寿司」というのがありまし て、押し寿司みたいなもののようです。試しにちょっと食べてみるのも一興かと思いますが、私は食べませんでした。(大体、なぜ南勢でサンマ?)

3本目、ウミウシは続くよどこまでも。ワイドなネタといえば、ボラの群れに遭遇したくらい。でも透明度が悪くてとても撮れたものではありませんでした。
前日には水面にイルカが現れたりしたそうですが。
総括すると、なんとも濃いぃマクロ尽くしのダイビングでした。噂どおりのマニアックポイント。ううむ。


相賀浦の内海。というか海と繋がっている塩水湖。ここはここで潜ったら面白そう?

ログ付けを終えてから、サービスの皆さんに別れを告げ、次の目的地、静岡県清水市に向かいます。しかし、南勢から清水までの距離は350km。3本潜った 後だと結構きつい。眠い〜〜〜〜、とかうめきながら進み、清水市のホテルに到着したのは夜の11時ごろ。はう〜疲れました。おやすみなさい。

ポイント名
オレンジフォレスト
パイナップルロック  
ソフトコーラルガーデン
潜水時間
47分
53分
50分
最大水深
21m
16m
18.8m
平均水深
14.7m
7.9m
13.2m
水温上
17℃
15℃
15℃
水温下
15℃
15℃
15℃

2004/5/1
朝はごく普通に目覚めました。朝食はセルフサービス。以前串本で泊まったホテルに似ています。
さて今日は、昨日に輪を掛けてマニアックなスーパー(?)ポイント、三保の真崎海岸です。基本的に泥地で透明度が悪く、アカタチやハゼなどの砂泥地に適応 した生物の宝庫という噂です。確かに三保といえば日本最大の砂嘴。以前訪れた、北海道の野付半島よりもでかい砂の半島。特殊な地形には特殊な生物が付き物 です。
ちょっとこれは期待できそう?

サービスで簡単な説明を受け、ポイントに向かいます。さて、そこはなんだが懐かしい感じのする砂浜でした。本当にただの砂浜です。バーベキューをやってい る家族や、釣り人もたくさんいます。
ここがダイビングポイント? という顔をしていると、ガイドさんが、「ここが真崎です。『フリー』のダイビングポイントです」と説明してくれました。ここでダイビングするのには、どこ にも何の届けもいらないのだそうです。その代わり、水面移動禁止などローカルルールがあるのだそうですが。
そういうわけで、ここの海はセルフダイビングがまず基本。ガイドをつけるのは特別なとき、なようですね。


真崎の風景。砂浜です。沖に見える堤防が、ナビゲーションの一つのポイントになります。

砂浜にビニールシートを敷いて、その上でセッティングをします。まるで大瀬崎みたいです。まあ駿河湾をはさんで反対側なわけですが、大瀬崎の湾内と違って ここはドン深なポイントです。
エントリーは砂浜なのでらくちん。まあ波が無いからですが。海底はちょっと進むと、まるで転がり落ちるような斜面になります。そのまま水深20メートルの 世界までご案内〜という感じ。ちなみにここのサービスのタンクはみな150気圧。EANだと200気圧のものがあります。これは全体の水深があまりに深す ぎるからのようです。とっとと上がってこないと減圧が出てしまいます。
実際、メインとなる砂泥地での撮影ができるのはせいぜい30分、あとは徐々に水深を上げたり安全停止をするために費やされる時間になります。

水中は何だか緑色っぽい世界です。前評判どおり、透明度は悪い。海底は粒の細かい砂、というか泥。白いソフトコーラルが点々と生えている、なんだか荒涼と した海底風景です。

この泥の中に、アカタチの巣穴があります。ガイドさんがライトで慎重に教えてくれるのですが、寄れません。ぜんぜん寄れません。ちょっとした気配ですぐに 引っ込んでしまいます。ハゼやウミヘビも同様でした。
こいつは厳しいな、と思っている間にもう上がる時間となりました。斜面の途中で結構長い安全停止をしてから浮上。
浅場にも、汽水生のハゼがいたりするそうですが、それっぽいのは見当たりませんでした。

1本目のあと、写真撮影についていくつかアドバイスがありました。

・ストロボの位置が高いと、魚に警戒され易いので、少し下げた方がよい。
・中性浮力を取って近寄ると、魚を見下ろすような形になって警戒されやすい。
  思い切って着底して、なるべく姿勢を低くして寄った方がよい。
・濁りが来ないように潮の下手から近づく。

さて近所の蕎麦屋で昼飯を食って休憩。ここのサービスはフォト派向けらしく、あんまり客のやることに干渉しません。なので休憩時間は暇といえば暇なのです が、その間にデータのバックアップやら帰りのナビの設定やらいろいろ雑事を済ませることができます。

2本目ですが、今度は入って左側の方に進路を取りました。左手方向に向かって沖の堤防の手前を経由するルートです。
ハゼやアカタチは相変わらず撮りにくい。つーか撮れない。今日は潮が悪いとのことですが。
それでも1本目よりはカラフルな生物が見られました。でかいマダイや(砂浜で釣りをしている人は何を狙ってるんだろうかと不思議でしたが、どうもこいつら しい)、アカシマシラヒゲエビ、ゼブラガニ、アオヤガラ、ニシキハゼなど、伊豆でよくガイドされるたぐいの生物がたくさんいます。ゴロタの近くでキンギョ ハナダイの群れと、それに混じって泳ぐアカオビハナダイも見られました。
ちょっと殺風景だけど、生き物達のラインナップは伊豆の範囲はカバーし、さらに+αもいるという感じです。ちなみにベストシーズンは冬のようです。

この日は一旦東京の自宅に帰ります。東名高速を走っていると、反対側の下り車線がだんだん渋滞してきました。世間では今日からGWです。明日の移動はどう なることやら。

ポイント名    真崎  
   真崎   
潜水時間
53分
40分
最大水深
22m
25m
平均水深
16.1m
20.1m
水温上
18℃
18℃
水温下
18℃
18℃

2004/5/2
さて東北へ向かうのですが、この日は下りの渋滞が予想されます。朝の8時ごろに道路交通情報センターのウェブサイトを見たのですが、もう渋滞が始まってい ます。
どうも常磐道が比較的空いているようなので、16号を柏まで走って常磐道に乗りました。最初はさすがに詰まってましたが、後は余裕です。
午後の4時ごろ石巻着。サービスに電話すると、今日は透明度が悪いからナイトはパス、との話。がっくり。今日は単なる移動日となりました。

2004/5/3
最近の女川はどうにも水が悪いとか。しかし、今回(いつも?)濁ったところばかり潜っているのであまり気にはなりません。

入ってすぐに最近のブーム、カムチャッカカジカの撮影。どこからやってきたのか、突然現れたようです。背びれがちょっとかっこいい。あと、砂地をうろうろ しているニクハゼ。なにやら見慣れない姿なので写真に取りたいのですが、ちょろちょろ泳ぎ回って難しい。



ダンゴは相変わらず多い。抱卵中の個体もいました。ライトを点けて覗くと、イクラのような卵が見えます。でも写真には撮れない。全然撮れない。む きーーー!!!

1本終って昼飯です。石浜には施設は無いので、いつもコンビニ弁当です。おにぎりを食って、お茶を飲んでいる時にはたと気付きました。確か麦茶を買ったと 思ったのですが、今飲んでいるのは壮健美茶。思い起こせばおにぎりの具も違うような……。
つまりラインナップが似ているほかの方の昼飯を食べてしまっていたのでした。アチャー。
(すいませんOさん)

2本目。ダンゴウオの抱卵をリクエストしました。最近の石浜は潜れる範囲が限定されているとかで、実はあんまりいろんなリクエストはできないのです。なの で、1本目に見たのと同じ物をリクエストしました。
潜行する前に、流れ藻に付いているイソバテングの幼魚をみんなで観察。かわいいのですが、とても写真に撮れる代物ではありません。揺れるし泳ぐし。諦めて 潜行します。

……しかしダンゴの抱卵も依然として厳しい。全然光が入っていきません。ストロボをステーから外し、右手にカメラ、左手にストロボといった変なスタイルで 粘ってみましたが全然だめ。おまけに粘りすぎて他のダイバーの方を待たせてしまいました。アチャー。
(またまたすいません)

上がり際、別な位置にいるダンゴウオの抱卵にまた案内してもらいました。またもやストロボをセパレート状態にして撮ってみました。なんとか赤いイクラまで 光が届きましたが、2〜3粒で寂しい限り。
(ちなみにこの日には、前回川奈でお会いしたダイバーの方が、違うサービスを利用して石浜に潜ってました。伊豆で会った人と再会できるとは……。石浜もメ ジャーになったもんですね)

さてこの2本目を終ったとき、今回二つ目の異変がありました。ドライスーツの股間から派手に海水が浸入し、インナーがびしょびしょになっています。膝やひ じは前から水漏れしていたのですが、股間は結構きつい。なんかおもらししたみたいです。
このまま明日も潜るのかと思うとちょっと憂鬱な気分かも。

ポイント名    石浜  
   石浜   
潜水時間
58分
62分
最大水深
11.5m
11.9m
平均水深
9.4m
8.8m
水温上
8℃
8℃
水温下
8℃
8℃

2004/5/4
さて石浜二日目。もうGWも終わりです。石浜もちょっと人が少なくて寂しげです。私のほかには、昨日私に昼飯を食われてしまったOさんと、初石浜の方が一 人です。

今日は東側の方に向かいます。謎のカジカが抱卵中。でもこのカジカ、ちょろちょろと泳ぎ回って、なかなか卵と一緒に撮らせて暮れません。まあそれでも何枚 か撮影して移動しようとしたとき、Oさんがサンゴダツを見つけました。腹の大きい雄です。
こんなに奥の方にサンゴダツがいるとは、ちょっとびっくり。
その後、イイダコの砂もぐりを観察し、さらに腹のでかいナメフウセンや、定番のクチバシカジカを見てまわります。
この日はちょっと透明度も回復してなかなかいい感じではありました。
そして2本目、ダンゴウオ抱卵3たびチャレンジ。さらにフジツボの奥にあるフタスジカジカの卵も撮影。若干ピントが甘いものの、なんとかフレームに収まり ました。
ダンゴウオは、あと3週間もすれば、発眼して可愛い幼魚が見えるようになるそうです。



しかし今年のGW、コンピュータとドライスーツにトラブルがあったわけですが、カメラのトラブルが起こった時ほどの精神的ダメージはありませんでした。で もまあ嫌なもんは嫌なわけですが。

ポイント名    石浜  
   石浜   
潜水時間
59分
61分
最大水深
11.8m
12.4m
平均水深
9.1m
9.6m
水温上
8℃
8℃
水温下
8℃
8℃



積丹で風邪っ引きにトド

ダイビングで海獣類の観察というと、ラパスのアシカなどを思い浮かべる方も多いかと思いますが、国内でももちろん可能です。
北海道の積丹半島や知床半島などがそれに当たるのですが、確実かつ数が多いのは積丹半島でしょう。

私が積丹のトドのことを知ったのは、2003年の1月で、たまたま女川に来ていた北海道の女性ダイバーとの会話からでした。
内容のポイントは、大体こんな風になります。

・トドは冬の間、北海道の日本海側を移動している。
・トドは一箇所にとどまっている間は、同じ海域で採餌する。
・なので、その海域にダイビングすれば、トドの観察は十分に可能。
・ただし、用心深い生物なので、必ず会えるかというというわけではない。
・もし会えれば、相手は3メートル以上ある日本最大の海獣、すごい感動です。

そういうわけで、これらの話を聞いた瞬間から、私のトド観察計画はスタートしました。
実はGWに積丹に行ったのも、今回の下見という面があったのです。
さてさて、本番スタートです。

2003/12/31
ついに積丹に向かう日がやってきたのですが、この朝にはまだ、私は長野県小県郡長門町のペンションにいました。
しかも熱を出していました。ここにはスキーをしに来たはずなのですが、前日には40度近い熱が出て、一日中ベッドの中で動けない状態でした。
この日の朝、 なんだかあやふやな浅い眠りから目覚めた私は、多少は動ける程度に熱が下がっていることを感じました。
なんとかこのまま北海道へは行けそう。潜れるかどうかは分らないが。とにかく現地に行かねば。
ペンションのマスターも心配してくれましたが、とりあえず自分でハンドルを握って家路につきます。頭の中で「トド〜〜トド〜〜トド〜〜」という言葉がぐる ぐるまわっています。
今思い返すとかなりヤバい状態です。しかしこの中途半端なコンディションは(実は)この後ずっと続くのです。

危ないコンディションのまま家につき、その後、待ち合わせの時間になって知人のダイバーX氏が現れます。今回のトドダイビングを計画する前に、知り合いに 何人か(実はひやかし半分で)声を掛けたのですが、このX氏だけは物好きなことにトドを見たいと言ってくれたのです。
さて、このあとはX氏の車で羽田に向かい、千歳まで飛んでからレンタカーに乗り換え、札幌に向かいます。
そしてその札幌。たしか気温は0℃前後でまだまだ冬本番とは言いがたい気温だったのですが、
「……寒い!!!!」
歯の根があわんくらい寒い。これは要するに私に熱があるわけです。これはまずい。とっとと暖かくして寝なければ。
そう考えた私は、X氏との夕食もそこそこに、本日の早い就寝を提案し、とっとと自分の部屋に引っ込みました。
で、布団には早く入ったのですが、結局、曙がKOされて桜庭が判定負けするまで、テレビは見続けてしまったのです。

2004/1/1
あけましておめでとうございます。というわけで年が明けました。
札幌を6時ごろに出発し、一路積丹・幌武意を目指します。路面の凍結も徐々に厳しい状態になっていきますが、なんとかダイビングサービスまでたどり着きま した。9時の待ち合わせなのに、まだ8時20分くらいです。

が、ダイビングサービスにいる人々の様子がおかしい。みなさんへろへろです。どうやら昨晩のみ過ぎたようです。後から聞いたのですが、前日は3時半まで飲 んでいたとか。はぅぅ皆さんホントに今日潜る気なんですか〜?

それはともかく、やがて1本目の準備が始まります。私は自分の健康状態について注意深く考えます。寒気も無く、熱が出ているようには感じられない。昨晩は 十分に休息を取った。アルコールは一切摂取していない。OK、完璧だ。

さて、ボートに乗り込んで1本目のポイントへ向かいますが、その途中でトドの上陸ポイントへ立ち寄ります。



いました! 野生のトドが三匹、岩場に寝そべってます。X氏もビデオを用意して撮影体制に入りますが、その前に上の写真の右端にいる2匹が相次いで海に飛び込みまし た。
てことは、水中で彼らに出会える確率がちょっと上がったってことではないですか。ちょっと風裏になる静かな入り江に移動し、あたふたと準備してエントリー します。ちなみに、トドダイビングといっても、普通のボートダイビングとそれほど変わりはありません。
さてエントリーすると、そこは意外なほど蒼い世界です。水は結構抜けていて、5月に来たときの印象とは全然違います。あちこちにホッケがいます。普段は深 場に生息しているのが、産卵のために浅場に上がってきているのだそうです。ちなみにこの浅場にいるホッケは釣って食べても全然美味しくないとか。


で、トドを見るためにはこのホッケがポイントになるとか。トドが近寄ってくると、ホッケ達は必死になって逃げ出します。つまり、ホッケが集団で同じ方向に 泳ぎだしたら、その反対方向にトドがいる可能性が高いのです。
そんなわけで緊張しながらホッケの動向に気をつけながら、ガイド氏の誘導に従って移動します。

しかし、トドが現れる気配はぜんぜんありません。それどころか、全く緊張感の無いホテイウオがよたよたと現れて愛想を振り撒いたり、ホッケに虐められて哀 れを誘ったりしています。


なんだかほのぼのした雰囲気になってきて、私も注意散漫になってきました。そしてふと気付いたのですが、寒い!
ものすごく寒さを感じているのです。そんなあほな、今の装備なら氷点下まで耐えられるはず。コンピュータで水温を確認すると、9℃が表示されています。普 段なら余裕で1時間半は耐えられる水温です。しかももっと軽装で。
これはやっぱり体調が異常なのに違いない。おそらくまた発熱しているのだ。こりゃまいった。
残圧を見る。20分経過で80気圧程度。かなり早い。
さてどうしようか、と思案していると、誰かが私のフィンを引っ張ります。「何、この忙しいのに?」って感じでその誰かを見た私は、その人物が何かを指差し ていることに気付き、はっとしてその方向を見ました。

その時の感覚というか感情というか、なんと表現すればよいのかわかりません。つーか、ダイビングでこんなに感動したのは何年ぶりだろうか、というほどの感 動でした。
なにか巨大なものが、海中に浮かんでいるのです。それはまるで真っ黒い巨大な鳥のようなシルエットで、軽やかに舞い、そして一瞬のうちに蒼い空間に溶け込 むようにいなくなりました。

なんてこった、と私は思いました。ちょっと気をそらした瞬間に音も無くやってくるとは、トドが現れる瞬間ってこんな感じなのか、こりゃ全然気を抜けない ぞ。
他のダイバーの方々も、呆然としたようにトドが消えていった蒼い空間を見つめていましたが、また移動を開始しました。もう船に向かって移動するようです。 確かにもうそんな時間になっていました。
そうしてまた全員ちょっと泳いだとき、奴はまた現れたのです。



今度はしっかりシャッターを押すことができました。3メートルほどの若い雄です。我々の方をちらちらと見ながら、まるで鳥のように羽ばたいて移動していま す。
奴が我々の視界内にいた時間は、ほんの30秒くらいだったと思うのですが、それでもかなり強烈な印象でした。巨大にして華麗にして静粛。なんて生き物だ よ、とやっぱり呆然としてしまったのです。

で、感動もつかの間、潜水時間30分で残圧40になってしまった私は、寒気にがたがた震えながらガイド氏に先に上がる旨伝え、バディのX氏を残して真っ先 にエキジットしたのでした。
さきほど、トドダイビングといっても普通のボートダイビングとあまり変わらない、と書きましたが、実は終わってからがちょっと違います。それは、外気温が えらく低いということです。港に着くまで、フードやグローブは決して外してはいけません。外してしまうと、港に着く頃には霜焼けチックな状態になります。

ちなみにここのダイビングサービスにはコタツがあります。2本目までにはかなりの時間的余裕があるため、私は着替えが終わると速攻でコタツにもぐり込み、 休息と体力の回復を図りました。これで調子が戻らなければ2本目はパスです。
で、昼飯をはさんでコタツですっか爆睡してしまいました。

結局2本目も行ってしまいました。しかし、トドには会えませんでした。正確に言えば、「私は」会えませんでした。何人かのダイバーは目撃したのです が……。
しかし、これがトドウォッチダイビングのいつものパターンなようです。全員が見られるのはかなり珍しいことなのだそうです。(ちなみに2本目のエアー消費 率は1本目みたいに極端に多くは無かったのですが、でも多少大目ではありました)

さて元旦の晩ですが、前日に皆さん深酒しすぎたようで、かなり早い時刻に沈没してしまいました。復活して元気になった私他、元気な人もただ漫然とテレビで 筋肉番付なんか見たりして、特に盛り上がりも無いまま就寝となりました。おやすみなさい。


ポイント名 マッカ岬
  マッカ岬 
潜水時間
39分
44分
最大水深
20.9m
19.8m
平均水深
15.6m
13m
水温上
9℃
9℃
水温下
9℃
9℃


2004/1/2
昨晩は雪が降ったようで、目覚めると一面の雪景色。


「寒くなんかないにょ」

なんつーか、こんな場所でダイビングすることになるなんて、Cカード取得した当時は考えもしなかったような。
それはともかく、今日もトドを求めて潜ります。
昨日、トドが休んでいた場所に立ち寄りますが、今日は1匹もいません。


雪が積もっていてなんだか寒そうです。それでもめげずにエントリー。トドを求めて40分ほど海底をさまよいましたが、状況は芳しくありません。
結局何の成果も無しか、と私を含む何人かがエキジットして船の上でくつろいでいたとき、「下にいるぞ!」との声が。
そうなのです。上がり際に奴は来たのでした。目撃したのは3人ほどでした。昨日の個体よりもでかい、雄の成獣だったようです。(ちなみのトドの成獣は、雌 は体長3メートル体重600kg、雄は体長4メートル体重900kgとか)
しかも悔しいことに、帰り際に後ろを振り返ると、何匹かのトドが海面から頭を出して、こちらを眺めているではないですか。

またまた昼飯&お昼寝タイムをはさんでからの2本目。いよいよ最終ダイビングです。私もX氏も気合十分です。どうやら、午前中に海面で見た個体が、陸に上 がろうとしてじたばたしているらしく、うまくすれば下から彼らを見ることができるかもしれないとのことでした。
そういうわけで、私もX氏も、ガイドべた着き作戦にでました。なるべくガイド氏と同じ視界を確保するべく、背後をぴったりマークして進んだのです。

……しかし、結論から言えば我々はトドには会えませんでした。トドは我々ダイバーを背後から尾行していたのです。トドに会えたのは、一番最後にいたグルー プの方々でした。
なんてこったい、とがっかりしましたが、しょせん相手は野生動物、こうなるのが自然であろうかと自分を納得させるしかないのでした。

さてこの晩は普段どおりの飲み会。ミズダコの刺身相変わらず美味い。しかしラム酒は結構きついですよ、社長。


ポイント名 マッカ岬
  マッカ岬 
潜水時間
40分
46分
最大水深
21.6m
20.9m
平均水深
16m
11.4m
水温上
9℃
9℃
水温下
9℃
9℃


2004/1/3
この日はフライト日なのでダイビングはしません。しかし陸にいるトドの撮影がしたいと言ってボートに乗せてもらいました。


ちなみに港の中は、ずっと海底が透けて見えます。落ち着いてみると景色のいい場所でもあるのです。
さて、今日はちょっと離れた東側のポイントまでやってきました。水はかなり抜けていますが、トドの姿は見当たりません。
他の方々が潜っている間、とりあえず船番のような形になって、揺れる船の上(しかも寒風吹きすさぶ中)、私とX氏は陸や海を、トドが現れないかと監視しま す。そのまま1時間ほど、監視は続きました。(これがまた風邪の悪化に拍車をかけたような気がしなくもないのですが)


しかしトドは現れませんでした。
結局最初の1本だけだったわけです。しかしダイビング中に誰かが見たという観点で言えば、トドの出現率は100%でした。これってやっぱりすごいことでは ないでしょうか。

私とX氏はダイビング器材を宅急便で発送し、結局そのあとも夕方までダイビングサービスのコタツでごろごろしていました。
なんとも後味が悪いというか、悔しさの残るダイビングとなりました。

そしてこのあと、登場予定だった千歳発羽田行きの最終便が、整備不良個所が見つかって3時間近く遅れたというオチまでつく始末。(航空会社から全乗客に1 万円が支給されました)

ついでに、やはり私の風邪は完治していなかったようで、帰って早々にまた高熱が出てぶっ倒れてしまい、会社を休む羽目になったことも付け加えておきます。


羅臼でカレイに囲まれ る

2003/10/10

航空券に、バースディ早割というものがあります。誕生日の前後何日間かであれば航空券が一律1万円というもので、ダイバーの方は結構活用されている方も多 いかと思います。

さて、そのバースディ早割りの季節が私にもやってまいりました。どーしたもんかと考えた挙句、今までGWにしか訪れたことが無かった羅臼に行ってみること にしました。
だがしかし、動くのがちょっと遅かった。行きの便が早い時間のチケットは取れず、結局潜れるのは中日の1日だけに。
まあいっか。帰りは最終便だし、のんびり観光でもしますか。
そういうわけでチケットを購入し、ダイビングサービスに予約を入れ、宿も予約してレンタカーも手配した……のですが、いきなり例の2003年十勝沖地震が 発生したのです。
羅臼の被害は無かったようですが、しかしまたもや災害地域ツアーみたいになってしまって、もしかして疫病神?

そんなこと考えている間に時は過ぎて出発日。
女満別空港まであっさりと到着し、そこからレンタカーに乗り換えていざ羅臼……と意気込むまもなく着いてしまいました。
2時間半くらい? なんか拍子抜けするくらい近い。
ちなみに夜の知床峠は、快晴の夜空に満月が輝き、知床連山の稜線が夜空にくっきりと浮かび上がっておりました。
しかも時折ライトの中にキタキツネやエゾシカが浮かび上がり、羅臼までの旅程の中で唯一北海道を強く感じさせる場所でありました。

しかし、羅臼に入ってしまうと、何か見慣れた町並みで、きくや旅館も何度も泊まっているだけに、全般的に特に何の感慨もないのでありました。ホントに羅臼 に来ちゃったの? てな感じで。

そしてテレビをつけると、衆議院解散のニュースで持ちきりなのでした。

2003/10/11

天気良し、べた凪。すばらしいコンディションです。水温も二桁とかで、装備もウエイトも軽くて済みます。さくさくと準備してエントリー。
水が青い〜。


透視度は15mくらい抜けてるでしょうか。すごく良い感じです。
天気もよく、海の中から青空が見えます。



トド岩の周りは何度も潜っているはずなのに、なんか全然違う場所に潜ってるみたいです。ソフトコーラルも多い。
さて一本目ですが、オレンジホクヨウウミウシやオコゼカジカ、タラバガニの幼体を岩場で見た後、アマモのところでナメダンゴ幼魚、ヤギウオ、チシマトクビ レとなんだか続々と生物が現れます。中層にはでっかいキタユウレイクラゲ、オオサルパの連鎖個体も漂っています。
で、タイトルにもなっているのですが、夢中で写真を撮っている私と他のゲストの方々を常に包囲していたのが、大量のマガレイ。カレイは砂埃の方に寄ってく る習性があるのですが、我々は写真を撮るためにいちいち着底するものですから、そのたびに砂埃が立ってカレイを集めてしまうのです。そんなわけで、我々の 周りには常に10匹くらいのカレイが付きまとっていたのでした。
ちなみにこの一本目だけで70枚撮影したのですが、最後の方で不覚にもバッテリー切れになってしまいました。

さて昼飯食って2本目。1本目にバッテリー切れで撮影できなかったエゾクサウオとオオカミウオを見に行きます。そのあと深場に移動し、キタフサギンポ、ア ツモリウオを撮影。なんか見慣れないヒトデがいます。とりあえず撮影しますが、どうもニシキキタヒトデとカスリマクヒトデのようです。
浅場に戻ってくると、でっかいオオカミウオがでんと居座っています。始めて見ましたが、ごつい魚です。
2本目もおなかいっぱいって感じで終了、しかし今日は3本行きます。

てなわけで休憩してから3本目。砂地でケムシカジカに遭遇。大騒ぎ。運良くカメラに収めることができましたが、何人かの方はそのままケムシカジカを追って 別行動。
私や残りのゲストの方は、深場でハナブサギンポを撮影、それから浅場に移動すると、別なケムシカジカがうろうろしてました。
さらに浅場では、エゾバフンウニが一斉に放精、放卵をしておりました。おいしそうな色をしたウニの卵が、体表から染み出すように海中に散らばっていきま す。

こんな感じで本当に生物てんこもりの秋の海を堪能させていただきました。
しかし、羅臼まで来たというのにこれでダイビングはおしまい。
で、この夜も例によって飲み会。Sさんが差し入れに持ってきてくださった日本酒がすごく旨かったです。なんか大量に呑んでしまったような記憶が微か に……。

ポイント名
ローソク岩
ローソク岩  
ローソク岩 
潜水時間
70分
59分
57分
最大水深
22.3m
26.1m
27.9m
平均水深
9.3m
12m
11.4m
水温上
12℃
12℃
12℃
水温下
11℃
11℃
12℃


次は四国だ! 黒潮の海はしごツアー  (+番外編 なぜか酒田港)

2003/8/8
私の日々の行いはよっぽど悪かったのでしょうか。
このお盆休みに計画していたのは、南勢、串本、柏島をマイカーとフェリーではしごしようというものだったのですが、まさに今、台風10号が私の目的地の海 を丁寧に一個づつシェイクしていってくれてます。
で、今は伊勢志摩のホテルにいるわけですが、三重県南部はまさに暴風域真っ只中。ここに来るまでも、大量かつ馬鹿でかい雨粒が強風にあおられて激しく舞 う、恐ろしくも美しい光景を見てきました。舞い上がる雨粒で視界がいっぱいになって道路すら見えなくなります。
ニュースだと四日市の最高風速は36.5mだそうですが、そのくらいの風+土砂降りの雨、まあそんな感じでした。
前回が群発地震で今度は台風直撃と、まるで災害地域を見て回ってるかのような感じです。なんか悪いことしたかなあ。
台風が早くに日本海に抜けてくれればもしかするといけるかも知れないと僅かな希望を抱きつつ、就寝。

あっ、ちなみに名古屋文化圏に入ったらきしめんかミソカツかひつまぶしかとにかく何でもいいから名古屋な食べ物が食べたかったのですが、けっきょく某SA で食べたてんぷらきしめんに落ち着きました。しかしてんこ盛りの鰹節が何とも言えずグー。ちょっと甘めの汁が美味しかったです。

2003/8/9
目覚めるといまだに暴風雨(T_T)。
テレビをつけると、台風は西宮から上陸して、現在は京都にいるとか。これで久々の南勢ダイビングは終わった。ちゃんちゃん。私がはじめてCカード取得した 現地サービスに、講習以来のダイビングということで楽しみにしてたのですが。

そんなわけで南勢を後にして串本を目指します。これからは厳しい山道の連続だぁ……っておい! なんか道幅が車一台分くらいしか無いんですけど。しかも片方は崖っぷちでガードレールも無い。急カーブが一発で曲がりきれないくらいきつい。これカーブ じゃないよ、Uターンだよ、って感じ。
さらに台風直後だから所々道路が川になってたり、木の枝や岩がごろごろしてたり、これは本当に道路か?

っつーか道間違えてるよ! でもUターンもできないし。なんかどんどん鬱蒼とした森林になってくるし、フロントガラスにアオガエルとか正体不明の生き物(ヒル?)とかぽたぽた落ちて くるし。お、道の真ん中に何かいるよ、あれ野ウサギ? 可愛い〜ねぇぴょんぴょん跳ねてるよ、ってなんかますます人外魔境って感じですか? うわ〜こんな道早く抜け出してぇ〜。
で、国道42号にでるまで冷や冷やのどきどきの洒落にならないドライブを30分くらいしてしまいました。
伊豆にも、堂ヶ島から国道414に抜ける抜け道がありまして、こっちもかなりヒドイ道ですが、今回の道の方がもっとぜんぜんヒドイ道でした。

さて国道に出て、走る、走る、どんどん走る。延々と走る。で2時間くらいで熊野に出ました。
が、ものすごい荒波。熊野灘の海の色は薄いグリーンって感じで、なんかいかにも大時化の後って感じです。その海から、真っ白に泡立った大波が次から次へ と……。
嫌な予感がします。


熊野川の濁流どどどどどどと流れる。

やがて右手に橋杭岩が見えてきました。ついに串本到着です。
とにかくホテルに入り、温泉につかり、麦酒飲んで一息ついてから翌日のサービスに電話します。
ところが電話が繋がらない。何度かけても繋がらない。まさか台風で潰れてしまったの?
女川の時は何ともなかったのですが、今度は本当に問題ありました。その後メールで連絡が取れたのですが、台風の影響でずっと停電になっていたようです。
明日のダイビングはちょっと厳しいかも、というお答え。
ああ、そんなことなら南勢に戻らせてくれぇ。あっちなら潜れるのに〜。と思っても4時間の道のりを早起きして引き返す根性は私には無いのでした。

2003/8/10
ホテルで目覚め、あまり期待しないでサービスに確認の電話を入れます。すると、今調査中だから後で電話してくれとのこと。
ああ、なんかやばそう。と思いながらまた寝ます。目覚めてから再び電話。どんなもんですか、と聞くと、11時に船が出るとのこと。ああ、と思わず安堵のた め息。三日目にしてようやく潜れます。しかも台風直撃直後という貴重なんだか嫌なんだか良くわからない海に。

そんなわけでサービスに向かいます。で、行ってみると、なんか人気がありません。お店の人の話では、昨日の台風で海側にあった駐車場が完全に水没し、でか い岩やゴミが打ち上げられて使い物にならなくなってしまったとか。確かにその場所は、私にはたんなる海辺の荒地にしか見えなかったのですが、どうやら20 台くらい停められる駐車場だったようです。それでほとんどのお客さんは断ってしまったのだとか。私は連絡がつかなくて断りの電話が入れられなかったようで す。つーか私の方からも連絡つかなかったのですが。ダイバーは他には男女一組の二人連れだけ。真夏だというのに少人数で余裕です。


まあ何はともあれ潜る準備です。天気は台風一過のピーカン。しかし海の方は、まるでアイスが溶けきったクリームソーダのような、白濁した緑色。透明度は悲 惨な状態のようです。
ちょっと様子見&準備体操のつもりで、サービス前のビーチでスノーケリングをしてみましたが、海の中は真っ白。4メートルほど潜ってみましたが、魚の数は まばらで、あたり一面がまるで灰をかぶったような殺風景な状態になっていました。

なんかやばそう、と思いながら他のお客さんと一緒に港に向かいます。
一本目はイスズミ礁。砂地に根が点在するポイントだそうですが、入ってみると……やっぱり見えない。なんか白濁した世界です。底まで行ってようやく視界が 開けます。
どんより串本
これが台風直後の海。

確かに砂が白い。コンディションがよければさぞかし気持ちいいポイントなんだろうなぁ、などとこの白濁した状態で言っててもしかたがない。しかし砂に浮い た砂紋がすごくでかい。台風の最中、このあたりはどれほどの底うねりに見舞われたのでしょうか。
2本目は住崎。根とゴロタのポイントで、根付きの魚がたくさんいます。これなら濁っててもある程度は大丈夫。
しかしいる魚がなんだが南国チック。伊豆とは雰囲気が全然違います。もちろん沖縄とも違いますので、南紀っぽい海とでも表現すればいいのかも。アオスジテ ンジクダイなど、串本でしか見られない魚がいます。レンテンヤッコやユカタハタなんかもいます。なんとなく八丈島っぽい気も。
なんかずいぶん無理に潜らせていただいたようなダイビングでしたがとりあえず初日終了。その夜は社長おすすめの「炉辺焼き
 湖月」に行ってきました。はげの洗いが美味かったっす。あと中落ち茶漬け。文句なしで超美味いです。特に酒飲んだ後。美味すぎ。ちなみに普段 はカツオ茶漬けです。たまたま無かったので中落ち茶漬けになりました。さらにちなみに、両方ともメニューには無いのでお店の人に要確認です。

ポイント名 イスズミ礁
  住崎  
潜水時間
45分
48分
最大水深
17.6m
22.1m
平均水深
14m
15.5m
水温上
26℃
26℃
水温下
25℃
25℃

2003/8/11
なんだか海の色が、昨日の白濁した緑色から青っぽく回復しています。今日は外洋のポイントに行ってみるとか。期待大です。
1本目は「浅地」になりました。串本を代表する外洋のビッグポイントだそうです。
さてポイントに着きました。案の定流れているようです。エントリーしてからすぐに、結構な流れを感じました。こいつは結構きてます。つーかかなりの流れで す。片手でカメラ持ってロープ伝いに潜行するのがキツい。しかし視界は昨日とは比べ物になりません。まだ若干浮遊物があるものの、青い海が広がっていま す。透視度は15mくらいでしょうか。これでもベストの時の半分くらいのようです。



やがて全員潜行して、根に取り付きます。泡が斜めに浮かんでいくのが見えます。さて流れを避けて深みへ。ヤノダテハゼがいるのですが、全然寄れません。代 りにシンデレラウミウシを撮ります。しかし深さは34m。あんまり粘れもせず、また根を伝って浅いところへと移動します。しかし根を回り込もうとするとま たもやBIGな流れがやってきて進めません。もたもたしていると、イサキのすんごい群れが深場から沸きあがるように現れ、我々の鼻先をかすめるようにして 泳いでいきます。カンパチとかもいたようですが私は見逃しました。メジロザメなども出るようですが、残念ながらお目にかかれず。しかし何度も串本に通って もなかなか潜れないという浅地に潜れてよかった。

さて次は串本ラストダイブ。「島回り」というポイントです。流れは少々。透明度もまあまあ。ここでは、ハナミノカサゴ、キリンミノ、ネッタイミノカサゴの 他、サザナミヤッコとか南方系のサカナ達がおりました。昨日が結構酷かったせいか、10mくらいの透明度でもずいぶん気持ちよく潜れたような気がします。



さて串本ともお別れ。同じ黒潮系とはいえ伊豆とは全然違う海を堪能させていただきました。次は柏島に向かうべく、とりあえず大阪に向かいます。大阪南港か らフェリーに乗って足摺岬に向かうのですが、まずは大阪から来ているという方から情報を仕入れました。曰く「田辺は混むけど高速に乗ればあとは大丈夫」。 なるほど、と聞いて3時ごろに串本出発。
……まったくもってその方のおっしゃる通りだったのですが、聞くと体験するのとでは大違い。確かに田辺まではすいすいでした。混雑が予想された白浜もスカ スカ。こりゃあ早く着きすぎちまうかな、とか思っていたのですが。
「……動かない」
田辺で予想通りはまってしまったのです。びくとも動かない。微動だにしない。ぴくりともしない。なんじゃこりゃあ、何がバイパスだ。全然だめじゃん。と騒 いでも何も始まらない。こっちは土地勘が無いし、第一バイパスの陸橋の上ではわき道に入ることもできない。結局田辺市内で1時間以上のロス。その後は結構 どきどきのドライブになってしまいました。

まあそれでも8時過ぎには大阪南港フェリーターミナルに到着しました。

大阪南港夜景 悲しい色やね?

ああ、しかし、小さなフェリーです。風呂はありますが食堂がありません。映画もコンサートもありません。寝台にコンセントがあるのでパソコンは使えます が、しかしこれで2万円ちょっとかい。う〜む。串本のサービスの社長に「フェリー代だけでごついことになっとる」と指摘されましたが。う〜ん。お盆時期は やっぱり高いや。
ま、なにはともあれビール飲んで就寝。おやすみなさい。

ポイント名   浅地  
  島回り
潜水時間
31分
45分
最大水深
33.6m
24.4m
平均水深
18.2m
15m
水温上
24℃
24℃
水温下
25℃
24℃

2003/8/12
朝早くに船内放送で起こされます。そういえば高知着は6:30でした。足摺着は11:50。まだまだ先です。
そしてこの時、ちらっと思ったのです。もしかすると、ここで降りて車で柏島まで行った方が早いのではないか。実はその通りだったのです。まあでも今更どう しようもないし、また眠ります。しかし7時にまた起こされます。朝ご飯の弁当の配布です。おにぎりとサバの焼き魚と漬物と肉団子とサンドイッチ。ステキな 組み合わせでした。
そしてまた眠ります。起きてても暇です。何もすることがありません。揺れが心地よいです。


煙突の向うに四国が見える。

そしてようやく足摺港着。さあ行こう、夢に見た柏島。台風の影響が少なければいいんだけど……。

さて柏島への道ですが、なんかトンネルができて行きやすくなったという噂を聞いたのですが、まだ未完成で通行止めでした。というわけで、例の有名な細くて ぐにゃぐにゃの山道を通ることになったのです。まあそれでも南勢で迷い込んだ道に比べればかなりましでしたが。


柏島の穏やかな海。

この日は到着が遅かったこともあり、慣らしで一本だけ。「竜の浜」というポイントに潜ります。砂地です。
いきなり子カンパチの群れがいます。でも小さい。アジみたいなカンパチです。
このポイントには、なんかやたらとウミテングのペアがおりました。

その晩は、他のダイバーの方々から色々お話を聞くことができました。皆さんさまざまな場所から集まってきていましたが、私と同じ関東から車で来ている方が 多いのには驚き。やっぱ柏島はツアーじゃなくて己の知恵と力でで向かうべき場所なのですね。まあ私は船好きなので無理やりフェリーに乗ってるようなところ もあるのですが。

なんか酔っ払ってる時にどさくさまぎれで生ジョッキを一杯ご馳走になってしまいました。Oさんありがとうございました。


ポイント名
 竜の浜  
潜水時間
68分
最大水深
10.6m
平均水深
8m
水温上
26℃
水温下
26℃


2003/8/13
さてさて柏島本番。でもあいにくの曇り空。今にも雨が降りそうです。

勤崎
曇り空の勤崎

一本目は一切小島。釣りポイントのようです。本来は透明度の良いときに潜る、地形ポイントのようです。しかし残念ながら透明度はいまいち。スケロウウミタ ケハゼがいるとかで、マクロネタを楽しみに潜ります。
さてスケロクウミタケハゼですが、ちょろちょろ泳ぎ回って撮りにくいったらありゃしない。というか撮れませんでした。
(後日、実は撮れていたことが判明)
だがしかし、他に見られる魚種のあまりの多さにそんなことは忘れてしまいました。なんでしょねこの海は一体。沖縄や奄美のようでもあるし、伊豆のようでも あるし、南紀のようでもあるし。

ひそひそ くすくす
「……ひそひそ……くすくす……」

2本目はメインポイントの後浜。後浜の3番ブイです。ここから砂地の斜面にいるハゼ系の魚を狙います。
さてネジリンボウやヤシャハゼの類といえば、寄るのが難しい上に一度ストロボを焚くと引っ込んでしまうという難儀な連中です。つまり、ガイド氏が個体を指 差してくれるのを待っていては写真は撮れないということです。そういうわけでカメラを持った皆さんはてんで勝手に移動を開始します。
私も同じですが、しかし、しかし、ハゼは小さい。見えない。逃げられて初めて判るほど、背景に溶け込んでいます。不思議に思うのは、彼らに気付かないまま 接近しても、彼らは逃げないということです。テッポウエビを見つけて、「あれ? エビだけ?」と思ってあたりを見回すと、なんと自分の目と鼻の先にネジリンボウ! と気付いた瞬間にそいつはぴゅっ! と巣穴に逃げ込んでしまいます。
しかしその個体数の多いこと。ハゼだらけです。こりゃ眼力を鍛えて再挑戦せねば。
3本目は勤崎でさらっと仕上げ。浅場を適当に流してますが、しかしまったくなんでこんなに魚がいるの? 数というか種類なんですが。日本で見られる魚の1/3はここで見ることができるそうですが、そんな気がします。
ちなみにこのポイントではどぎつい色のイロイザリがいたようなのですが、私はうっかり見逃してしまったのでした(T_T)。

ふ〜ん
「それは残念だったね」

さてログをつけたり他のダイバーのお子さん達の遊び相手をしているうちに時間は過ぎ、そろそろ柏島ともお別れです。マジでじっくり潜ってみたい海でした。

例の細くていやんな山道をまた通り、高知へ向かいます。フェリーの出港時刻は1:50。全くなんて時刻に出やがるんだか。ぶつぶついいながらも車は走り、 高知新港には10:30頃着いてしまいます。暇だ。つーか疲れた。常備している毛布を引っ張り出して仮眠です。そうやってだいぶ長い時間うとうとしていた のですが、ふと目を覚ますと目の前に巨大な船の影が!



ほぼ定刻どおりです。係員の方々が各車を起こして回っています。皆さん眠いでしょうに。そんなわけで私も、自分のベッドを確認した後は風呂にも入らずに麦 酒飲んでお休みなさいです。


ポイント名
一切小島
  後浜  
  勤崎  
潜水時間
52分
54分
56分
最大水深
18.3m
29.8m
12.9m
平均水深
10.5m
12.4m
6.9m
水温上
25℃
25℃
25℃
水温下
25℃
24℃
25℃


2003/8/14
揺れています。結構揺れています。外を見ると、一面に白波が立っています。大荒れです。しかしそれにしてもこの程度の揺れなのか、と思うとなんだかすご い。さすがカーフェリー。東海汽船やおがさわら丸とは一味違う。
ちなみにサウナ付きの展望風呂や売店、バイキング形式の食事ができるレストランなど、かなり豪華なフェリーでした。さらにミニシアターが結構立派。「千と 千尋の神隠し」なんぞ上映してました。
だがしかし、トイレなどそこかしこにゲロの痕跡があります。タオルを口に当てながら通路をふらふら歩いている顔色の悪い人もいます。やっぱ船酔いする人に はきついんだろうね。しかも15時間ほぼエンドレスで揺らされるわけだし。ああこうやってまた船嫌いな人が増えてしまうのだろうか。
なんてことを考えてしまうほど暇な時間を過ごし、夕方には無事に川崎着。ああ、帰ってきちゃった。
「次は四国だ! 黒潮の海はしごツアー」終了! ちゃんちゃん。

2003/8/15
ここから先は番外編です。なぜならタイトルと全然関係無いから。
さて山形県酒田市の沖合い20kmほどの海域に、明石礁という暗礁がありまして、ここがダイビングポイントになっています。マグロ(イソマグロとかじゃな くてクロマグロっすよ)やヒラマサが見られるちょ〜ダイナミックな回遊魚ポイントという噂。
私は昨年にここのポイントのことを聞きつけまして、いっぺん潜ってみたいと思っていたのです。
さて四国行きのちょっと前、8/16に酒田の地元サービスで明石ツアーが行われるということを聞きまして、はしごのはしごになるがいいや行っちまえと勢い だけで参加表明しました。
そんなわけで、四国から帰ってきたその翌日、私は東北自動車道を北に向けて走っていました。東北方面は石浜通いで走りなれた道、鼻歌交じりでさくさくと進 みます。(反対車線は大渋滞でしたが)
8時間ほど走って夕飯時までには酒田市内のホテルに入り、夜遊びもなんもせずに、でも麦酒は飲んで就寝。いやじつはちょっとだけ疲れてきていたのかもしれ ないけど。


酒田東急イン12階から見た夜景。昨日の深夜は高知にいたのにねえ。


2003/8/16
朝の9時にサービスに集合し、いざ出発。天気は快晴、風もなし。こりゃ絶好のダイビング日和だ。日本海は透明度もいいし、こりゃよさげな写真が撮れそうだ なあ。
ガイドは名物ガイドのSさん。親分肌の豪快なオジさんです。以前飛島に行った時のブリーフィングなんて「あそこの根に向かって適当に進むから、皆さん適当 に入って適当に付いてきて。残圧無くなったら適当に上がって。上がれば船が拾いに行くから」。ナイスです。



さて準備も済んでいよいよピーカンの日本海にGO! なんか初心者っぽい人もいたけどまあ凪いでるし大丈夫でしょう。
……と思っていたら、沖に出るにしたがってだんだん波が高くなってまいりました。30分ほどで明石に到着し、ブイに船を係留したのですが、ちょっと微妙な 揺れ方です。それでも全員スーツを着て準備します。Sさんもちょっと心配になってきたのか「……一応ガイドするけど、みなさん自分の判断で潜ってよ」とか 言い出します。


明石礁周辺海域。水面上には何も無い。

結局、Sさんが決断して明石でのダイビングは中止になりました。私にとっては、この休み中は南勢に続いて2度目の挫折。きっつー。また来年ですかあ。
そういうわけで番外編のタイトルの通りになるわけです。酒田港の堤防の外側に、テトラポッドなどコンクリの塊がどかどか沈められている人工リーフがあるの で、とりあえずそこに潜ることにしましょうかということになりました。
はっきりいって、明石とは水の色がぜんぜん違います。明石は真っ青だったのに、こっちはなんか緑色してます。
人工リーフは、ちょっと南北に長い形をしているので、基本的には根頭にエントリーして西側の砂地に下り、そこから北か南のどちらかに、砂地との境目を進む べし、とのお話。ガイドしなきゃならんほどの場所ではないから適当に入って、ほんで40分くらいで上がって、というナイスなブリーフィングの後、みなさん エントリーしていきます。しかし私はもよおすものがあり、ちょっとトイレに行ってから遅れてエントリーしました。
さて海中は予想通りどんより濁っています。ああ、せっかく日本海にくれば透明度良いと思ったのに、とことん透明度には祟られています。



まあそれでもブリーフィングの通り、西の砂地に下りて「北」に向かいました。ここが若干、運命の分かれ目だったのですが何の迷いも根拠も無く北に進みまし た。
アジの群れ、砂地のサビハゼ、カレイ、根の上にはメバル、アイナメ、イシダイ、時折マダイ……といったあまり見栄えのしない連中が出迎えてくれます。
ちょっと引っかかったのはダイダイウミウシの交接、産卵くらいでしょうか。だいたい20分で折り返し、また南に向かいます。最初に砂地に下りてきた地点と 思しき場所に戻ったので、他のダイバーと出会わないことをちょっと不思議に思いながら、根頭に戻って浮上します。
潜水時間43分。ほぼ時間どおり、船は水中では見えないけどそんなに遠く離れてはいないはず……と思いきや。

浮上すると、ぜんぜん船が見当たりません。正確には何艘か見えるのですが、遠くてサービスの船かどうかわかりません。他のダイバーをピックアップに行って るのかな、とも思いましたが、神子元島じゃあるまいし、他のダイバーがそんな見えないところまで流されてしまうはずがありません。とりあえずフロートを立 てようと思い、久しぶりなのでだいぶもたもたしながら、まあ立てるには立てました。
そのフロートに気付いたのかその前から気付いていたのか、見覚えのある船がこっちに向かって走ってくるのが見えました。

話によると、皆さん西の砂地から「南」に向かったようです。あと、Sさんと一緒の初心者の人が浮上したときに他の方もみんな浮上したので、結局私以外の全 員が一緒にエキジットしたようです。そのときに全員集合したと思って、そのまま私を置き去りにして走り去ってしまったのでした。で、どなたかが「カメラを 持ってた人がいない」と気付き、それで引き返してきたとか。ううむ、海上に置き去りにされたの ははじめての経験ですが、浮上してもボートがいないという状況は神子元あたりでよくあるので、まあパニックをおこすようなことはありませんでした、ちゅう ことで。

さて、サービスに戻ってから、全員にヒラメの刺身が振舞われました。美味しかったです。
どうやら向うのグループはダイビング中にヒラメを見つけたらしいのですが、誰かに手銛で突かれたのか瀕死の状態になっていて、これは気の毒だと$#[#% 3$9$[#$-#22$9$0$*@#?$_???$&%!!!$%$&?#/
あ〜ヒラメ美味しかった!

ポイント名
 人工リーフ  
潜水時間
43分
最大水深
11.7m
平均水深
9.8m
水温上
21℃
水温下
20℃


真夏のドライ スーツだ石浜

2003年7月、宮城県東部で群発地震がありました。
それに前後して石浜ではスナビクニンなどのクサウオ系生物が良く見られました。よく見るとヒゲが無いだけでちょっとナマズに見えなくも無い?
それはともかく、石浜に行ってまいりました。
まあしょっちゅう行ってるわけですが、だいたいどんな風に行ってるのか一度書いておくのもよろしいかと。地震もあったし、水温も異常なほど低かったし、目 当ての生物は見つからなかったし(T_T)

さて、最初に現地のサービスにメールを入れました。いつもはすぐに返事が来るのですが、なかなか来ません。二日経っても来ません。もしや地震で潰れてし まったの?
と心配になって電話してみあたら、ちょうど定休日の前にメールしてしまったのでした。

2003/8/1
昼過ぎくらいにぼちぼちと出発し、東北自動車道を目指します。いつも久喜で乗ります。以前は岩槻でしたが、ちょっと値段をけちってます。頻度が高いので単 価を何とか落とそうという苦しくもせこい作戦です。同様な理由で、東伊豆に行く時は決してビーチラインを使用しません(^^;
東北道を延々と北上し、大和インターで降ります。実は仙台南インターで降りて、仙台南部道路、仙台東部道路、三陸道と行くのが最も早いのですが、ここも高 速代をケチって一般道を行きます。国道45号に入り、石巻方面を目指します。
なんだかんだと7〜8時間で到着します。日帰りする方もいるようですが、私はいつも前泊します。

2003/8/2
9時に石巻市内のサービスに集合、そこから石浜に向かいます。なんか毎度似たようなメンツですがあまり気にしない(^^;
天気もよい。波もない。しかしダイバーは多い。何か講習みたいですが、これから夏に向けてCカード需要が高まる頃ってわけでしょうか。ってもう夏だよ。
事前に「冷たいよ」という情報を仕入れていたので、ドライスーツです。他のメンバーも全員ドライスーツ。
しかし夏。水温が14度と聞くと、インナーの選択に悩むところです。私はTシャツと薄手のインナーだけにしましたが、フリース着てる方もいました。真夏に フリース(^^; しかし水中のことを考えるとあながち間違いとも言えない。

で、エントリーしたのですが、「う〜む。よく冷えてる」。私のコンピュータだと12度でした。マジですか。8月ですよ。羅臼と同じじゃないですか。
中層を見るとウミタナゴがちらほら。しかし夏のレギュラーメンバーである、クロダイ、メバル、キュウセンあたりは全然見当たりません。やっぱ寒いのでしょ うか。
ダンゴの子供もちっこい。フサギンポは元気だなあ、でも積丹のやつと比べるとちょっと顔が違うなあ。そうか石浜の銀ちゃんは口が半開きなんだ。より可愛ら しげな感じで、さすがテレビ出演経験がある有名魚はちょっと違う。


「む〜ん。フサギンポなんだな〜。ホヤ食べたいんだな〜。T○Sでは見せなかったけどN○Kではホヤご馳走になってるとこ見せちゃったんだな〜。まいっか 〜。そんなことよりアイナメども邪魔なんだな〜。ボクも卵守ってるのになんであいつらばっかりあんなに繁殖するのかな〜」

それはともかく。私の今回の目的はスナビクニンとかコクチクサウオとかの系統だったのです。ちなみに石浜でまだ見たことの無いサンゴダツも見たかったので すが、両方ともスカ。スナビクニンはO氏が某所で上がり際に見つけてましたが、サンゴダツは完全に行方不明。ううむ地震のせいだろうか。

さて陸上は良い天気。気温も30度くらいまで上がってます。夏です。でも水温は12度。こんなんじゃ、南三陸の海水浴場はどこもやってらんないでしょう。 どういう自然現象の結果なのかはよくわかりませんが。

さて2本終えてからお店に戻り、ログつけたりしゃべったりして時間をつぶし、飯を食って6時ぐらいから帰路につきます。帰ってくるのは大体0時ごろ。夏だ から凍結や降雪の心配も無く、かなり気楽です。帰りももちろん大和インターまで一般道、降りるのは久喜。そこからまた一般道をだらだら走って多摩地区某所 の自宅へ帰ります。
石浜へは、概ね毎度こんな風に通っているのです。

ポイント名   石浜  
  石浜  
潜水時間
55分
67分
最大水深
17.6m
13.5m
平均水深
11.3m
9.2m
水温上
14℃
17℃
水温下
13℃
12℃


待てば海路の日和あ りってわけで銭州(ぜにす)

銭州の名を聞いたのはずいぶん前で、まあ話としてはなにやら遠くて波立ってて流れが強くて、しかし巨大な回遊魚の類がわんさか見られるというまさに伝説の ポイントなんだべさ、といったところでした。
実際、銭州はどちらかというと釣り場として有名で、ダイバーに聞いてもほとんどの人は知りません。でもベテランやマニアックなダイバーの間では、かなり有 名な存在でした。
簡単に説明しますと、銭州とは石廊崎の南西約80キロ、神津島の西約40キロの大海原のど真ん中に忽然と存在する岩礁群です。高級魚がわんさか獲れて銭に なるから「銭州」と呼ばれるんだそうです。
もちろんダイビングポイントなんかではありません。ちょっとやそっとでは近寄ることすらできない秘境です。

今回の銭州行きの話を聞いたのは、2003年の年明け頃。知人のダイバーA氏から、彼とは旧知の間柄であるMさんの経営するショップで銭州ツアーを企画す るかも、という話を聞いたのが最初。その前年(2002)年にも、別なショップの銭州ツアーに参加して神津島まで行き、結局海況不良で断念していた私に とっては、なんつーか渡りに船。今年こそはって感じで早々と参加宣言しました。

さてそれからいろんなことがあったりなかったりしながら半年が過ぎ、いよいよ銭州ツアーのはじまりはじまり。

2003/06/20
仕事を終えてからA氏と合流し、一路西伊豆へ。翌日は慣らしのために雲見の外海へ行く予定です。
普段は西伊豆ごときで前泊などという軟弱(^^; なことはしないのですが(ちなみに東京都多摩地区在住)、どうもボートの出港時間がえらい早いようなので、やむを得ず前日出発としました。9:30頃に出 発して堂ヶ島に着いたのが1時近く。遠い。眠い(-_-)
宿についたらとっととビール飲んで就寝です。

2003/06/21
さて雲見の外海だぁ……と思いきや、最近のうねりのせいかブイが無くなっていて、外には行けないとのこと。何のために前泊したの? と若干の目眩を覚えつつもゆるゆると雲見に向けて出発。
ちなみに雲見は激しいうねりのために前日はクローズ。この日も若干残っていたため、ダイバーの数はまばら。バンで乗り付けて、海の方を一瞥するなり引き返 したショップも居りました。


雲見の海については特に書くことが無くて、まあ暗くて狭くて濁っててうねってて、しかも冷たい(18℃)って感じでしょうか。それよりも地上の方が、 ちょっと夏っぽい日差しが閑散とした港に降り注いでまして、なんだかまったりとした雰囲気でよい感じでした。
この日のダイビングは開始が早かったせいで終了も早く、おかげで真昼間の3時ごろからもう酒盛り状態。
ダイバーとはどうしてこう酒好きが多いのか。嬉しいけど。

夜になったら他の参加者の方々も集まってきました。伝説のポイントに挑戦しようという物好き、いや猛者達です。
でも皆さん、この日は酒もそこそこに早めの就寝でした。明日は5時起きです。

ポイント名   牛着岩  
  牛着岩
潜水時間
47分
47分
最大水深
25.4m
22.3m
平均水深
16.2m
15.1m
水温上
21℃
21℃
水温下
19℃
18℃

2003/06/22
松崎港にやってきたのは6時前。若干曇り気味です。でも海況は、昨日までのうねりも取れて最高のコンディションのはず。
タンクや器材を積み込んで、6時過ぎに出港。昨日潜った牛着岩を横目に見ながら船は進みます。


私はしばらく甲板で風景を眺めていましたが、そのうち眠くなってきたので、船室のベッドで寝ることにしましたが「……し、湿ってる(^^;」。
もっとも舳先に近い位置のベッドしか空いていなかったのですが、なんだがじっとりと湿って冷たいベッドです。まあそんでも寝られるだけまし。飛島に行った 時は足を伸ばすことすらできなかったではないか。
てなわけで湿ったベッドでそのまま爆睡。2時間ほど眠って目を覚ますと、周囲はべた凪の大海原。も〜ザ・ベストコンディションではないですか。早く着かな いかなあとやきもきすること1時間、ついに銭州が見えました。



もっと小さな隠れ根みたいなものを想像してましたが、結構でかい岩礁群です。釣り人がたくさん上陸してます。釣り舟も結構います。
さてそれからは全員がダイビング準備にとりかかります。期待と不安の入り混じった1本目ってやつですかぁ。
準備が終わり、水面から1.5メートルの高さの舷側からジャイアントストライドでドボン。
潜行するとスコーンと視界が開けます。ものすごい透明度です。水温は21℃で、伊豆とあんまし変わりません。
黒潮が遠ざかったせいか、流れもほとんどありません。
隠れ根のドロップオフ沿いに流すダイビングでしたが、まあ魚の多いこと。割と見慣れた魚が多いのですが、でも例えばシラコダイやキンギョハナダイなんかの 群れの数が半端じゃありません。



さらに根の外れまでくると、お約束のカンパチ登場。ダイバーに興味があるのか、ぐるぐるまわりながら寄ってきます。



そんなこんなで1本目は終了。1時間ほど休憩して2本目に入ります。
相変わらず魚影が濃い。しかもサザナミヤッコとかタテキンとかモヨウモンガラドオシとか南方系の魚もちらほら。なんというか、海中全体が何か出てきそうな 予感に満ちていて、上下左右360度から目が離せないって感じです。不可能ですけど。
そうこうしているうちに巨大マダラエイ、オオセとでかい軟骨魚類の登場。うわあ、ハンマーとかマンタとかも出ないかな?
とか期待してしまうんですが、幸か不幸か潮の流れが止まってる(^^;
てなわけで巨大回遊魚の類は出なかったのであります。



さてここでご飯タイム。朝から船に乗りっぱなしなのに皆さん元気です。私も弁当食ったあと、舳先で寝転がって昼寝です。
しばらくうとうとしたんですが、なんだかだんだん風が強くなってきて目が覚めてしまいました。
どうも天気が下り坂のようです。そんなわけで3本目の時間が繰り上がりになりました。
ポイントは、1、2本目で潜った隠れ根の周辺ではなく、海上に出ている岩礁近辺です。

そんなわけでまたまたエントリー。
相変わらず蒼く抜けた風景です。が、今までとは何かが違います。それは強烈な底うねり。 急いで根にしがみつきますが、結構強烈に引っ張られます。ふんばってると、今度は反対側からの流れが来てひっくり返されそうになります。こりゃたまらんと 慌てて深場へ向かいました。

さて今度は、根と根の間を抜けるようなコース。砂地にオオセが3匹ほど寝そべっています。
次に現れたドロップオフぞいに進み、最後に根の果てまできました。そこから中層に出て、海底が全く見えないブルーウォーターダイビング。この透明度では、 いった水深がどれくらいあるのやら。つーか、こんなところでダウンカレントに掴まったら(--;
さてそのまま安全停止の深度まで浮上し、銭州ツアーも終わりかな……と思いきや、蒼い水の向うに、黄色い背中のタカベの群れがちらほら。おやタカベのお見 送りか、と思っているとその先にカツオ?っぽい模様の回遊魚の群れが微かに見える。そいつらは私たちに近づくことなく消えてしまったのですが、その向うか らさらに現れたのは、またもやカンパチ。



もう安全停止そっちのけ。再びカメラを構えてカンパチを追いまわし始めます。向うも相変わらずフレンドリー?で結構近くまで寄ってきます。もう上へ下への 大騒ぎ。ついでに言えば、いつのまにかブルーウオーターではなく、別な根の近くまで来ていました。

はてさて、35分の予定を10分近くオーバーし、全員浮上しました。カンパチ君さようなら、次は神子元で会おう、とかなんとか思いながら浮上すると、なん だか船が遠くに見えます。
どうやらこちらに気付いていないようです。そりゃそうだ。予定時間10分オーバーして余計に流されてるわけだし。
スタッフが手を振ってもなんだか動く気配無し。そのうちフロート2本おっ立て状態になりましたがまだ気付かない。
しまいにはみなさん痺れをきらして、おのおのダイブホーンを鳴らし始め、ブーとかピーとか、なんだかにぎやかな状態になりました。
そのうち船長も気付いてピックアップにきてくれましたが、しかしもしも潮の流れが速かったら(銭州の潮の流れは速いと5ノットくらい)、間違いなく漂流事 故になっていたでしょう。はわわ。

さて無事に3ダイブを終え、帰路に付きます。帰りの海もべた凪でした。帰り用に麦酒を買っておいたのですが、飲む元気も無く、また湿ったベッドで眠りま す。3時間半でふたたび松崎港まで戻ってきました。

いつも見ている海中世界の、もう少し奥の世界を、特別にちょっとだけ見せてもらったような一日でした。


ポイント名
  銭州  
  銭州  
  銭州  
潜水時間
35分
36分
42分
最大水深
24.3m
29.5m
19.9m
平均水深
15.8m
16.2m
12.6m
水温上
21℃
21℃
21℃
水温下
21℃
21℃
21℃




2003GW北の海 はしごツアー

2003/04/26
今年の春は、昨年初挑戦した羅臼に再チャレンジすることにしました。リゾートや暖かい海には興味は無い。(嘘です)
国内最低の水温と流氷の溶けた春濁りの海が呼んでるぜ〜、てな感じでして。
まあしかし今回は羅臼だけではなく、北海道の別なポイントも行ってみようと思いまして、積丹半島にも寄り道する予定。
そんで帰りにはいつもの石浜にも寄り道してジンドウイカの産卵にもリベンジ。うむ、完璧な計画だ。

そういうわけで苫小牧行きのフェリーに乗るべく、東北自動車道で仙台に向かいます。飛び石のGWのせいか車が少ない。快適です。
あっというま(嘘。本当は目眩がするくらい遠い)に仙台に着きます。
ちなみに長距離のカーフェリーに乗るのは初めてなのですが、最初見た感想は「で、でかい(^^;」。

身長(違う)192.5m、体重(これも違う)15000t。
見た目おがさわら丸の1.5倍くらいでしょうか。中も展望風呂とかあるし夕食はバイキングだしなんじゃこりゃ。今回はちょっと料金を上乗せしてB寝台にし たのですが、これもいいベッドです。今まで船旅といえば、激混み東海汽船の吹きさらしの甲板で毛布に包まってるような覚えしかなかったので、「そうそう、 これだよこれ。昔抱いていた船旅のイメージは」と妙に納得してしまうのでした。

夜は風呂入ってビール飲んでマリンバの生演奏を聞きにいってビール飲んで、ミニシアターで映画見ながらビール飲んで、でいつのまにやら深夜なので就寝。若 干のうねりを感じましたが、でも小笠原に比べたら全然平気。


2003/04/27
全く予定通りに苫小牧着。ここからはるか440km彼方の羅臼を目指します。日勝峠を越えて足寄、阿寒湖、中標津、羅臼へ向かうルートです。
……またまた目眩がするほど遠い。しかし北海道の雄大な風景は堪能できました。道端にエゾシカやキタキツネもいたし。
適当に入った足寄のラーメン屋は結構美味しかったです。
日没前に標津に入り、オホーツク海が目前に広がると、ちらほらと流氷が浮かんでいるのが見えました。
予定よりだいぶ早く、7時ごろに羅臼着。


2003/04/28
ようやくダイビングする日になりました。長い道のりでした。
天気はまずまず。海はべた凪。
しかし水温は氷点下です。透視度も例によって厳しい。ウエイト量も普段の倍近く、よろよろ状態でエントリー、そしてごろごろ状態でエキジット。手がしびれ てフィンもろくに脱げません。
羅臼昆布の森を掻き分けながら(ウエイトが重くて沈み気味だから)進みます。
水深20メートルを越えたあたりで急に視界が開けます。20メートルは抜けてるでしょうか。
この日はナメダンゴの抱卵、ホテイウオ、中型タラバガニ、ツララミノウミウシ、巨大ミズダコ、クリオネ、あと超貴重だというヒラダンゴに出会えました。
が、やはり温度差による結露は厳しかったのです。シリカゲルと結露防止リキッドではまだ微妙な結露があり、ほとんどの写真がソフトフォーカス。特にヒラダ ンゴ。絶妙の角度でフレームに入ってきて、ストロボの光量もばっちりでいい色になったと思ったのに……拡大してみると駄目駄目(T_T)。
夜はガイドさんや他のお客さんと酒を飲みながら、色々なお話を聞くことができました。

ポイント名 ローソク岩
ローソク岩
潜水時間
39分
42分
最大水深
31.7m
26m
平均水深
18.2m
15m
水温上
0℃
0℃
水温下
-0.5℃
-0.5℃


2003/04/29
羅臼二日目。結露防止のため、ハウジングを屋外で影干し。水滴など内側に着いていないかしつこくチェック。早々にシリカゲルをいれて蓋を閉める。
しかしこれでも完全にクリアーにはなりませんでした。でも前日よりはだいぶ改善されて、テングトクビレ(ガイドの関さんが鑑定してくれました)などはクリ アーに撮影できました。
伊豆ではこんなことぜんぜん無いし、伊豆より7〜8度低い女川でも平気なのに、さすがに羅臼は厳しいです。
この日はヤギシリカジカの抱卵、ナメダンゴの抱卵(というより卵)、オニカジカの産卵、ケガニ、タラバガニ、顔面サイズのホタテ、中型のモロトゲアカエ ビ、ボウズイカ、テングトクビレなどと出会えました。
そういえば水面にはトド、オオミズナギドリがいました。特にトドを見たのは初めてです。缶詰を食ったことはありますが。

ダイビング終了後、一人で野付半島に向かい、トドワラ観光。寒々とした風景写真が撮りたかったのですが、なかなかよかったです。昔読んだ水木しげるさんの マンガに出てくる隠れ里とか、死者の国の風景みたい。枯れ木が白骨のようです。




さてこの夜も、ガイドさんや他のお客さんと酒を飲みながら昼間撮影した魚の鑑定会。テングトクビレは羅臼初観察だそうです。

ポイント名 ローソク岩(岩の右)
ローソク岩
潜水時間
51分
40分
最大水深
26.1m
27.6m
平均水深
14.5m
16.8m
水温上
0℃
0℃
水温下
-0.5℃
-0.5℃

2003/04/30
本日は移動日ということで、羅臼から積丹半島に向かいます。向かいますなんて簡単に書きましたが、そらもうとんでもなく遠い。目眩がするどころではない。 600kmの彼方です。
今度は女満別を通って、北見、旭川、札幌、小樽という、メジャーな都市を経由するルートです。大雪山や石狩川なんかのメジャーな自然もあり。
天候はそれほど芳しくなかったのですが、おかげで雨、曇り、雪、吹雪、雨、晴と概ね全部の天候を見ることができました。
しかし積丹に着いてみると海は大荒れ、風が強く、海には白波が立っています。果たしてこんなんで大丈夫なのか?
なんて悩む暇も無く、宿に着くなりガイドさん兼ご主人と飲み会に突入。


2003/05/01
前夜にガイドさんと一緒に焼酎をがばがば飲んだので(つまみのミズダコの刺身が美味過ぎ(^^))、朝は若干頭が重かったがそれでも朝食時にはすっきり。 客は私だけなので、のろのろと準備して出発。
で、海に入ってみると、「う〜む。見えない(^^;」。羅臼で会った道内のダイバーの方にも「今から積丹? う〜む」と唸られてしまったのですが、結局私も「う〜む」と唸る羽目になりました。どうも雪解け水のせいらしいです。
しかし水温7度。伊豆とかと比べるとかなりの低水温ですが、今回は羅臼帰りです。まるでぽかぽかのお湯のようです。ウエイトも減らせたし、なんか楽なダイ ビングになりました。
で、生き物ですが意外な連中が出現。巨大ミズダコ。しかも羅臼で見た抱卵後でへろへろになっているようなのではなく、めちゃめちゃ元気なやつです。でかす ぎます。歩くと岩が移動してるみたいです。
それからアツモリウオの成魚。この時期には珍しいとか。私も過去には羅臼でした見たことがありません。
ちなみに積丹のアイナメはどいつもこいつもでかすぎ。女川で見た過去最大クラスかそれを上回る個体があちこちにいます。

この晩は、前日をさらに上回る酒盛り。しかし外では強烈な南西からの風が不気味な音を立てて吹きまくる。9時頃には、積丹半島の西側へ向かうのを断念した ヨットの方々が緊急避難でたくさん現れた。果たして明日の海は大丈夫?



ポイント名 マッカ岬
  長島  
潜水時間
40分
44分
最大水深
21.6m
17m
平均水深
16.1m
13.5m
水温上
8℃
8℃
水温下
7℃
7℃

2003/05/02
南西からの風は相変わらず吹きまくってますが、風裏なら平気ということで東側へ。
するとなぜか東の海域からうねりがうねうねとやってきてます。西南から強風、北東からうねりとなんだかヤなコンディション。
それにもめげずに午前中で2ダイブ。かどり〜なの交接やホテイウオの幼魚をうねりの中でふんばって撮影しました。しかし透明度は前日にも増して悪い。スー パーマクロ固定でもよかったな。

さてばたばたとダイビングを終え、これにて積丹半島ともお別れ。ついでに北海道ともお別れです。余市や小樽、札幌などの観光地を横目で見ながら苫小牧まで 高速に乗ってとっとと移動し、また豪華フェリーに乗れるかと思ったが……。なんか違う。どうやら来るときに乗った「いしかり」がもっとも新しく立派な船 で、帰りはちょっと古い、「きそ」という船になってしまったようです。確かに中もどことなく古臭い。風呂に泡も出ない。B寝台にコンセントがついてないか らパソコンも使えない。ミニシアターも売店も狭い。はらほろひれはれ〜なんで同じ値段なの〜?



てなわけで苫小牧に停泊しているうちからとっとと風呂に入ってビールがぶのみ、それからテレビ見たり謎の演歌リサイタル聞いたりして、ちょっと早い時間に 寝てしまいました。
しかし演歌歌手(女)さんスタイル良かったです。萌え萌えです。握手してもらったし(*^^*)。(しかし名前を覚えていないあたりが外道かも)

ポイント名 マッカ岬
ピリカ
潜水時間
31分
34分
最大水深
22.2m
13.5m
平均水深
16m
9.7m
水温上
8℃
8℃
水温下
7℃
7℃

2003/05/03
まったく何事も無く定刻どおりに仙台港着。9時間も10時間も平気(?)で遅れる小笠原航路とはえらい違いです。
今夜は女川でナイトダイビングの予定。まずは石巻に向かいます。海岸線の道を行くと、松島近辺で大渋滞。
そういえば今日から連休です。潮干狩りや観光に来ている人がたくさんいます。
しかし知床、積丹と有名な海の景勝地で、流氷や断崖絶壁や奇岩、荒波など見てきましたが、それらに比べてこの松島、基本的に干潟ばかりで、干潟の間にぽつ ぽつと島があるだけの静かな海。しかし独特のまったり感があり、目を奪われます。きっと癒し系の海なのでしょう。その辺が日本三景たる所以でしょうか。

さて夕方になり、何度も一緒に潜っている方々と共に石浜に向かいます。聞けば水温は6度。ちょっと待て、積丹半島より低いじゃないか。やはり女川は本州最 低水温の地。一筋縄ではいかないようです。あと、水温が低いかわりに透明度は良いようです。
しかしここで、今回の旅行初の器材トラブル発生。外付けのストロボが点きません。しょうがないから内蔵に切り替えてみましたが、外付けの性能とは比べ物に なりません。
ほとんど満足な写真は撮れませんでしたが、それでもエゾイソアイナメやミズダコの写真は撮ることができました。

ポイント名
  石浜  
潜水時間
52分
最大水深
10.1m
平均水深
8.3m
水温上
6℃
水温下
6℃


2003/05/04
いよいよ最後のダイビングとなりました。しかし前日のトラブルが尾を引いていて気が気ではありません。朝にストロボの調子を見ると、やっぱりおかしい。実 は昨年に羅臼を訪れたときも、途中からストロボが点かなくなったのです。低温環境と関係があるのかと思っていましたが、どうやら電源をONにしたまま何分 か放置すると調子が悪くなるようです。
久しぶりのアツモリウオの幼魚、ナメフウセンの抱卵、キヌカジカ、ワレカラ大発生などありましたが、慣れない内臓ストロボなので、最後だというのにかなり 不満の残るダイビングとなりました。

ポイント名   石浜  
  石浜  
潜水時間
58分
59分
最大水深
12.1m
10.3m
平均水深
8.9m
7.9m
水温上
6℃
6℃
水温下
6℃
6℃

2003/05/05
東京へ帰る日となりました。しかしGW最終日、渋滞が予想されます。
朝の9:30頃に石巻を出発。これは羅臼から積丹に向かったときと同じくらいの時刻です。さて福島県内までは順調でしたが、例によって塩原から矢板付近に かけて暗雲が立ち込めてきました。渋滞15kmです。なんか伸びてるっぽいです。
白河で高速から降りて宇都宮に向かいます。遅いけど止まるということはありません。途中、矢板の道路情報では渋滞20km。それほど伸びてません。失敗し たかも。
さて宇都宮で再び高速に乗ると、車は多いけどすいすい。そのまま佐野SAに入って佐野ラーメンを食っていると、今度は埼玉県内に暗雲が立ち込めてきまし た。つーか県境を越えて栃木県まで伸びてます。渋滞20km、抜けるのに50分とか書いてあります。今度こそ嫌な予感がします。
こりゃあいかんと佐野藤岡で高速を降ります。が、下道も混んでます。利根川が越えられません。122号はぎしぎし。あきらめて一本奥の県道20号へ。しか しここもいっぱい。あきらめてはまります。県道66号にきてようやく流れ出したが、次の407号も結構厳しい。もう涙目です。
てなわけで家に着いたのは夜の8:30。今回最大の移動時間。羅臼・積丹間よりかかりました。
ちなみに全走行距離は2457kmでした。